介護職の先輩が怖い・苦手なときどうする?|距離の取り方・相談・パワハラの見分け方

介護職の先輩が怖い・苦手なときどうする?|距離の取り方・相談・パワハラの見分け方

「また、あの先輩と一緒のシフトか……」

シフト表で名前を見ただけで気が重くなったり、報告するときに緊張したりする先輩はいませんか。

介護職で「先輩が怖い」「苦手」と感じているなら、無理に仲良くなる必要はありません。

まずやることは、先輩の言動をに次の3つに分けることです。
1.厳しい指導の範囲
2.上司へ相談した方がよい状態
3.ハラスメントの可能性

そのうえで、仕事に必要な距離を保ち、具体的に確認し、繰り返す問題は記録して相談します。

ぼくは介護現場で15年以上働いてきましたが、先輩だから言いにくく、我慢して仕事を抱え込んだ経験があります。

この記事では、怖い先輩を変える方法ではなく、先輩に振り回されず、自分の心と仕事を守る方法を4ステップで解説します。

この記事の結論

  • 仕事以外では無理に距離を縮めなくていい
  • 注意されたら「次からどう直せばいいですか?」と具体化する
  • 同じ問題が繰り返すなら感情ではなく事実を残す
  • 人格否定・無視・過大な要求などが続くなら一人で抱えない

【筆者紹介】
介護業界15年以上の現役介護士(施設勤務)
※現場経験と公的データ(厚労省など)をもとに執筆しています。
【所持資格】
介護福祉士/ケアマネ/上級心理カウンセラー

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目次

まず判断|怖い先輩は3つに分けて考える

先輩に強く言われると、「自分が仕事できないから怒られるのかな」「これってパワハラなのかな」と分からなくなることがあります。

そこで最初に、次の3つへ分けてみてください。

状態よくある例まずすること
①指導の範囲ミスや安全面について具体的に指摘される/改善方法を教えてくれる内容を確認して次の行動を聞く
②要相談気分で態度が変わる/人によって指示が違う/仕事が偏る/強い言い方が繰り返される事実を記録し、リーダーや管理者へ相談する
③ハラスメントの可能性人格否定/執拗な叱責/仲間外し・無視/遂行困難な仕事の強要/暴力など記録を残し、職場の相談窓口や必要に応じて外部へ相談する

ここで大切なのは、「怖いと感じた=すべてパワハラ」でも、「仕事だから我慢しなければいけない」でもないことです。

厚生労働省は職場のパワーハラスメントについて、「優越的な関係を背景とした言動」「業務上必要かつ相当な範囲を超えている」「就業環境が害されている」という3つの要素をすべて満たすものとしています。反対に、客観的に見て必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は、パワハラには該当しないとしています。

詳しい基準は、厚生労働省「あかるい職場応援団」のパワーハラスメントの定義・類型を確認してください。

人格否定や無視、過大な要求などがあり「パワハラかもしれない」と感じている人は、先に介護職のパワハラ対処法|記録・相談先と辞める判断を読んでください。

【怖い先輩を「指導・要相談・ハラスメントの可能性」に分ける3段階図】

介護職で先輩が怖いときの対処法4ステップ

「明日も一緒に勤務しないといけない」という人は、次の4つから始めてください。

ステップ1|仕事に必要な距離だけ保つ

苦手な先輩と無理に仲良くなる必要はありません。

挨拶、申し送り、報告、確認など、仕事に必要なコミュニケーションは続ける。一方で、休憩中まで機嫌を取ったり、雑談へ無理に参加したりする必要はないとぼくは考えています。

「仕事はきちんとする。でも、それ以上は追いかけない」くらいで大丈夫です。

ぼく自身、苦手な人の態度を変えようとしていた時期があります。しかし、相手がどう振る舞うかまでは自分には変えられません。

今は、仕事に必要な最低限の関係を保ち、「相手にしすぎない」と考えるようにしています。

ステップ2|注意されたら「どう直せばいいですか?」と具体化する

怖い先輩から注意されると、とりあえず「すみません」と言って終わらせたくなります。

ただ、曖昧なままだと次も同じことで注意される可能性があります。

そんなときは、反論するのではなく次のように確認します。

「次から直したいので、どの部分をどうすればいいか教えてもらえますか?」

「確認なんですが、○○するという認識で合っていますか?」

「AとBなら、どちらを先にした方がいいですか?」

注意の内容を具体化すると、「本当に業務上必要な指導なのか」「その先輩個人のやり方なのか」も見えやすくなります。

介護では利用者さんの安全に関わることもあります。怖いからと報告・確認そのものをやめるのは避けましょう。

ステップ3|繰り返すなら「感情」ではなく「事実」を記録する

一度だけ口調が強かった程度なら、その日の忙しさなどが影響している可能性もあります。

しかし、同じような言動が繰り返されるなら記録を始めます。

  • 日時
  • 場所
  • 実際に言われた言葉・されたこと
  • そのとき行っていた業務
  • 仕事や安全にどんな影響があったか
  • 同席していた人

「いつも嫌味を言われます」だけよりも、「10月5日の申し送りで○○と言われた。職員3名がいた」のように事実を残した方が、あとで相談するときに状況を伝えやすくなります。

ステップ4|事実・影響・希望の3つを伝えて相談する

自分だけでは変えにくい状態なら、リーダー・主任・管理者などへ相談します。

ポイントは「○○さんが嫌いです」で終わらせず、次の3つを伝えることです。

  1. 事実:何が起きているのか
  2. 影響:業務・利用者さん・自分にどんな影響があるのか
  3. 希望:どう調整してほしいのか

たとえば、「○○さんと合いません」ではなく、「ナースコール対応が自分に偏る勤務が続いています。別の利用者さんの介助にも影響が出そうなので、業務分担について一度確認してもらえませんか」という伝え方です。

相手が直属の上司なら、その上の管理者や法人の相談窓口へ相談する方法もあります。

【怖い先輩への対処4ステップ「距離→具体化→記録→相談」】

ぼくも「先輩だから言いにくい」と我慢していました

ぼく自身、先輩との関係でモヤモヤしながら働いた経験があります。

ナースコールが鳴ると、その先輩は座ったまま「ナースコールだよ〜」「ほら、急いで〜」と言うだけ。ぼくが廊下を走って対応していました。

忙しい時間帯でも先輩は利用者さんと話していて、「二人分の仕事を一人でしているみたいだ」と感じることもありました。

でも相手は先輩です。

言いにくくて、「我慢しよう」と自分に言い聞かせていました。

この経験から感じるのは、我慢しているだけでは、周囲から仕事の偏りが見えにくいということです。

「あの先輩が嫌い」と訴えるより、「この時間帯に自分が○件対応し、その間ほかの業務が遅れた」のように事実として整理した方が、職場の問題として相談しやすくなります。

先輩と戦うことが目的ではありません。利用者さんへのケアと、自分が無理なく働ける状態を守ることが目的です。

先輩との人間関係で辞める人は珍しくない

「こんなことでつらいと思う自分が弱いのかな」と考える人もいるかもしれません。

しかし、介護労働安定センターの令和7年度介護労働実態調査では、直前の仕事が介護関係だった人が辞めた理由で、「職場の人間関係に問題があったため」が27.3%と最も高くなっています。

さらに、人間関係を理由に辞めた人の具体的な内容では、「上司や先輩からの指導や言動がきつかったり、パワーハラスメントがあった」が45.8%で最も高い結果でした。

もちろん、この数字だけで「怖い先輩がいる職場は辞めるべき」とは言えません。

ただ、先輩との関係で仕事を続けられないほど消耗することを、「自分の我慢が足りない」で片づけなくていいとは言えると思います。

「厳しい指導」と「パワハラ」はどう違う?

厚生労働省が示す代表的なパワハラの類型は、「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」の6つです。

場面指導の例注意したい例
介助方法「この方法だと転倒リスクがあるので、次は二人介助にしよう」「こんなこともできないなら介護職辞めたら?」と人格まで否定する
ミス何が違ったか、次はどうするかを具体的に伝える他の職員の前で長時間・繰り返し威圧的に叱責する
業務分担経験に合わせ、説明やフォローをしながら仕事を任せる明らかに遂行できない量の仕事を繰り返し押し付ける
人間関係必要な業務連絡は行う必要な情報から意図的に外す、仲間外しや無視をする

実際にパワハラへ該当するかは、言動の内容・回数・関係性・状況などによって個別に判断されます。

「自分では判断できない」という段階でも相談して構いません。社内で解決できない場合、厚生労働省の総合労働相談コーナーでは、いじめ・嫌がらせ・パワハラを含む労働問題について無料で相談できます。

怖い先輩に対してやらない方がいい3つのこと

怖いから報告・確認をやめる

介護では小さな情報共有の不足が、利用者さんの安全に影響することがあります。

相手が怖くても、必要な報告・連絡・相談は止めないようにします。直接話しにくいなら、第三者に同席してもらうなど方法を変えましょう。

悪口に悪口で対抗する

味方を増やそうとして悪口を広げると、問題が「どちらが悪いのか」という人間関係の争いへ変わってしまいます。

相談するときは、人柄の評価ではなく具体的な言動や業務上の影響を伝える方がよいです。

全部自分が我慢すればいいと考える

短期間ならやり過ごせても、それが毎日のように続くと消耗します。

介護職は、我慢するために働いているわけではありません。

だからといって、すぐ辞める必要もありません。距離を取る、相談する、シフトや担当を調整してもらう、異動を相談する、別の職場の情報だけ見てみる。辞めるか我慢するか以外にも選択肢はあります。

それでも先輩が怖くて仕事がつらいときの判断基準

対処しても改善しない場合は、「その先輩に耐えられるか」ではなく、この環境で安心して仕事を続けられるかで考えてみてください。

  • シフトでその人の名前を見るだけで強い憂うつを感じる
  • 怖くて必要な報告・質問までできない
  • 相談しても職場が取り合ってくれない
  • 同じ言動が繰り返されている
  • 利用者さんや職員の安全にも影響している

当てはまるものが多いなら、個人間の相性だけではなく、職場側の対応も含めて考える段階です。

先輩だけでなく職場全体の人間関係がつらい場合は、介護職の人間関係の悩みと対処法で原因を整理してください。

無視・悪口・嫌味・派閥など、いわゆる「お局・古株」との関係が中心なら、介護職のお局が怖い・しんどいときの対処法で実体験も紹介しています。

「もう辞めた方がいいのかな」と迷うほどつらい人は、介護職を辞めたいときの限界サインと後悔しない判断基準を参考にしてください。

それでも先輩が怖くて仕事がつらいときの判断基準

よくある質問

先輩の言い方がきついだけでもパワハラですか?

言い方がきついという事実だけでは、パワハラとは断定できません。業務上必要な指導か、必要な範囲を超えているか、就業環境へどの程度の影響が出ているかなどを含めて判断されます。ただし、人格否定や執拗な叱責などが続いているなら、一人で判断せず相談してください。

怖い先輩にも質問した方がいいですか?

利用者さんの安全や業務に必要な確認なら、質問した方がよいです。「わからないので教えてください」だけではなく、「AとBならどちらですか?」のように具体的に聞くと、短いやり取りで確認しやすくなります。

怖い先輩がリーダーや上司の場合は誰に相談しますか?

その人より上位の管理者、施設長、法人本部、人事・相談窓口などが候補です。職場内で相談しにくい場合は、総合労働相談コーナーなど外部の相談先もあります。

一人の先輩が嫌なだけで転職を考えるのは甘いですか?

一人との関係だけで即座に転職すべきとは言えません。ただ、その人の存在によって必要な報告ができない、毎日の勤務が強く苦痛になっている、相談しても改善されないのであれば、働く環境を見直す理由にはなります。

まとめ|怖い先輩を変えるより、自分を守る行動を決めよう

苦手な先輩と、無理に分かり合う必要はありません。

仕事に必要な関係は保ちながら、必要以上に相手へ振り回されないことも大切です。

  1. 仕事に必要な距離だけ保つ
  2. 注意された内容を具体化する
  3. 繰り返す問題は事実として残す
  4. 自分だけで変えられなければ相談する

まずは次の勤務で、「次からどう直せばいいですか?」という一言を使うか、気になった出来事を1件だけメモするところから始めてみてください。

それでも改善せず、「怖い」ではなく人格否定・無視・過大な要求などが続いているなら、我慢だけで解決しようとしなくて大丈夫です。

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この記事を書いた人

【介護業界15年以上】
資格:介護福祉士、介護支援専門員、上級心理カウンセラー
施設のリーダーで採用から教育に関わる
現役介護士ならではの「体験談」や「介護現場の声」を発信しています。
「ブラック企業」から「ホワイト企業」に転職した経験を活かし、転職に失敗しない方法も紹介しています。

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