「紙おむつの交換方法がよくわからない」
「テープタイプをうまく当てられない」
「交換してもすぐにズレてしまう」
介護を始めたばかりの方なら、こんな悩みがあるのではないでしょうか。
紙おむつの交換では、交換する手順だけでなく、本人の安全・皮膚の清潔・プライバシーへの配慮が大切です。
ぼくは介護現場で15年以上働いている現役の介護福祉士です。
この記事では、高齢者の紙おむつの交換方法を、パンツタイプとテープタイプに分けて解説します。
初めて介助する家族の方にも、介護現場で働き始めた新人さんにも、必要な手順がわかるようにまとめました。
この記事の結論
- 交換前に必要なものを準備する
- 本人に説明し、同意を確認する
- 汚れた紙おむつを外し、皮膚を清潔にする
- 新しい紙おむつを正しい位置に当てる
- ズレ・締めつけ・皮膚の状態を確認する
この5つを基本に、本人の身体状況と使用する製品に合わせて交換します。
なお、これから使用する紙おむつを選びたい方は、高齢者用紙おむつの選び方を解説した記事をご覧ください。
【筆者紹介】
介護業界15年以上の現役介護士(施設勤務)
※現場経験と公的データ(厚労省など)をもとに執筆しています。
【所持資格】
介護福祉士/ケアマネ/上級心理カウンセラー
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紙おむつ交換の基本手順は5ステップ
まずは紙おむつの種類にかかわらず、共通する基本の流れを覚えましょう。
- 準備する:必要なものを手の届く場所にそろえる
- 説明する:本人に声をかけ、交換することを確認する
- 外して清潔にする:汚れた紙おむつを外し、排泄物を取り除く
- 新しいものを当てる:身体に合わせて紙おむつやパッドを装着する
- 確認・片付け:装着状態、皮膚、衣類、安全を確認して終了する
大切なのは、速く交換することよりも、安全に、必要な介助だけで交換することです。

紙おむつ交換の前に準備するもの
交換を始めてから必要なものを取りに行くと、本人を待たせたり、汚れた手袋で周囲のものを触ったりする原因になります。
事前に以下のものを準備してください。
- 新しい紙おむつ
- 必要に応じて尿とりパッド
- 使い捨て手袋
- おしりふき・清拭用品・必要な洗浄用品
- 使用済み紙おむつを入れる袋や容器
- 必要に応じて防水シートや使い捨てエプロン
感染対策も忘れずに
紙おむつの交換では排泄物に触れる可能性があるため、手袋や手指衛生などの感染対策が欠かせません。
厚生労働省の「介護現場における感染対策の手引き」でも、排泄物の取り扱いや手袋の使用、ケア後の手指衛生について説明されています。
参考:厚生労働省|介護現場における感染対策の手引き(第3版・PDF)
汚れた手袋のまま新しい紙おむつや周辺の物品を触らないようにしましょう。清潔な作業と汚染された作業を区別し、必要なタイミングで手袋を交換してください。手袋を外したあとにも手指衛生を行います。
パンツタイプの紙おむつ交換方法【座って・立って交換】
パンツタイプは、本人が座れる方や、安全に立てる方に使いやすい紙おむつです。
ここでは、トイレや椅子に座って交換する場合の基本的な流れを説明します。
手順1.本人に説明し、安全な姿勢を確保する
まずは本人に紙おむつを交換することを伝え、同意を確認します。
トイレの便座や安定した椅子などに座ってもらい、転倒しないように環境を整えます。
立ち上がるときは、必要に応じて手すりを利用します。立位が不安定な方を無理に立たせないでください。
手順2.汚れた紙おむつを外す
ズボンと紙おむつをゆっくり下ろします。
紙おむつ本体を交換する場合は、製品によっては両脇の接合部分を破って外せます。
排便があるときは、便が周囲や衣類に広がらないよう注意してください。
手順3.陰部やおしりを清潔にする
汚れを確認し、おしりふきや適切な洗浄用品で清潔にします。
皮膚をゴシゴシと強くこすらず、やさしく汚れを取り除きましょう。
赤み、ただれ、傷、痛みなどがないかも確認してください。
手順4.新しい紙おむつをはく
紙おむつの前後を確認し、座った姿勢で片足ずつ通します。
太もものあたりまで上げたら、本人が安全に立てる場合は、手すりなどを利用して立ってもらい、ウエストまで引き上げます。
本人が自分で上げられる部分は、できる範囲で行ってもらいましょう。
尿とりパッドを併用する場合は、使用する製品の説明に従ってセットします。
手順5.ズレと締めつけを確認する
交換後は、次の状態を確認します。
- 前側だけでなく背中側まで上がっているか
- 足まわりのギャザーが折れていないか
- 尿とりパッドがずれていないか
- 身体を締めつけていないか
- 衣類が紙おむつの内側に挟まっていないか
最後に衣類を整え、本人が苦しくないか、不快感がないかを確認して終了です。



テープタイプの紙おむつ交換方法【寝たまま交換】
テープタイプは、ベッド上で交換する場合に使用されることが多い紙おむつです。
寝返りや体位変換に介助が必要な方は、身体に負担をかけない方法を確認してから行いましょう。
骨折や強い痛み、拘縮、褥瘡、医療機器の装着などがある場合は、無理に動かさず、看護職や担当する専門職に安全な方法を相談してください。
手順1.説明し、交換しやすい環境を整える
本人に交換することを伝え、同意を確認します。カーテンやドアでプライバシーを守り、必要以上に身体を露出させないようにしましょう。
ベッドの高さを調整できる場合は、安全な作業姿勢に整えます。ベッドの転落防止とブレーキの状態も確認してください。
手順2.汚れた紙おむつを開く
左右のテープを外し、紙おむつを開きます。
排泄物の状態を確認しながら、汚れを周囲に広げないように扱います。
手順3.陰部とおしりを清潔にする
まず前側の汚れを取り除きます。
その後、本人の身体状況に合わせて安全に横向きになってもらい、おしり側も清潔にします。
皮膚を強くこすらず、汚れを取り除いたあとは必要に応じて水分をやさしく拭き取ります。
汚れた紙おむつは内側へ丸め、皮膚や清潔な用品に触れないように扱いましょう。
手順4.新しい紙おむつを身体の下にセットする
清潔な手袋で新しい紙おむつを準備します。
本人が安全に横向きになれる状態で、新しい紙おむつの片側を丸めて身体の下に差し込みます。
製品の説明に従い、紙おむつの中心が身体の中心と合うように位置を調整してください。
本人をゆっくり仰向けに戻し、反対側の紙おむつを広げます。
手順5.前側を引き上げてテープを固定する
股の間から紙おむつを引き上げ、身体に沿わせます。
足の付け根に大きな隙間ができていないか、漏れ防止ギャザーが正しい位置にあるかを確認します。
左右のテープは、製品の説明に従い、体型に合わせて固定します。
強く締めつければ漏れにくくなるわけではありません。きつさや痛みがないことも確認しましょう。
手順6.全体を確認して終了する
紙おむつの位置、テープの固定、パッドのズレ、皮膚の圧迫がないかを確認します。
衣類と寝具を整え、身体を安全で楽な姿勢に戻してください。
使用済み用品を施設や自治体のルールに従って処理し、手指衛生を行います。
参考:ユニ・チャーム公式|寝た姿勢で交換する(テープタイプ)



紙おむつ交換で失敗しないための5つのコツ
1.本人ができる動作を奪わない
紙おむつの交換では、本人ができることまで介助者が行ってしまう場合があります。
たとえば、紙パンツを自分で少し上げられる方なら、できる部分は本人にお願いする方法もあります。
ただし、無理に自分でしてもらう必要はありません。安全にできる動作を見極め、必要な部分だけ手伝うことが大切です。
2.紙おむつを重ねて使わない
尿漏れが心配だからといって、尿とりパッドを何枚も重ねることはおすすめしません。
パッドの防水面が尿の通過を妨げたり、重ねた厚みで隙間ができたりする場合があるためです。
メーカーが認めている組み合わせと使用枚数を守り、必要な吸収量の製品を使いましょう。
3.ギャザーとパッドの位置を確認する
紙おむつのギャザーや尿とりパッドが正しい位置にないと、十分な吸収性能があっても尿が漏れることがあります。
交換後に「足まわり」「おなか側」「背中側」を確認する習慣をつけるとよいでしょう。
また、メーカーによって正しい当て方が異なる場合があります。迷ったときは製品ごとの説明を優先してください。
4.皮膚の赤みやただれを見逃さない
交換は単に紙おむつを新しくする時間ではありません。
おしりや足の付け根、仙骨部などの皮膚を観察できる機会でもあります。
赤みが続く、皮膚がむけている、傷がある、強い痛みがあるなどの場合は、自己判断で放置せず、看護職や医療機関に相談してください。
5.交換する人の都合だけで進めない
介護現場では、時間に追われて紙おむつを交換することもあります。
それでも、本人への説明や同意、安全確認を省いてよいわけではありません。
ぼくが大切にしているのは、「正しい手順を守りながら、その人に合った介助をすること」です。
以前、介助のたびに細かく声をかけられることを嫌がる利用者さんがいました。
そこで気づいたのは、同じ説明でも、人によって受け止め方が違うということです。
丁寧に説明してほしい方もいれば、必要な説明を簡潔にしてほしい方もいます。
説明と同意を大切にしながら、声のかけ方や伝え方は本人の希望に合わせて調整したいですね。
紙おむつは何時間おきに交換する?頻度とタイミング
紙おむつの交換頻度は、誰でも一律ではありません。
本人の排尿量、排便の有無、皮膚の状態、使用する製品、生活リズムによって変わります。
日本衛生材料工業連合会では、交換頻度の一例として3〜4時間ごとの確認を紹介していますが、すべての方に同じ間隔で交換するという意味ではありません。
排便があった場合
便が皮膚についた状態が長く続かないように、できるだけ早く交換し、皮膚を清潔にします。
尿が出た場合
尿量、本人の不快感、製品の吸収能力、皮膚の状態を確認して交換します。
「何時間たったから交換する」だけではなく、本人の排尿パターンを把握することも大切です。
夜間の場合
夜間は睡眠への配慮も必要です。漏れがなく、本人の状態や製品が適している場合は、毎回起こして交換する必要がないケースもあります。
ただし、便汚染や皮膚トラブル、尿漏れなどがある場合は別です。身体状況やケア計画に応じて判断してください。
夜間のおむつ外しに困っている介護職の方は、介護現場のおむつ外しへの対応方法も参考にしてください。
ぼくが紙おむつを実際にはいて気づいたこと
紙おむつ交換で大切なのは技術だけではありません。
介助される方の気持ちを考えることも必要です。
ぼくは以前、利用者さんの気持ちを知りたいと思い、自宅で紙おむつを装着したことがあります。
尿とりパッドに排尿しようとしたのですが、なんだかためらってしまい、結局できませんでした。
頭では「紙おむつに排尿すればいい」とわかっているのに、簡単にはできなかったんです。
もちろん、これはぼく個人の体験であり、すべての利用者さんが同じ気持ちとは限りません。
ただ、この経験から、紙おむつでの排泄に心理的な抵抗を感じる人もいると実感しました。
だからこそ、紙おむつを交換するときは、本人の気持ちを置き去りにしたくありません。
紙おむつを交換することは作業ではなく、利用者さんの生活を支える介護の一部です。
手順を正しく覚えると同時に、本人の尊厳も大切にしたいと思っています。
紙おむつの交換方法についてよくある質問
Q.紙おむつ交換で本人が嫌がる場合はどうする?
まずは、なぜ嫌がっているのかを確認しましょう。羞恥心、痛み、不快感、タイミングなど、さまざまな理由が考えられます。
緊急性がない場合は、無理強いせず、声のかけ方や時間、担当者などを見直す方法があります。必要に応じて家族や専門職とも相談してください。
Q.尿とりパッドだけ交換してもよい?
外側の紙おむつが汚れておらず、製品がパッド併用を想定している場合は、パッドのみを交換することもできます。
ただし、紙おむつ本体も汚れたり、湿ったりしていれば交換が必要です。本体がきれいに見えても、衛生面を考えて適切なタイミングで交換してください。
Q.寝たきりの方は必ずテープタイプにするべき?
必ずしもそうとは限りません。パンツタイプを寝た姿勢で交換する方法もあります。
ただし、身体状況や介助の安全性によって適した方法は変わります。無理なく交換できる製品や方法を検討してください。
製品選びの詳しい判断基準は、高齢者用紙おむつの選び方で解説しています。
Q.紙おむつを交換しても尿が漏れる場合は?
サイズ、当て方、尿とりパッドの位置、ギャザー、吸収量などを確認してください。
漏れが続く場合は、どの部分から、いつ、どのような姿勢で漏れるのかを記録すると原因を整理しやすくなります。
尿漏れについて詳しく知りたい場合は、紙おむつの選び方と尿漏れ対策を解説した記事を参考にしてください。
まとめ|紙おむつ交換は正しい手順と本人への配慮が大切
紙おむつの交換方法で大切なのは、次の5つです。
- 交換前に必要なものを準備する
- 本人に説明し、同意を確認する
- 汚れた紙おむつを外し、皮膚を清潔にする
- 身体に合った位置に新しい紙おむつを当てる
- 皮膚・装着状態・安全を確認して終了する
パンツタイプとテープタイプでは交換方法が異なるため、本人の身体状況と製品の説明に合わせて行いましょう。
また、紙おむつ交換に慣れてきても、説明や同意、安全確認を省かないことが大切です。
ぼく自身、介護経験を重ねるなかで「正しい手順だけでは十分ではない」と感じるようになりました。
本人ができることを大切にし、不安や羞恥心にも配慮する。そんな介護を続けていきたいと思います。
次に確認しておきたいこと
交換方法がわかったら、今使っている紙おむつが本人の状態に合っているかも確認してみましょう。
執筆:介護現場経験15年以上の現役介護福祉士。介護福祉士・ケアマネジャー資格保有。本記事は一般的な介護技術の解説です。実際の介助では、本人の状態、製品の取扱説明書、施設の手順、専門職の指示を優先してください。
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