介護士何度話しても、全然伝わらない……




大きな声で伝えても、『聞こえない!』と言われてしまう……
そんな経験はありませんか?
結論:耳が遠い高齢者と会話するコツは、
「ゆっくり・短く・正面から」が基本です。




介護士歴15年以上の筆者が、耳が遠い高齢者とスムーズに会話するためのコツを解説します。
- 話すときのコツを知ることが大事
正面に立ってゆっくり、はっきりした低い声と体の動き(ジェスチャー)を使うと、わかりやすく伝わります。 - うまく伝わらないときは筆談も使う
声だけだと聞こえにくい人もいるので、文字で書いて見せる(筆談)ことも役に立ちます。 - 失礼にならない注意点も忘れない
ちゃんと敬語で話し、難しい言葉を使わず、いきなり後ろから話しかけないようにすると安心して会話できます。
実は、ただ大声で話すだけでは、相手に伝わりにくいんです。
ちょっとした工夫をするだけで、会話がスムーズになり、高齢者の安心感や信頼につながりますよ。
✅ 声を張るよりも「話し方」を変える
✅ 相手の視界に入り、口元を見せながら話す
✅ 一度に伝える情報はシンプルに
✅ 環境を整え、雑音を減らす
✅ 補聴器や筆談を上手に活用する
この記事を読めば、高齢者との会話のストレスが減り、よりスムーズなコミュニケーションが取れるようになります。
耳が遠い高齢者と会話するときは、視覚と聴覚の情報を最大限に活かして、わかりやすく伝えましょう。
<耳が遠い高齢者と会話するときの5つのコツ>
- 正面から話す
- ゆっくり話す
- 相手の表情をマネする
- 低めの声で話す
- ジェスチャーをつかう
「話が通じなくて困っている…」という方は、ぜひチェックしてください。
高齢者との会話のネタはこちら高齢者と会話するときのネタ5選 会話が盛り上がるコツを参考にしてください。
【筆者紹介】
介護業界15年の現役介護士です。
※現場経験と公的データ(厚労省など)をもとに執筆しています。
【所持資格】
介護福祉士/ケアマネ/上級心理カウンセラー



詳しくはトップページのプロフィールに記載
耳が遠い高齢者と会話するときの5つのコツ



耳が遠い高齢者と会話するときは、次に紹介する5つのコツを意識しましょう。
これまでよりも、スムーズに会話ができるようになりますよ。
<耳が遠い高齢者と会話するときの5つのコツ>
- 正面から話す
- ゆっくり話す
- 表情豊かに話す
- 低めの声で話す
- ジェスチャーをつかう



昔は声を大きくすればいいと思っていました。
でも逆効果でした。
相手の立場に立って、どう聞こえているか想像するだけで会話の質が変わります。
正面から話す
会話するときは、相手の正面から、口の動きを意識して話しましょう。
なぜなら、「メラビアンの法則」では、コミュニケーションのときに、「視覚情報」が最も相手に与える影響が大きいとされているからです。
<メラビアンの法則>
- 視覚情報が55%
- 聴覚情報が38%
- 言語情報が7%
耳元で大きな声で話しをすると、視覚情報の55%を損することになります。
相手にきちんと情報を伝えるために、メラビアンの法則を最大限に活用しましょう。
ゆっくり話す
相手が理解できるように、ゆっくりと話しましょう。
早口だと何を言っているかわかりません。相手は理解できずにポカーンとしてしまいます。
耳が遠いだけでなく、認知症により理解力が低下している方もいるので、誰にでも理解できるくらいに、ゆっくりとわかりやすく話しましょう。
表情豊かに話す
表情豊かに話せば、視覚情報から相手の感情を汲み取ることができます。
笑顔で接すれば、相手の警戒心を取り除き、きちんと話を聞いてもらえるでしょう。
会話のときも相手の話に合わせて、リアクションをすることで「話を聞いてもらえている」と思ってもらえますよ。
●相手が「腰が痛い、膝が痛い」など、体の不調を話しているときは、こちらもつらそうな表情をすることで、相手の気持ちに共感していることを伝えることができます。
●相手が笑顔で話しているときは、こちらも笑顔で話を聞きましょう。
低めの声で話す
年齢と共に高い音域を聞き取りにくくなります。
高齢者との会話のときは、低めの声で話すことを意識しましょう。
大きな声で話せばいいわけではありません。
リクルートメント現象といって、音の大きさの感覚に異常が起こり、小さい音では聞こえないが、少し大きい音が非常にうるさく響いて聞こえる場合がある(中野,2009)。したがって、加齢性難聴の高齢者に、大きな声で話しかけることは、苦痛を与えるだけで、聞こえの改善には繋がらないことがある。
引用:西城国際大学「難聴高齢者とのコミュニケーション―ICF モデルの視点から―」
ジェスチャーを使う
高齢者との会話では、ジェスチャーを使うことで、話の内容を理解しやすくなります。
これも、メラビアンの法則ですね。
<メラビアンの法則>
- 視覚情報が55%
- 聴覚情報が38%
- 言語情報が7%
ぼくが、耳の遠い高齢者と話すときは、ジェスチャーゲームのように、身振り手振りを使って伝えています。
どうしても会話が難しいときは?:筆談しましょう



耳が遠い高齢者との会話が難しいときは、筆談しましょう。
正確に情報を伝えることができなければ、「そんなこと聞いていない!」と、トラブルの原因となります。
病院に行く日時など、重要なことは間違いを防ぐために、筆談で伝えるべきですね。
筆談で書いた紙を渡せば、伝えた証拠となり、トラブルを防ぐことができます。



筆談は手間に感じますが、確実に伝わります。
トラブル防止にもなるので、現場ではかなり助けられています。
【体験談】難聴かと思ったら、耳アカが詰まっていた話
難聴の新規利用者さん、耳の中を見てみると、耳アカで塞がっている。
「これは、聞こえないのも無理がない」
耳アカを取ってみる。
手前は取れたが、奥まで耳アカ詰まっている……
これ以上、耳かきで取るのは無理なので、耳鼻科を受診。
笑顔で戻ってきた利用者さん。
「聞こえるようになったよ」と、うれしそう。
なぜ、耳の聞こえが悪いのか?という視点も大切ですね。
独り暮らしの高齢者は、耳かきができず、耳アカが詰まっていることが多いです。
「耳が遠い」と感じたら、耳の中をチェックしてみましょう。
耳が遠い高齢者と会話するときの注意点3選



耳が遠い高齢者と会話するときに、これまでに解説したコツを実践するだけでは不十分です。
次に解説する「注意点」も押さえておかなければいけません。
<耳が遠い高齢者と会話するときの注意点3選>
- 敬語で話す
- 専門用語や新しい言葉を使わない
- いきなり話しかけない
上記のことを守らなければ、次のようなことが起こります。
- 失礼だと思われて、立腹される
- 会話の内容が理解できなくて、敬遠される
- 最悪の場合”転倒事故”につながる
あなたとの信頼関係に亀裂が入る可能性があるので、会話するときに気をつけましょう。



「さっき言いましたよね?」は言わないようにしています。
関係性が一気に悪くなりますから。
笑顔を意識するだけで、会話がスムーズになりました。
敬語で話す
人生の大先輩である高齢者に対して、敬意を払い、敬語を使いましょう。
介護職の中には「信頼関係があれば、砕けた言葉遣いでもいい」という人がいますが、そうではありません。
なぜなら、言葉の受け取り方は、人それぞれ違います。
介護職は”これくらいいいだろう”と思っていても、利用者さんは嫌な思いをしている可能性があるのです。
利用者さんをあだ名で呼んだり、タメ口や、赤ちゃん言葉で会話するは論外です。
言葉によって高齢者の心を傷つけたら、心理的虐待になるので注意しましょう。
心理的虐待:高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい
出典:厚生労働省「高齢者虐待防止の基本」
心理的外傷を与える言動を行うこと。
専門用語や新しい言葉を使わない
高齢者との会話では、専門用語や新しい言葉を使わずに、わかりやすい表現で話しましょう。
なぜなら、高齢者は最近のトレンドについて行けず、新しい言葉を理解するのが難しくなるからです。
<高齢者がわからないような言葉>
- インターネットやSNSに関する言葉
- メール、LINE、Twitter、Facebook、YouTube、Instagram など
- スマートフォンやタブレットに関する言葉
- アプリ、タッチパネル、フリック入力、タブレット、スマートウォッチなど
- 新しい技術や流行に関する言葉
- ドローン、VR、AR、AI、IoT、ビッグデータなど
- 流行語や若者言葉
- インスタ映え、リア充、草、ヤバいなど
専門用語は、高齢者でなくてもわかりません。
「自分がわかる言葉=相手がわかる言葉」ではないのです。
ぼくの職場の看護師さんが、利用者さんに対して「VDSは飲みましたか?」と聞いていました。
当然、利用者さんは何を言っているのか理解できません。
「寝る前の薬は飲みましたか?」と言い換えて、ようやく理解されました。
”誰にでもわかる言葉”で会話するように心がけましょう。
いきなり話しかけない
耳が遠い高齢者は、いきなり話しかけられても、聞き取ったり、理解したりするのが困難です。
そのため、「これから話しかける」ということがわかるようにしましょう。
具体的には次のようなことが有効です。
- 相手の視界に入る
- 名前を呼ぶ
相手の注意を引いてから話を始めましょう。
また、いきなり話しかけると、相手がビックリしてしまいます。
とくに注意したいのは、後ろから話しかけることです。
後ろから話しかけると、振り返るときにバランスを崩して、転倒事故につながります。
高齢者にいきなり話しかけたり、後ろから話しかけることは、絶対にやめましょう。
よくある質問【Q&A】
- 耳が遠い高齢者には、大きな声で話したほうがいいですか
-
いいえ、大きな声より「ゆっくり・はっきり」が大事です。
大声は怒られていると感じさせることがあります。
正面に立ち、口の動きが見えるように、短い言葉で話す方が伝わりやすいです。 - 何度も聞き返されると、正直イライラしてしまいます…。
-
それは自然な気持ちです。でも伝え方を変えるとラクになります。
一文を短くするだけでも、聞き返しは減ります。 - 筆談は失礼になりませんか?
-
失礼ではありません。むしろ安心してもらえる方法です。
「書いたほうが分かりやすいですね」と一言添えるだけで、相手の表情が変わります。
無理に話し続けるより、トラブル防止にもなります。 - マスクをしていると、さらに伝わりにくいです。
-
はい。なので身ぶり手ぶりがとても役立ちます。
指差しやジェスチャーを使うだけで理解度が上がります。
可能なら、少し距離を取ってはっきり話すのも効果的です。 - 耳が遠い高齢者に、やってはいけないことは何ですか?
-
怒鳴る・急に話しかける・子ども扱いはNGです。
本人のプライドを傷つけてしまいます。
「伝える」より「安心させる」を意識すると、会話はうまくいきます。 - 忙しい現場でも、この対応は必要ですか?
-
はい。結果的にそのほうが時間短縮になります。
聞き返しやトラブルが減るので、やり直しが少なくなります。
丁寧な対応=効率が悪い、ではありません。
まとめ
- 話すときのコツを知ることが大事
正面に立ってゆっくり、はっきりした低い声と体の動き(ジェスチャー)を使うと、わかりやすく伝わります。 - うまく伝わらないときは筆談も使う
声だけだと聞こえにくい人もいるので、文字で書いて見せる(筆談)ことも役に立ちます。 - 失礼にならない注意点も忘れない
ちゃんと敬語で話し、難しい言葉を使わず、いきなり後ろから話しかけないようにすると安心して会話できます。
今回は「耳が遠い高齢者と会話するときのコツ」について解説しました。
おさらいすると、次のとおりです。
<耳が遠い高齢者と会話するときの5つのコツ>
- 正面から話す
- ゆっくり話す
- 表情豊かに話す
- 低めの声で話す
- ジェスチャーをつかう
<耳が遠い高齢者と会話するときの注意点3選>
- 敬語で話す
- 専門用語や新しい言葉を使わない
- いきなり話しかけない
上記のようなコツや、注意点を押さえて会話すると、スムーズで失礼のない会話をすることができます。
円滑なコミュニケーションで、より良い人間関係を築きましょう。
最後まで読んでくれた、あなたを応援しています。
では、また。














