「デイサービスで働きたいけれど、送迎の運転ができない…」
「運転が苦手なのに、利用者さんを乗せて走るのが怖い」
「送迎を断ったら、職場に迷惑をかけるのかな?」
デイサービスの送迎に不安を感じている介護職の方は、少なくありません。普段は自家用車を運転できても、利用者さんを乗せた送迎車の運転となると、話は別です。
結論からお伝えすると、送迎の運転ができなくても、デイサービスで働ける場合はあります。
ただし、送迎が必須の職場もあるため、誰でも自由に運転業務を断れるわけではありません。大切なのは、運転できない理由を整理し、安全を優先して職場と相談することです。
この記事の結論
- 送迎の担当範囲は事業所や雇用条件によって異なる
- 安全に運転できない状態なら、無理に引き受けず相談する
- 添乗・施設内業務などへの役割変更を相談できる場合がある
- 調整が難しければ、送迎なしの求人を探す選択肢もある
ぼくは介護現場で15年以上働き、同じ法人のデイサービスで勤務した経験もあります。この記事では、送迎ができないときの相談方法や、無理なく働ける職場の見つけ方を具体的に解説します。
【筆者紹介】
介護業界15年以上の現役介護士(施設勤務)
※現場経験と公的データ(厚労省など)をもとに執筆しています。
【所持資格】
介護福祉士/ケアマネ/上級心理カウンセラー
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デイサービスの送迎ができなくても働ける?
送迎の運転ができないからといって、デイサービスで働くことを必ずしも諦める必要はありません。
デイサービスでは、利用者さんの送迎だけでなく、入浴介助、排泄介助、食事介助、レクリエーション、記録など、さまざまな業務があります。
送迎を専任ドライバーが担当する事業所もあれば、介護職員が交代で運転する事業所もあります。
実際に、厚生労働省の長崎労働局が公表している福祉事業所向け資料でも、運転免許がない人や運転が苦手な人が、デイサービスへの応募をためらっていることが紹介されています。
そのうえで事業所に対し、送迎が必須かどうかを求人票に明記することを勧めています。
出典:長崎労働局「魅力的な求人票を作るには」(送迎・運転業務について)
つまり、デイサービスの介護職員全員が、一律に送迎車を運転しなければならないわけではないのです。
ただし、送迎を担当しなくてよいかは、勤務先の業務分担と雇用条件によって変わります。
すでに働いている場合は上司へ相談し、これから応募する場合は求人票と面接で確認しましょう。
送迎ができない4つの理由と適切な対応

ひとくちに「送迎ができない」といっても、理由によって対処法は異なります。
| できない理由 | 優先したい対応 |
|---|---|
| 必要な運転免許がない | 運転以外の業務を相談する |
| ペーパードライバーで運転に不慣れ | 研修や担当変更を相談する |
| 利用者さんを乗せるのが怖い | 不安の内容を伝え、安全に担当できるか判断する |
| 体調や運転技量の面で安全に自信がない | 運転を無理に引き受けず、速やかに管理者へ報告する |
1.運転免許がない・必要な免許を持っていない
送迎車の運転に必要な免許を持っていない場合、その車両を運転することはできません。
そのため、送迎車を運転しない介護業務を担当できるか、採用前または配置前に相談する必要があります。
2.ペーパードライバーで運転に慣れていない
普段ほとんど運転していない人が、いきなり利用者さんを乗せて送迎するのは不安なものです。
まして、普段と違う大きさの車両、狭い道路、乗降場所への駐車などが重なると、難しさは増します。
運転技術を身につけたい場合は、事業所の研修体制や、利用者さんを乗せない状態での運転確認などを相談しましょう。練習したからといって、必ず送迎を担当する必要があるわけではありません。
3.人を乗せて運転することが怖い
自分ひとりなら運転できても、利用者さんを乗せると緊張してしまう人もいるでしょう。
特に送迎では、運転だけでなく、乗降時の安全確認、車いすの固定、シートベルト、利用者さんの体調などにも注意が必要です。
「運転免許があるから大丈夫」と単純に判断せず、利用者さんを安全に送迎できる状態かを考えなければなりません。
4.体調や運転技量に不安がある
強い眠気、体調不良、運転操作への不安などがある場合は、特に慎重な判断が必要です。
千葉県が公開している介護サービス事業者向けの安全運転に関する案内でも、運転者の健康状態の把握や、運転技量に応じた車種の選択、無理のない送迎計画などが注意事項として挙げられています。
注意|安全に運転できないときは
「人手が足りないから」「みんな運転しているから」という理由だけで、無理に送迎を引き受けないでください。
運転に支障があると感じたら、利用者さんを乗せる前に管理者へ報告し、担当変更などの安全な対応を相談することが大切です。
デイサービスの送迎ができないときの相談手順3ステップ
送迎ができないときは、ただ「嫌です」と伝えるよりも、理由と希望する対応を整理して相談することをおすすめします。
ステップ1.できない理由を具体的にする
まずは、自分が何に困っているのかを整理します。
相談前に整理したいこと
- 車を運転すること自体が苦手なのか
- 送迎車の大きさや車種に不安があるのか
- 利用者さんを乗せることに不安があるのか
- 練習や研修で改善できそうか
- 今後も送迎を担当することが難しいのか
理由を整理できれば、職場側も研修、業務分担、担当変更などを検討しやすくなります。
ステップ2.管理者に早めに伝える
相談するときは、「できません」だけで終わらず、安全上の不安と相談したいことを伝えましょう。
例えば、次のような伝え方があります。
「送迎について相談があります。普段あまり運転していないため、利用者さんを乗せて安全に運転できる自信がありません。現在の状態で送迎を担当するのは不安です。運転以外の業務を担当できないか相談させてください。」
練習する意思がある場合は、次のように伝える方法もあります。
「送迎車の運転経験が少ないので、いきなり利用者さんを乗せるのは不安です。必要な研修や運転技量の確認を受けられるか相談したいです。」
無理に「頑張れば運転できます」と約束する必要はありません。自分の状況に合った相談をしましょう。
ステップ3.代わりに担当できる業務を提案する
送迎の運転を外してもらう場合、施設内で担当できる業務もあわせて相談すると、具体的な話し合いにつながります。
相談できる業務分担の例
- 送迎車の運転ではなく添乗を担当する
- 利用者さんの受け入れや帰宅準備を担当する
- 施設内の入浴介助や排泄介助を担当する
- 記録、レクリエーション、環境整備などを担当する
ただし、添乗や乗降介助にも安全確認や介助技術が必要です。代わりの業務だからといって、準備や指導なしに担当すればよいわけではありません。
また、人員配置によっては希望どおりに変更できない場合もあります。管理者と現実的な方法を探しましょう。
送迎を断ったら怒られる?業務上の義務はある?
「送迎ができないと言ったら、わがままだと思われそう」と悩む方もいるでしょう。
ここで知っておきたいのは、送迎業務を断れるかどうかは、採用時の説明や労働契約、就業規則、実際の業務内容などによって事情が異なるということです。
例えば、送迎業務を含む仕事内容で採用された場合と、運転を担当しない条件で採用された場合では、前提が違います。
厚生労働省は、2024年4月から求人募集時などに「従事すべき業務の変更の範囲」を明示するようルールを改正しています。
出典:厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」
まずは求人票、労働条件通知書、雇用契約書などを確認し、自分がどのような業務を担当する条件になっているか整理しましょう。
注意|「苦手だから必ず断れる」とは限りません
送迎を担当する必要があるか、担当変更が可能かは個別の雇用条件や職場の状況によって変わります。一方で、実際に安全に運転できない状態を黙って引き受けることも避けるべきです。
相談しても解決せず、雇用条件との食い違いや不当な対応が疑われる場合は、労働条件に関する公的な相談窓口への相談も検討しましょう。
大切なのは、「何となく嫌だから断る」という話と、「安全上の問題があるため担当の見直しが必要」という話を混同しないことです。
送迎ができないなら、デイサービスを辞めるべき?
送迎ができないという理由だけで、すぐに退職を決める必要はありません。
まずは今の職場で業務を調整できるか確認し、それでも難しければ別の職場を考える順番でよいと思います。
| 選択肢 | 向いている状況 |
|---|---|
| 今の職場で担当変更を相談する | 送迎以外の業務は続けたい |
| 研修を受けて判断する | 運転の経験不足が主な原因 |
| 送迎なしの職場を探す | 運転業務そのものが難しい |
| 別の介護サービスを検討する | デイサービス全体の働き方も合わない |
運転以外の仕事が好きで、利用者さんとの関わりにもやりがいを感じているなら、送迎の問題だけでデイサービスを辞めてしまうのは、もったいないかもしれません。
一方で、送迎が必須の職場で担当変更も難しいのであれば、自分が無理なく働ける職場を比較することは、十分に現実的な選択肢です。
現場で経験したこと|デイサービス勤務で感じた難しさ
ぼくは以前、同じ法人のデイサービスで働いた経験があります。
当時、大変だと感じたのは、利用する方が曜日によって変わることでした。顔や名前だけでなく、飲み物の好みまで覚える必要があり、慣れるまでは先輩や利用者さんから指摘されることもありました。
また、カラオケで歌うことが苦手だったぼくにとって、歌うように促され、断りにくい雰囲気も負担でした。
これは送迎の運転についての体験談ではありません。ただ、デイサービスにはさまざまな仕事があり、得意な業務と苦手な業務があると感じた経験です。
デイサービスそのものに向いているか悩んでいる方は、デイサービスの仕事に向いていない人の特徴と判断基準も参考にしてみてください。
ぼくが大切にしている考え方|断ることも必要
以前のぼくは、嫌われたくない気持ちから、頼まれた仕事を断れずに我慢することがありました。
今は、断るべきことは断るようにしています。
もちろん、職場で協力することは大切です。でも、利用者さんの安全が関わる送迎業務なら、なおさら自分の状況を正直に伝える必要があると考えています。
送迎なしで働けるデイサービスの求人を探す方法
どうしても送迎の運転が難しい場合は、送迎なしで働ける求人を探してみましょう。
ただし、求人票に「送迎なし」と書かれていなくても、運転が必須とは限りません。逆に、「介護職員募集」としか書かれていなくても、送迎を担当する場合があります。
応募前に、実際に担当する業務を確認することが重要です。
求人票・面接で確認したい5つのこと
送迎なし求人の確認チェックリスト
- 介護職員も送迎車を運転しますか?
- 運転せずに添乗だけ担当する働き方は可能ですか?
- 送迎専任のドライバーはいますか?
- 採用後に運転業務が追加される可能性はありますか?
- 送迎を担当しない場合、勤務時間や給与などの条件は変わりますか?
特に見落としたくないのが、「今は送迎なし」なのか「今後も運転業務なし」なのかという違いです。
送迎を避けることが重要な条件なら、入職後の認識違いを防ぐためにも、仕事内容や変更の範囲を確認しておきましょう。
応募前の問い合わせ例文
問い合わせるときは、次のように伝えれば十分です。
「デイサービスの介護職求人について質問です。運転に不安があるため、送迎車の運転を担当しない働き方を希望しています。介護業務や送迎の添乗を担当する形で応募することは可能でしょうか。また、採用後に運転業務を担当する可能性はありますか?」
希望条件を最初に伝えるのは、わがままではありません。応募者と事業所の双方が、働き方の認識を合わせるための確認です。
求人票を見るときの注意点は、ブラックな介護求人の見分け方でも紹介しています。
よくある質問
運転免許がなくてもデイサービスに就職できますか?
就職できる可能性はあります。送迎の運転を担当しない介護職員を募集している事業所であれば、必要な資格や他の応募条件を満たすことで採用対象になる場合があります。
ただし、普通自動車運転免許を応募条件にしている求人もあるため、個別の求人票を確認してください。
送迎未経験なのに、いきなり運転を頼まれたら?
送迎車の運転経験がないことを伝え、研修の有無や安全に運転できるかの確認方法を相談しましょう。
安全に運転できない状態であれば、無理に引き受けず管理者へ報告してください。
送迎ができないと、介護士としての評価が下がりますか?
評価への影響は事業所の仕事内容や評価基準によって異なるため、一概にはいえません。
送迎が必須の職場では担当できる業務が限られる一方、運転以外の介護業務を担当する働き方が認められる職場もあります。
不安がある場合は、担当変更の可否だけでなく、評価や待遇への影響も確認しましょう。
利用者や家族の立場で「デイサービスが送迎できない」場合は?
この記事は介護職員が送迎の運転をできない場合を中心に解説していますが、事業所が利用者さんを送迎できない場合は、別の問題です。
まずは事業所に理由と代替手段を確認し、必要に応じて担当のケアマネジャーへ相談しましょう。家族送迎を前提にする場合も、無理なく継続できるか確認することが大切です。
なお、一般的な通所介護では、事業所が居宅と事業所の間の送迎を実施しない場合、介護報酬上、原則として片道47単位の減算が定められています。ただし、サービスの種類や算定条件によって扱いが異なる場合があり、47円の返金を意味するものではありません。
出典:厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」
まとめ|デイサービスの送迎ができないなら、まず安全と働き方を相談しよう
デイサービスの送迎ができないからといって、介護職として働くことまで諦める必要はありません。
一方で、利用者さんを乗せて運転する以上、安全を後回しにしてよいわけでもありません。
今日からできる3つの行動
- 送迎ができない理由を整理する
- 管理者に安全面と担当変更について相談する
- 調整できなければ、送迎なしの求人条件を確認する
ぼくは、介護職が自分を犠牲にして働き続けることが正解だとは思いません。
送迎ができないなら、「どうすれば安全に働けるか」を考えることが大切です。
今の職場で相談するのも、別の職場を探すのも、どちらも選択肢のひとつです。
送迎の有無だけでなく、仕事内容や勤務条件を比較したい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
介護の仕事には、いろいろな働き方があります。送迎ができないという悩みだけで、自分の可能性を狭めなくても大丈夫です。
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