介護士話しかけても、なかなか会話が続かない……




何を話せばいいのかわからなくて、沈黙が気まずい……
そんな悩みを抱えている介護士さんへ。
介護士歴15年以上の筆者が、実際に現場で使える「高齢者との会話ネタ」と盛り上がるコツを伝授します。
- 高齢者との会話は、うまく話すことより「安心して話せる空気」をつくることが大事。
- 会話のネタは、趣味・家族・昔の話など、相手が思い出しやすい話題が向いている。
- 会話が止まってもあせらなくていい。ゆっくり聞く姿勢が、信頼につながる。
高齢者とのコミュニケーションは、ただ話すだけでなく、相手に興味を持ってもらうことが大切です。
高齢者との会話のネタ
- 趣味や興味のあること:相手の話を引きだす
- 家族や友人のこと:笑顔を引きだす
- 昔話や懐かしい話題:思い出を引きだす
- 健康に関すること:興味を引きだす
- ニュースや時事ネタ:考えを引きだす
この記事を読めば、「話しかけるのが苦手…」という悩みがなくなり、利用者さんとの会話がもっと楽しくなりますよ。
また、次のことも詳しく解説します。
<高齢者との会話のコツ>
- 傾聴(けいちょう)する
- 相づちや表情を意識する
- 自分との共通点を探す
- インタビューを意識する
<高齢者との会話で注意すること>
- タメ口や若者言葉は避ける
- 下ネタや差別的な話題は避ける
- 相手の体調や気持ちに配慮する
今日からすぐに実践できるネタばかりです。
カンタンなので、ぜひチェックしてください。
【筆者紹介】
介護業界15年の現役介護士(施設勤務)
※現場経験と公的データ(厚労省など)をもとに執筆しています。
【所持資格】
介護福祉士/ケアマネ/上級心理カウンセラー
【発信・活動】
・X(旧Twitter):介護現場のリアルを発信
https://x.com/@kaigo3939
・YouTube:文章が苦手でも、動画でサクッと理解
https://www.youtube.com/@nao-ai-kaigo
・note:介護現場の裏話&試験対策
https://note.com/gentle_ferret775
・介護福祉士・試験対策ラジオ(Spotify)
通勤中に聞き流すだけ。試験に必要な知識が身につく
https://open.spotify.com/show/1tVJ8uB7sMQuhKdMTH12kY



詳しくはトップページのプロフィールに記載
動画でもわかりやすく解説
高齢者と会話するときのネタ5選



<高齢者と会話するときのネタ5選>
- 趣味や興味のあること
- 家族や友人のこと
- 昔話や懐かしい話題
- 健康に関すること
- ニュースや時事ネタ
ネタ1:趣味や興味のあること
高齢者と会話するときに、相手の趣味や興味のあることをネタにしましょう。
なぜなら、自分の好きなことや興味のあることを話すのは楽しいので、会話が盛り上がるからです。
「○○さんの趣味はなんですか?」
「○○さんは何が好きですか?」
介護施設に入居されている中には「趣味がない」と答える方もいます。
そんなときは、若いころの趣味や楽しみを聞きましょう。
たとえば、「犬を飼っていて一緒に散歩するのが楽しかった」ということを引き出せば、そこから話を膨らませていきます。
- 犬の名前、品種、大きさは?
- 犬との思い出は?
- どんなところが好きだったか?
- 犬を飼うきっかけは?
犬を飼うきっかけが「子どもが犬を飼いたい」だったら、次は子どもの話題を振っていきます。
- 「趣味は何ですか?」
→「特にない」で終わる。
- 「昔、よくやってたことって何ですか?」
- 「家にいるとき、何してる時間が多いですか?」
- 「テレビ見る派?ラジオ派?」
具体例
職員「昔、時間があったら何してました?」
利用者「畑かな」
職員「畑!何育ててたんです?」
→ここから一気に話が広がる。
ポイント
今の趣味より、“昔ハマってたこと”を深掘りする。
ネタ2:家族や友人のこと
家族や友人のことは喜んで話してくれます。
お孫さんや、ひ孫さんのことを話すときは目尻が下がり嬉しそうです。
相づちを打ちながら「立派なお孫さんですね」とほめたり、「ぜひ写真を見せてほしいです」と話を広げていきましょう。
ただし、家族と上手くいっていない方もいるので、相手のリアクションを見てイマイチなら話題を変えるべきです。
- 「息子さん、あまり来ないですね」
- 「お嫁さんとは仲いいですか?」
→一気に空気が重くなる。
- 「よく連絡くれる方、いますか?」
- 「昔はどんな家族でした?」
- 「家の中で一番にぎやかだったのは誰ですか?」
具体例
利用者「娘がね、昔はよく電話くれてた」
職員「そうなんですね。どんな話してました?」
→過去に寄せると、安心して話せる。
ポイント
今の関係より、“思い出としての家族”に寄せる。
ネタ3:昔話や懐かしい話題
昔話や懐かしい話題を振れば、会話が長続きします。
なぜなら、相手の人生の方が長いので、ネタをたくさん持っているからです。
たとえば、子どもの頃にしていた「遊び」や「学校生活」を聞いて、今の子どもと比較してみましょう。
昔と今の違いを知ることで、お互いに驚きや新たな発見があります。
昔の遊びには次のようなものがあります。高齢者が思い出せないときは、こちらから聞いてみましょう。
<昔の遊び>
- めんこ
- おはじき
- あやとり
- お手玉
- コマ
- 竹馬
- 缶蹴り
- 竹とんぼ
- 紙風船
- ビー玉
- 将棋崩し
- 鬼ごっこ
- かくれんぼ
- 木登り
- 「昔は大変でしたよね」
- 「今より不便でしたよね」
→否定・比較に聞こえやすい。
- 「一番楽しかった時代はいつですか?」
- 「若い頃、どんな一日でした?」
- 「その頃の流行りって何でした?」
具体例
職員「若い頃、朝って何時に起きてました?」
利用者「5時だな」
職員「早い!起きて何してたんです?」
→生活の話は広がりやすい。
ポイント
時代・生活・感情を聞くと会話が止まらない。
ネタ4:健康に関すること
高齢者は健康なことをほめると喜ばれます。
まずは、ほめてから話題を振りましょう。
- お元気そうですが、普段意識していることは何ですか?
- 姿勢がよくて、足腰もしっかりしていますね。元気の源は何ですか?
- すごく若く見えますが、若さの秘訣は何ですか?
ほめられて嫌な気持ちになる方はいないので、気分よく話してくれますよ。
- 「ちゃんと運動してます?」
- 「それ、体に悪いですよ」
→指導・評価になる。
- 「今日は調子どうですか?」
- 「ここ、痛みやすいです?」
- 「楽な姿勢ありますか?」
具体例
利用者「今日は腰が重い」
職員「そうなんですね。いつ頃からです?」
→“聞いてくれる人”になる。
ポイント
腰を治そうとしない。
感じていることを聞くだけ。
ネタ5:ニュースや時事ネタ
高齢者が興味のありそうなニュースや時事ネタについて、日頃から情報を集めましょう。
全国ニュースもいいですが、ローカルなニュースも話が盛り上がりますよ。
たとえば、近所に新しいスーパーができるとか、どら焼きの美味しいお店があるとかです。
地元のことには関心が高いので、色々な情報を仕入れましょう。
- 「最近のニュース見ました?」
→「見てない」で終了。
- 「昔は新聞派でした?」
- 「テレビニュース、好きでした?」
- 「オリンピックとか見てました?」
具体例
職員「昔の相撲、見てました?」
利用者「見てた見てた」
職員「好きな力士いました?」
→時事ネタは過去に引き戻す。
高齢者との会話のコツ7選



傾聴(けいちょう)する
傾聴とは、相手の話に真剣に耳を傾け、理解しようとする姿勢です。
相手が話しやすいように、傾聴を徹底しましょう。
- 傾聴する環境を整える
- 目線は相手に合わせる
- 相手を否定しない
- 相づちを打って共感する
- 相手の話を遮らない
- 自分の考えを押しつけない
- 最後に感謝する
傾聴のコツは過去記事のこちら傾聴とは?利用者さんの心を開き信頼関係を築く7つのコツで詳しく解説しています。
相づちや表情を意識する
高齢者と会話するときは、相づちや表情を意識しましょう。
なぜなら、「聴いている」という姿勢が相手に伝わるので、話しやすい雰囲気を作れるからです。
大げさだと思うくらい首を振ってうなずいたり、手を叩きながら笑ったり、会話が楽しいことを全身で表現しましょう。
相手が気分よく話しくてくれますよ。
相手との共通点を探す
会話の中で、相手の共通点を探しましょう。
なぜなら、共通する話題は盛り上がりやすいですし、共通点が多い人には好意を持つからです。
たとえば、出身地が同じだと親近感がわきますし、趣味が同じだと「趣味について話したい」という意欲がわきます。
できるだけ多くの共通点を探して、会話を盛り上げながら信頼関係を築きましょう。
インタビューを意識する
インタビューを意識すると、会話が続くようになります。
話す割合は9:1で相手に話してもらいましょう。
たとえば、次のような流れです。
「趣味は何ですか?」
「いつ頃からしているのですか?」
「始めたきっかけは何ですか?」
「どんなところが好きですか?」
「興味深いので、詳しく教えてください」
「勉強になりました。また今度、話を聞かせてください」
「ありがとうございました」
耳が遠い高齢者との会話のコツ
耳が遠い高齢者と会話するときは、視覚と聴覚の情報を最大限に活かして、わかりやすく伝えましょう。
<耳が遠い高齢者との会話のコツ>
- 正面から話す
- ゆっくり話す
- 相手の表情をマネする
- 低めの声で話す
- ジェスチャーをつかう
詳しくは過去記事のこちら耳が遠い高齢者と会話するときのコツ5選を参考にしてください。
会話が盛り上がらない【本当の理由7選】



1)「聞こえていない」=反応できない
高齢者の会話が止まる理由で多いのがこれ。
会話のネタ以前に、声が届いてない。
具体例
職員「今日は寒いですね〜」
利用者「……」
職員(あれ?不機嫌?)
→近づいて言い直すと
利用者「寒いねぇ!」って普通に返ってくる。
ポイント
聞こえないと、人は“考える前に黙る”んです。
反応が薄いのは性格じゃなく、物理です。
会話のコツ
- 正面から、口元が見える位置
- 一文を短く
- 相づちを大きめに(「うんうん」)
2)質問が「答えにくい形」になっている
会話が盛り上がらない職員さんほど、
無意識に“詰問型”になりがちです。
具体例
「昔は何をしてたんですか?」
→広すぎて答えづらい。記憶も探しにくい。
改善するとこうなる
「お仕事は外?中?」
「通勤は電車?自転車?」
「お昼ごはんは何食べてました?」
ポイント
高齢者は“思い出す”のに時間がかかります。
質問が広いと、頭の中で迷子になって沈黙になります。
3)“盛り上げよう感”が相手に伝わって警戒される
これ、地味に大きい。
会話って、相手は空気を読みます。
具体例
職員がテンション高く
「わ〜!すごいですね!それでそれで?」
→利用者が急に黙る。目線を外す。
裏で起きていること
利用者の中で
「合わせなきゃいけない」
「ちゃんと答えなきゃ」
が発生して、しんどくなる。
現場のコツ
盛り上げるより、安心させる温度が大事。
テンションを上げるより、スピードを落とす。
4)話題が「その人の世界」とズレている
同じ“良いネタ”でも、人によって刺さり方が違います。
具体例
職員「最近のテレビ見ます?」
利用者「見ない」
→終了。
でも、別の角度なら続く。
「若い頃、ラジオって聞いてました?」
「歌は好きでした?」
「演歌と歌謡曲、どっち派でした?」
ポイント
“今の話題”は、興味よりもエネルギーが要ります。
高齢者は、過去のほうがスッと話せることが多いです。
5)疲労・眠気・痛みで「会話どころじゃない」
会話って、実は体力使います。
痛い・だるい・眠い日は、反応が薄くて当たり前。
具体例
入浴後、食後、リハビリ後。
このタイミングで話しかけると
「うん…」しか返らない。
見抜くサイン
- 目がうつろ
- 呼吸が浅い
- 返事が遅い
- 体をさする、しかめ面
現場の対応
盛り上げなくてOK。
「休めてますか?」だけで十分な日もあります。
6)会話の目的が「職員の都合」になっている
これ、やってしまいがちです。
沈黙が怖いから話す。
時間を埋めるために話す。
具体例
職員「何か楽しいことありました?」
利用者「別に」
→職員、焦って話題を連投。
→利用者、さらに心を閉じる。
ポイント
会話は“情報収集”じゃなくて、
関係づくりです。
相手が話したくない日は、話さなくていい。
7)「否定」「訂正」が混ざって会話が止まる
悪気がなくても、訂正は相手の心を傷つけます。
具体例
利用者「昨日、娘が来たんだ」
職員「昨日は来てないですよ。先週ですよ」
→利用者「……」
→終了。
現場での正解
「来た気がしたんですね」
「会いたくなりました?」
と、感情に寄せる。
ポイント
正しさより、安心。
これだけで会話は続きます。
介護現場で使える「盛り上がらない時の対処法」3選
1)確認する
「聞こえにくいですか?」
「今しんどくないですか?」
2)質問を細かくする
「外で働いてました?中ですか?」みたいに二択。
3)共感で終わっていい
「そうなんですね」
「それは大変でしたね」
で十分。無理に伸ばさない。



会話って「盛り上げた方がいい」と思っていました。
でも、盛り上げるのが正解じゃなかった。
「盛り上げる=相手がよろこぶ」というのは、介護士の先入観。
利用者さんがホッとしたら、それでいいのです。
会話が止まったときの“つなぎフレーズ集



会話が止まったら、なんかあせりますよね。
「沈黙が気まずい……」
「話題を振らなきゃ」
「今の受け答えまずかったかな?」
でも実は、止まった会話には立て直し方があります。
結論から言えば、会話は「つなごう」としなくていいです。
“寄り添う一言”を置くだけで自然と再開されます。
① まずは沈黙を壊さないフレーズ
無理に話題を足さない。
間を肯定するのがコツ。
- 「ゆっくりで大丈夫ですよ」
- 「今、思い出してます?」
- 「無理に話さなくていいですよ」
- 「ここ、静かで落ち着きますね」
沈黙=失敗、じゃない。
考えている時間なことも多い。
② 話を“続けさせる”つなぎフレーズ
相手の話が止まったら、
続きを促すだけでOK。
- 「それで?」
- 「そのあと、どうなりました?」
- 「もう少し聞いてもいいですか?」
- 「続き、あります?」
③ 思い出しづらそうな時の救済フレーズ
記憶が曖昧なときは、
思い出させようとしない。
- 「だいたいで大丈夫ですよ」
- 「はっきりじゃなくていいですよ」
- 「覚えてるところだけで」
- 「今、浮かんだことだけで」
④ 会話がズレたときの軌道修正フレーズ
話が飛んでも、否定しない。
- 「そう感じたんですね」
- 「そう思ったんですね」
- 「その話、印象に残ってます?」
- 「それ、気になります?」
⑤ 返事が短くなったときの確認フレーズ
「うん」「別に」しか返らない時。
- 「ちょっと疲れました?」
- 「今は話す気分じゃないですか?」
- 「あとでまた来ますね」
- 「休んでるところでした?」
⑥ 会話を“終わらせてもいい”フレーズ
無理に続けない勇気。
- 「今日はここまでにしましょうか」
- 「またあとで聞かせてください」
- 「今日は聞けただけで嬉しいです」
- 「お話できてよかったです」
シーン別|即使えるつなぎフレーズ
食事中
- 「味、どうですか?」
- 「昔は何が好きでした?」
- 「今はゆっくりでいいですよ」
入浴前後
- 「今日はあったまりました?」
- 「昔はお風呂好きでした?」
- 「今は少し休みましょうか」
居室・ベッドサイド
- 「今日は静かですね」
- 「窓の外、見ました?」
- 「眠くなったら声かけてください」
やってはいけないNGつなぎ
NGは会話を止める一言です。
- 「で、結局どうなんですか?」
- 「前も言ってましたよ」
- 「それ違いますよ」
- 「早く思い出してください」
【NG集】高齢者との会話で注意すること



<高齢者との会話で注意すること>
- タメ口や若者言葉は避ける
- 下ネタや差別的な話題は避ける
- 相手の体調や気持ちに配慮する
タメ口や若者言葉は避ける
高齢者と会話するときに、タメ口や若者言葉は避けましょう。
なぜなら、相手に失礼ですし、高齢者が若者言葉を理解するのは難しいからです。
高齢者は「ヤバい」とか「マジ」って聞いても意味が分かりません。
「それ、マジですか?ヤバいっスね」➡「それは本当ですか?すごいですね」
丁寧な言葉づかいと、正しい日本語で会話しましょう。
下ネタや差別的な話題は避ける
下ネタや差別的な話題は避けましょう。
下ネタを言ったり、相手に言わせると高齢者虐待(性的虐待)に該当します。
相手に不快な思いをさせるだけでなく、あなたが処分されてしまうのです。
また、民族、政治、宗教などを差別するような話題も厳禁です。
なぜなら、相手が関わっているものであれば、信念や価値観を否定することになるからです。
もしかしたら、家族や友人に関係者がいるかもしれません。
相手の体調や気持ちに配慮する
高齢者は座っているだけでも体力が消耗してしまいます。
相手の体調を観察しつつ、会話を進めましょう。
また、”戦争”など思い出したくないこともあります。
会話しているときに、相手の表情や声のトーンを観察して、触れられたくないことだと思ったら話題を変えましょう。
まとめ
今回は「高齢者と会話するときのネタ」と「会話が盛り上がるコツ」について解説しました。
おさらいすると次のとおりです。
<高齢者との会話のネタ>
- 趣味や興味のあること
- 家族や友人のこと
- 昔話や懐かしい話題
- 健康に関すること
- ニュースや時事ネタ
<高齢者との会話のコツ>
- 傾聴(けいちょう)する
- 相づちや表情を意識する
- 自分との共通点を探す
- インタビューを意識する
<高齢者との会話で注意すること>
- タメ口や若者言葉は避ける
- 下ネタや差別的な話題は避ける
- 相手の体調や気持ちに配慮する
会話を盛り上げて、信頼関係を築きましょう。
最後まで読んでくれた、あなたを応援しています。
では、また。














