介護職の給料交渉はできる?|上司への言い方・例文と昇給のコツ

介護職の給料交渉はできる?|上司への言い方・例文と昇給のコツ

「介護の仕事は好きだけど、もう少し給料を上げてほしい」

「施設長に給料交渉をしたい。でも、評価が下がったり、職場で気まずくなったりしないかな……」

そんな悩みを抱えていませんか?

結論からいうと、介護職でも給料交渉はできます。ただし、交渉したからといって必ず昇給するわけではありません。

大切なのは、ただ「給料を上げてください」とお願いするのではなく、資格・担当業務・実績を整理し、給与を見直してもらえる根拠を伝えることです。

ぼくは介護現場で15年以上働き、ユニットリーダーも経験してきました。介護福祉士・ケアマネジャーの資格を持ち、転職エージェントに給料交渉について直接質問した経験もあります。

この記事では、介護職が給料交渉をするときの準備、上司への伝え方、すぐに使える例文、断られた場合の対処法まで解説します。

この記事の結論

  • 給料交渉は可能。まず給与規程と評価基準を確認する
  • 人事評価面談や役割の変更時が相談しやすい
  • 担当業務・資格・実績を根拠に希望額を伝える
  • 断られたら、昇給条件と再検討の時期を聞く
  • 改善が難しい場合は、今の職場と他施設の条件を比較する

【筆者紹介】
介護業界15年以上の現役介護士(施設勤務)
※現場経験と公的データ(厚労省など)をもとに執筆しています。
【所持資格】
介護福祉士/ケアマネ/上級心理カウンセラー

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目次

介護職でも給料交渉はできる?

介護職だからという理由で、給料交渉を諦める必要はありません。

施設長や上司に、自分の担当業務や評価、給与条件の見直しについて相談することはできます。

ただし、介護施設の給与は、法人の給与規程や人事評価制度、経営状況などによって決められています。そのため、施設長が希望を聞いてくれても、その場で昇給が決まるとは限りません。

給料交渉は、無理やり給料を上げさせることではなく、自分の働きに対する評価と待遇を確認する話し合いです。

給料交渉を検討したい4つのケース

  • 勤続年数が増えても、基本給がほとんど上がらない
  • 新人教育やリーダー業務など、担当する仕事が増えた
  • 介護福祉士などの資格を取得したが、給与に反映されていない
  • 転職時に提示された給与が、経験や希望条件に合わない

このような場合は、まず給与規程や現在の評価を確かめたうえで、交渉できる余地があるか相談してみましょう。

介護職が給料交渉する前に準備したい3つのこと

給料交渉で大切なのは、話す前の準備です。

次の3つを整理しておけば、感情的な不満ではなく、具体的な相談として伝えやすくなります。

① 現在の給与と昇給のルールを確認する

まずは直近の給与明細と、可能であれば就業規則・給与規程・労働条件通知書を確認しましょう。

  • 基本給はいくらか
  • 資格手当・役職手当・夜勤手当はいくらか
  • 処遇改善に関する手当はどう支給されているか
  • 昇給の時期や評価基準は決まっているか
  • 賞与の算定基準はどうなっているか

たとえば、資格手当の対象資格を取得しているのに支給されていない場合は、昇給のお願いをする前に、手当の適用条件や支給状況を確認する必要があります。

なお、もともと契約で決められた賃金が支払われていない問題は、通常の昇給交渉とは別です。給与明細と契約内容に食い違いがないか確認してください。

② 自分の担当業務と実績を書き出す

介護職の仕事は、すべてが数字で評価できるわけではありません。

それでも、日々担当している業務や役割の変化を整理すれば、交渉の材料になります。

交渉材料具体例
資格介護福祉士、ケアマネジャーなどの取得
役職ユニットリーダー、主任、フロア責任者
新人教育OJT担当、教育資料の作成
業務改善記録方法や申し送りの見直し
委員会活動事故防止、感染対策、研修の企画
専門的な業務認知症ケア、看取り対応など

ポイントは、「頑張っています」という説明だけで終わらせないことです。

「新人職員2名のOJTを担当した」「新しい記録様式の導入を担当した」など、実際に担った役割を具体的に伝えましょう。

ただし、これらの実績があれば必ず昇給できるという意味ではありません。給与規程や人事評価にどう反映されるかを確認することが大切です。

③ 同じ地域の介護求人と比較する

自分の給料が高いのか低いのかを判断するには、他施設の求人条件も参考になります。

ただし、求人票に書かれている月給をそのまま比較するのはおすすめしません。

夜勤回数、資格手当、賞与、固定残業代などの条件が違うと、同じ月給でも働き方や実際の年収が変わるためです。

同じ地域・近い施設形態・同程度の勤務条件の求人を3件ほど確認し、基本給と年収の内訳を比較してみましょう。

全国平均を確認したい場合は、介護士の年収と実際の給与を紹介した記事も参考にしてください。

【給料交渉の準備3ステップを示す図解】

介護職が上司に給料交渉する4つのステップ

準備ができたら、次の順番で話を進めるとよいでしょう。

ステップ1:評価面談などのタイミングを選ぶ

給料について相談するなら、人事評価面談や昇給査定の前後が候補になります。

また、資格取得や役職変更、新しい業務を担当することになったときも、給与条件を確認するきっかけになります。

ただし、施設ごとに昇給時期や予算を決めるタイミングが異なるため、できれば査定の仕組みも事前に確認しましょう。

忙しい申し送り中や、ほかの職員がいる休憩室で突然切り出すより、個別に話せる時間をお願いする方が落ち着いて相談できます。

ステップ2:まず現在の評価を聞く

いきなり希望金額を伝えるのではなく、まず自分がどのように評価されているのか確認しましょう。

伝え方の例

「今後の働き方について相談したいことがあります。現在の担当業務がどのように評価されているのか、教えていただけますか?」

現在の評価と給与の関係が分かれば、どこに改善の余地があるのか考えやすくなります。

ステップ3:希望金額と理由を伝える

評価を確認したら、自分の希望を伝えます。

たとえば、毎月5,000円の基本給アップを希望する場合は、次のような伝え方が考えられます。

「現在は通常の介護業務に加えて、新人教育と委員会活動も担当しています。担当する役割が増えたことも踏まえて、基本給を月5,000円ほど見直していただくことは可能でしょうか?」

5,000円はあくまで例です。適切な希望額は、職場の給与規程や現在の給与、業務内容、求人相場などによって異なります。

「何を担当しているか」「なぜ見直しを希望するか」「いくらを希望するか」の3つを整理すると、相談の内容が明確になります。

ステップ4:回答と次の見直し時期を確認する

給与の決定には法人本部や人事担当者の承認が必要な場合もあります。

その場で返事が出なければ、回答の目安を確認しましょう。

希望が通らなかった場合でも、「どうすれば昇給できるのか」を聞いておくことが重要です。

昇給が決まった場合は、金額・適用時期・変更される給与項目について、書面やメールなどで確認しておきましょう。

そのまま使える!介護職の給料交渉の例文5選

ここからは、介護職によくある状況別に例文を紹介します。

実際に話す際は、自分の仕事内容や職場の制度に合わせて調整してください。

例文① 勤続年数が長いのに給料が上がらない場合

「長く勤務するなかで、通常の介護業務に加えて、後輩職員への指導なども担当するようになりました。今後もこの職場で働き続けたいと考えています。現在の評価と昇給の基準について、一度ご相談させていただけないでしょうか?」

長く働いていることに加え、入職当初からどのような役割が増えたのかを伝えるとよいでしょう。

例文② 介護福祉士などの資格を取得した場合

「介護福祉士の資格を取得しました。今後は資格を活かして、後輩職員の指導やケアの質の向上にも取り組みたいと考えています。資格手当の対象になるか、また給与評価にどのように反映されるか教えていただけますか?」

資格取得による昇給や手当の有無は、勤務先の制度によって異なります。資格を取得しただけで、すべての施設で自動的に給与が上がるわけではありません。

例文③ リーダー業務や新人教育が増えた場合

「現在、通常業務のほかに新人教育とフロア内の調整業務も担当しています。今後も責任を持って取り組みたいと考えていますが、担当範囲が広がっているため、役職手当や給与条件の見直しについてご相談できますか?」

役職が変わっていなくても、実質的な担当業務が増えているケースはあります。

その場合は、正式な役割分担を整理してもらうことも大切です。給与だけでなく、業務量や責任範囲も一緒に確認しましょう。

例文④ 面談をお願いするメール

件名:担当業務と給与条件についてのご相談

施設長

お疲れ様です。〇〇です。

現在の担当業務や今後の役割について、一度ご相談のお時間をいただきたく、ご連絡しました。

あわせて、人事評価や給与条件についても確認させていただきたいと考えています。

お忙しいところ恐れ入りますが、ご都合のよい日時を教えていただけますでしょうか。

よろしくお願いいたします。

メールは、まず面談の時間を確保する目的で使うとよいでしょう。

例文⑤ 給料交渉を断られた場合

「ご説明ありがとうございます。今回は難しいとのことですが、今後、給与を見直していただくためには、どのような実績や役割が必要でしょうか? また、次に検討していただける時期があれば教えてください」

希望が通らなかったときこそ、次の判断材料を確認しておきましょう。

【介護職の給料交渉で使える伝え方の図解】

2026年度の処遇改善加算は給料交渉の材料になる?

介護職の給与を考えるうえで、介護職員等処遇改善加算も確認しておきたい制度です。

厚生労働省によると、2026年6月から介護職員等処遇改善加算が拡充されています。

また、処遇改善加算は事業所内で柔軟に配分できる仕組みとなっています。

つまり、処遇改善加算が増えたからといって、すべての介護職員の給料が同じ金額だけ上がるわけではありません。

確認したいのは、次の3点です。

  • 勤務先がどの処遇改善加算を取得しているか
  • 基本給・手当・賞与など、どの項目で賃金改善を実施しているか
  • 資格や経験、役職などによる評価・昇給の仕組みがどうなっているか

施設長には、次のように確認するとよいでしょう。

「処遇改善加算による賃金改善について、当施設ではどのような配分や評価の仕組みになっていますか? 今後の昇給条件も含めて教えていただけるとありがたいです」

制度の説明と、個人の給与を必ず増額してもらえる権利とは分けて考える必要があります。

参考:厚生労働省|介護職員の処遇改善・制度概要

転職時の給料交渉はいつする?

ここまでは、現在の職場での給料交渉を中心に説明してきました。

転職時には、応募先の施設との給与条件のすり合わせが必要になります。

希望年収や現在の給与は、面接で確認された際に伝えておきましょう。そして、具体的な給与提示があった段階で、必要に応じて交渉します。

内定後に条件面談が行われる施設もありますが、すべての施設でそうした機会が設けられるわけではありません。入職を承諾する前に、不明点を確認することが重要です。

転職先の給与を比較するときは、基本給だけでなく、資格手当、夜勤回数、賞与、試用期間中の条件も確認しましょう。

労働基準法第15条では、労働契約を締結する際、使用者に賃金などの労働条件を明示することを求めています。

条件が決まったら、口頭の説明だけでなく労働条件通知書などの記載内容も確認してください。

参考:厚生労働省|採用時の労働条件の明示について

ぼくが転職エージェントに給料交渉について質問した体験

ここからは、ぼく自身の体験です。

以前、マイナビ介護職のアドバイザーと面談した際に、給料交渉をしてもらえるのか質問したことがあります。

そのとき担当者からは、内定後に前職との給与差が大きい場合などが交渉の対象になると説明されました。

一方、転職によってすでに給料が上がる場合などは、さらに条件を引き上げることが難しいケースもあるとのことでした。

これは、ぼくが当時の担当者から聞いた説明です。すべての転職エージェントや求人で同じ対応になるわけではありません。

ぼくは通勤30分以内で年収が上がる求人を希望していましたが、そのときは希望する条件の求人がありませんでした。

担当者からは、今は仕事を辞めない方がよいというアドバイスも受けました。

この経験から感じたのは、転職エージェントを使えば必ず給与が上がるわけでも、必ず希望どおりに交渉してもらえるわけでもないということです。

ただ、実際に相談することで、自分の希望条件がどの程度現実的なのかを知る材料にはなりました。

給料交渉を断られたら?3つの選択肢

給料交渉をしても、希望どおりの結果になるとは限りません。

大切なのは、断られた理由と今後の見通しを確認したうえで、どう行動するか判断することです。

職場の回答・状況考えたい行動
昇給の条件が明確評価基準と次の面談時期を確認する
基本給は難しいが手当の見直し余地がある対象条件や適用時期を確認する
昇給の基準も見通しも示されないほかの施設の条件と比較する

① 昇給条件を確認して現職で働き続ける

職場が好きで、今後の昇給条件も明確なら、現在の施設で経験を積むことも選択肢です。

ただし、目標を達成すれば必ず昇給するとは限りません。評価の方法と次回の見直し時期を確認しましょう。

② 手当や働き方を見直す

基本給を上げることが難しい場合は、資格手当や役職手当など、適用できる制度がないか確認する方法もあります。

夜勤回数や役職の変更で収入が増える場合もありますが、身体的な負担や責任が増える点には注意が必要です。

また、副業が可能な職場なら、本業を続けながら収入を増やすことも検討できます。ただし、就業規則や勤務時間、体調管理にも気をつけましょう。

具体的な選択肢は、介護職の給料を上げる7つの方法で比較しています。

③ 他施設の給与条件と比較する

何度相談しても昇給の基準が分からない。担当業務が増えているのに待遇の見直しがない。

そのような場合は、他施設の求人と比較してみることも大切です。

もちろん、給料だけで転職先を決めるのはおすすめしません。

休日、残業、通勤時間、人間関係、教育体制など、今の職場で大切にしたい条件も整理しましょう。

転職支援サービスを利用すれば、希望条件を伝えて求人を探したり、条件の違いについて相談したりできます。ただし、希望に合う求人が必ず見つかるとは限りません。

【現職に残る・手当を見直す・他施設と比較する3つの選択肢】

現役介護士として伝えたいこと|給料の不満を我慢する必要はない

ぼく自身、今の職場は好きなのに、収入面で将来への不安を感じたことがあります。

子どもの教育費や老後の生活を考えると、現在の給料で十分なのか、不安になることもあります。

実際に、収入について考えたことがきっかけで、副業を始めました。

ただし、ぼくが副業を選んだからといって、すべての介護職に副業をすすめたいわけではありません。

給料交渉をする。資格や役職を見直す。他施設の条件を知る。副業を検討する。

収入を改善する方法は、一つではないと思っています。

介護職は、給料に不満があっても黙って我慢するか、すぐに退職するかの二択ではありません。

今の職場でできることを確認し、それでも改善が難しいなら別の選択肢を知る。

まずは、そこから始めてみませんか。

介護職の給料交渉でよくある質問

Q. 給料交渉すると上司からの評価が下がりますか?

給料交渉をしただけで、必ず評価が下がるとはいえません。ただし、職場や上司の対応によって受け止め方は異なります。

同僚の給与と比較して責めたり、退職をちらつかせたりするのではなく、自分の実績と希望を落ち着いて伝えることをおすすめします。

Q. 介護職の給料交渉では、いくら上げてもらうべきですか?

一律の正解はありません。現在の基本給や役割、施設の給与規程、同地域の求人条件などを踏まえて希望額を決めましょう。

最初から大幅な増額を求めるより、根拠を説明できる金額にすることが大切です。

Q. パートや非常勤の介護職でも時給交渉はできますか?

はい。パートや非常勤でも、時給の見直しについて相談できます。

担当業務の変化や資格取得、職場の昇給基準などを確認しましょう。ただし、交渉が必ず認められるわけではありません。

Q. 給料交渉をしても、何年も昇給しない場合はどうすればよいですか?

昇給しない理由と、今後の見直しの可能性を確認してください。

評価基準が曖昧なままであれば、他施設の求人条件を調べ、今の職場で働き続けるメリットと比較する方法があります。

一方、契約で定められた手当が支払われていない、賃金を一方的に減らされたなどの場合は、通常の給料交渉とは別の問題です。

そうした労働条件のトラブルは、厚生労働省の総合労働相談コーナーでも無料で相談できます。

まとめ|給料交渉は、まず自分の評価を確認することから

介護職でも給料交渉はできます。しかし、希望を伝えれば必ず昇給するわけではありません。

大切なのは、次の順番で進めることです。

  1. 現在の給与と評価基準を確認する
  2. 担当業務・資格・実績を整理する
  3. 面談の時間を取り、希望条件を伝える
  4. 回答と次の昇給条件を確認する
  5. 改善が難しければ、ほかの選択肢と比較する

「給料を上げてほしい」と思うことは、悪いことではありません。

自分の仕事や働き方に見合う待遇なのか、確認することから始めてみましょう。

そして、今の施設で働き続けるか迷ったときは、ほかの施設の条件を知ってから判断しても遅くありません。

介護職向けの転職支援サービスを比較したい方は、こちらの記事を参考にしてください。

※転職を決めていない段階でも、求人情報を確認することはできます。希望に合う求人があるかどうかを調べてから、自分で判断しましょう。

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この記事を書いた人

【介護業界15年以上】
資格:介護福祉士、介護支援専門員、上級心理カウンセラー
施設のリーダーで採用から教育に関わる
現役介護士ならではの「体験談」や「介護現場の声」を発信しています。
「ブラック企業」から「ホワイト企業」に転職した経験を活かし、転職に失敗しない方法も紹介しています。

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