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「介護職はこんなに大変なのに、どうして給料が安いんだろう?」
夜勤もある。身体的な負担も大きい。利用者さんの命や生活を支える責任もある。それなのに、給料明細を見てがっかりすることはありませんか?
ぼくも介護現場で15年以上働いています。ニュースで日本の平均年収を見るたび、自分の給料と比べて落ち込むことがあります。
介護職の給料が上がりにくいのは、個人の努力だけでは変えられない業界の仕組みがあるからです。
具体的には、介護報酬の仕組み、事業所の経営状況、賃金の配分、評価制度、専門性の評価という5つの問題が関係しています。
ただし、すべての介護施設の給料が同じように安いわけではありません。勤務先によって基本給や手当、賞与に差があります。
この記事では、最新の公的データを使って給料が安い理由を解説し、「今の職場で何を確認するべきか」「収入を増やすにはどうすればよいか」まで整理します。
この記事の結論
- 介護職の給料は、2025年の公的統計で全産業平均より月8.2万円低い。
- 介護報酬が公定価格であるため、事業所が自由に値上げしにくい。
- 処遇改善加算が増えても、全職員の給料が一律に上がるとは限らない。
- 資格手当・基本給・賞与などは勤務先によって異なる。
- 今の職場での待遇改善、求人比較、副業という選択肢がある。
【筆者紹介】
介護業界15年以上の現役介護士(施設勤務)
※現場経験と公的データ(厚労省など)をもとに執筆しています。
【所持資格】
介護福祉士/ケアマネ/上級心理カウンセラー
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介護職の給料は本当に安い?最新の公的データで比較
まず、介護職の給料がどれくらいなのか、数字で確認しましょう。
厚生労働省が公表した「賃金構造基本統計調査による介護職員の賃金の推移」では、2025年の賞与込み月額が次のようになっています。
| 比較対象 | 賞与込み月額 |
|---|---|
| 介護職員 | 31.4万円 |
| 全産業平均(役職者抜き) | 39.6万円 |
| 差額 | 8.2万円 |
同じ統計による比較では、介護職員の賃金は全産業平均より月8.2万円低い結果です。
ただし、これは手取り月収ではありません。調査年の6月に支払われた給与に、前年の賞与を12分の1にした金額を加えた統計上の月額です。また、職種や年齢、勤続年数などの構成も異なるため、差額のすべてが介護業界特有の賃金格差だと断定することはできません。
出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査による介護職員の賃金について」
介護職の賃金は上がっているが、差は残っている
同じ統計では、介護職員の賞与込み月額は2024年の30.3万円から、2025年には31.4万円へ上昇しています。
つまり、「介護職の給料はまったく上がっていない」というわけではありません。
一方で、全産業平均との開きは残っています。賃上げが進んでも、働いている本人が十分な改善を感じられないことがあるのです。
介護職の給料が安い理由5選
介護職の給料が上がりにくい理由を、5つに整理しました。
- 介護報酬が国の定める公定価格である
- 人件費や運営費がかかり、賃上げの余力に差がある
- 処遇改善加算の配分や給与制度が事業所によって違う
- 介護職員の仕事の成果を評価しにくい
- 介護の専門性が給与に十分反映されていない場合がある

理由① 介護報酬が国の定める公定価格である
介護職の給料が上がりにくい大きな理由は、介護保険サービスの料金を事業所が自由に設定できないことです。
一般企業なら、商品の価格を引き上げたり、新しいサービスを販売したりして売上を増やす方法があります。
しかし、介護保険サービスの報酬は、サービスの種類や内容、地域区分、各種加算などに基づいて決まります。
例えば、物価や人件費が上がったからといって、事業所が独自に介護報酬の単価を引き上げることはできません。
売上の増やし方に制度上の制約があるため、賃上げの財源を確保しにくい構造があるのです。
もちろん、利用者数の増加、稼働率の改善、加算の取得、保険外サービスなどによって収入を増やす余地はあります。「国が報酬を引き上げなければ、絶対に給料を上げられない」という意味ではありません。
理由② 人件費や運営費がかかり、賃上げの余力に差がある
介護施設には、職員の給与以外にもさまざまな費用がかかります。
- 介護職員・看護職員などの人件費
- 食材費や水道光熱費
- 建物や設備の維持・修繕費
- 介護用品や衛生用品の購入費
- 職員の採用・研修にかかる費用
介護サービスには人員配置基準もあるため、単純に職員を減らして利益を増やせばよいという話でもありません。
また、利用者の数や施設の稼働率、建物の状況、経営方針などによって収支は変わります。
経営が厳しく、賃上げに十分なお金を回せない事業所がある一方、経営が安定していて、職員の待遇改善に取り組める事業所もあります。
そのため、「介護業界だから給料が安い」と一括りにせず、どの法人・施設で働くかも重要です。
理由③ 処遇改善加算の配分や給与制度が事業所によって違う
「国が介護職の処遇改善を進めているのに、どうして自分の給料はあまり上がらないの?」
そう感じる理由の一つが、処遇改善加算の仕組みです。
介護職員等処遇改善加算は、介護職員などの賃金改善を目的とする制度です。ただし、取得する加算の区分や賃金改善の方法は、事業所によって異なります。
厚生労働省も、加算について「事業所内で柔軟に配分することが可能」と案内しています。これは自由に流用してよいという意味ではなく、定められた要件を満たしたうえで配分方法を決める仕組みです。
職員への反映方法には、基本給の引き上げ、毎月の手当、賞与などがあります。
そのため、加算が増えたからといって、すべての職員の基本給が同じ金額だけ上がるわけではありません。
内部留保が多い事業所は、給料を出し惜しみしている?
内部留保とは、過去の利益などが積み重なったものを表す会計上の概念です。
内部留保が多いからといって、その金額がすべて現金として残っているわけではありません。また、施設の建て替えや設備投資、将来の運営に備えている場合もあります。
したがって、「内部留保がある=職員の給料を不当に低くしている」とは断定できません。
本当に確認すべきなのは、法人の経営状況と、職員の賃金改善にどのように取り組んでいるかです。
例えば、処遇改善加算の取得状況、基本給の昇給実績、賞与の支給状況、職員への説明があるかといった点を確認しましょう。
理由④ 介護職員の仕事の成果を評価しにくい
介護の仕事は、成果を数字だけで測りにくい特徴があります。
例えば、営業職なら売上や契約件数を評価の指標にできます。
一方、介護職では次のような働きが重要です。
- 利用者さんとの信頼関係を築く
- 事故を防ぐために危険を予測する
- 認知症の方の不安や混乱に対応する
- 新人職員を育成する
- 多職種と連携してケアの質を高める
こうした仕事は施設の運営や利用者さんの生活を支えていますが、個人の売上として表しにくいものです。
その結果、評価基準があいまいな事業所では、職員の努力や能力が昇給につながりにくいことがあります。
ただし、評価が難しいことと、評価できないことは別です。
資格、経験、担当業務、リーダーシップ、教育への貢献などを適切に評価する仕組みは必要だと、ぼくは考えています。
理由⑤ 介護の専門性が給与に十分反映されていない場合がある
介護職は「無資格・未経験でも始められる仕事」と紹介されることがあります。
しかし、仕事を始めるための間口が広いことと、専門性が必要ないことは別です。
例えば、食事介助ひとつをとっても、利用者さんの姿勢、飲み込む力、体調、食事形態などを考えながら対応する必要があります。
認知症ケアや移乗介助、看取りに関わる場面でも、知識と判断力が求められます。
ぼく自身、夜勤中に複数のセンサーコールが重なり、対応の優先順位を考えなければならない場面を経験してきました。
介護は、ただ身体を動かす仕事ではありません。利用者さんの安全と尊厳を守るために、状況を判断し続ける仕事です。
現場で求められる専門性や責任に、給与が十分見合っているのか。これは、介護業界全体で考え続ける必要がある課題だと思います。
2026年の処遇改善で、介護職の給料は上がる?
介護職の処遇改善は、現在も進められています。
厚生労働省によると、2026年6月から介護職員等処遇改善加算が拡充されました。
また、厚生労働省の2025年度調査では、処遇改善加算を取得し、比較対象となった施設・事業所の常勤・月給の介護職員について、2024年9月から2025年7月にかけて、基本給等が平均6,130円、平均給与額が6,840円増加していました。
これは調査対象の平均値であり、すべての介護職員が同じ金額だけ昇給したという意味ではありません。
出典:厚生労働省「令和7年度介護職員等の職場環境や処遇に関する実態調査の結果について」
給料が上がらないときは何を確認する?
処遇改善が行われているのに、自分の給料が変わらないと感じる場合は、次の項目を確認しましょう。
- 勤務先は処遇改善加算を取得しているか
- 加算による賃金改善は基本給・手当・賞与のどこに反映されているか
- 資格や経験による昇給の仕組みがあるか
- 今後の昇給予定やキャリアパスが説明されているか
疑問があるときは、給与明細と就業規則を確認し、施設長や人事担当者に説明を求めるのが第一歩です。
制度変更の詳しい内容については、介護職の賃上げはいつから?どのくらい上がる?でも解説しています。
同じ介護職なのに給料が違うのはなぜ?確認したい5項目
介護職の給料は、業界全体の制度だけで決まるわけではありません。
同じ介護福祉士でも、働く施設によって待遇が変わります。
求人票や今の給与明細で確認してほしいのは、次の5項目です。
| 確認項目 | チェックする内容 |
|---|---|
| 基本給 | 手当を除いた毎月の給与はいくらか |
| 各種手当 | 資格・役職・夜勤・処遇改善手当の金額 |
| 賞与 | 支給実績と計算の基礎になる金額 |
| 昇給制度 | 昇給実績、評価基準、キャリアパス |
| 勤務条件 | 夜勤回数、残業、年間休日、通勤時間 |
例えば、月給28万円の求人でも、夜勤手当や固定残業代が含まれている場合があります。
一方、月給26万円でも賞与や各種手当が充実していて、年収では上回る可能性があります。
月給の数字だけでなく、年収と働く時間をセットで比較することが大切です。
ぼくの職場では介護福祉士の資格手当が月1万8,000円
資格手当も、施設によって差があります。
ぼくの職場では、介護福祉士の資格手当が毎月1万8,000円支給されています。
一方で、資格手当がない施設や、支給額が違う施設もあります。
資格を取得することには専門性を高める価値がありますが、資格を取れば必ず同じ金額だけ給料が上がるわけではありません。
資格取得を考える際は、今の職場の資格手当や昇給制度も確認しておきましょう。
介護職の給料が安いと感じたときの対処法3つ
給料が安い理由を理解しても、生活が楽になるわけではありませんよね。
そこで大切なのが、今の状況で選べる方法を整理することです。
収入を増やす方法は、大きく3つあります。



| 方法 | 向いている人 |
|---|---|
| 今の職場で待遇改善 | 仕事内容や人間関係に満足している人 |
| 他施設の条件を比較 | 基本給や年収を見直したい人 |
| 副業・単発バイト | 本業を続けながら収入を増やしたい人 |
① 今の職場で待遇改善を目指す
今の職場が好きなら、すぐに辞める必要はありません。
まずは昇給制度や資格手当、役職手当を確認しましょう。
施設長との面談では、「給料を上げてください」と伝えるだけでなく、どのような業務や役割を担えば評価につながるのかを質問する方法があります。
ただし、資格や役職が増えると責任や仕事量も増える場合があります。手当だけでなく、業務負担とのバランスも考えて判断しましょう。
② 他施設の求人と現在の給与条件を比較する
今の職場で昇給の見込みが少ない場合は、ほかの施設の求人を調べることも選択肢です。
ぼく自身、転職によって手取りが約5万円増えた経験があります。
もちろん、これはぼく個人の体験です。転職すれば誰でも同じように収入が増えるわけではありません。
大切なのは、今の給料と他施設の条件を具体的に比べることです。
求人票を見るときは、基本給、手当、賞与、休日数、夜勤回数、通勤時間を確認しましょう。
転職支援サービスを使って、希望する地域にどのような求人があるかを相談する方法もあります。
ぼくは以前、転職エージェントに希望条件を伝えたところ、条件に合う求人がないと率直に教えてもらった経験があります。
転職支援サービスは、必ず転職するためだけではなく、今の自分が狙える条件を知るためにも使えます。ただし、担当者との相性や紹介求人の数には差があります。
求人を比較する方法は、介護士が転職成功するまでのロードマップも参考にしてください。
③ 本業を続けながら副業で収入を増やす
「今の職場は好き。でも、収入には不安がある」
そんな人には、副業という選択肢もあります。
ぼく自身、子どもの教育費や将来の生活資金への不安があり、本業を続けながら副業を始めました。
副業で収入が増えたことで、家族と小旅行に出かける機会もできました。本業の給料が上がらなくても、以前ほど落ち込まなくなったのも変化です。
ただし、副業にはデメリットもあります。
- 休日や自由時間が減る
- 体力的な負担が増える
- 就業規則や勤務先への届出を確認する必要がある
- 所得の種類や金額によって税務手続きが必要になる
介護の資格や経験を活かせる方法としては、介護・看護分野の単発バイトがあります。
例えば、カイテクは介護・看護の単発求人を探せるサービスです。ただし、地域や資格によって応募できる求人が異なります。無資格者は登録できても、求人への応募はできない点にも注意してください。
興味がある場合は、介護士の副業に単発バイトが選ばれる理由で、メリットと注意点を確認してみてください。
まずは、就業規則を確認し、無理のない範囲で検討するのがおすすめです。
給料が安い職場から転職するべき?判断するための3つの質問
給料に不満があるからといって、すぐに転職するのが正解とは限りません。
次の3つの質問を考えてみてください。
- 今の職場には昇給の見込みがある? 資格手当、役職手当、昇給実績を確認する。
- 給料以外の条件には満足している? 人間関係、休日、通勤時間、夜勤負担も考える。
- 他施設の条件を具体的に比較した? 月給だけでなく年収や労働時間を比較する。
今の職場で改善できる余地があり、働きやすさにも満足しているなら、残る選択も十分にあります。
反対に、何年働いても昇給の見込みがなく、ほかの施設のほうが条件に合うなら、転職を考える理由になります。
辞めるか、我慢するか。その二択ではありません。
今の職場で働きながら情報収集することもできます。焦って決めず、自分に合う方法を選びましょう。
介護職の給料に関するよくある質問
Q. 介護職の給料は今後も上がらないのでしょうか?
上がらないと決まっているわけではありません。
実際に公的統計では賃金の上昇が確認されており、2026年6月からは処遇改善加算も拡充されています。ただし、今後の賃上げ幅や個人への反映額は、制度や勤務先の状況によって異なります。
Q. 処遇改善加算を取っている施設なら、必ず給料が上がりますか?
加算は賃金改善のための制度ですが、全員の毎月の基本給が同額だけ上がるとは限りません。
基本給、手当、賞与などへの反映方法や賃金改善の対象について、勤務先に確認しましょう。
Q. 内部留保が多い施設は、給料が安い原因なのでしょうか?
内部留保の金額だけでは判断できません。
内部留保は必ずしも使える現金を意味しないため、実際の経営状況や賃金改善の取り組みを確認する必要があります。
Q. 介護福祉士の資格を取れば給料は上がりますか?
資格手当や昇給制度がある職場なら、給与が上がる可能性があります。ただし、支給額は勤務先によって異なります。
資格取得前に、資格手当の金額、支給条件、昇給への反映方法を確認することをおすすめします。
Q. 給料が安くて生活が厳しい場合、最初に何をすべきですか?
まずは給与明細を確認し、基本給と各種手当、賞与、昇給実績を整理してください。
そのうえで、今の職場で待遇改善できるか、ほかの施設の条件はどうか、副業が可能かを比較すると、次の行動を決めやすくなります。
まとめ|介護職の給料が安い理由を知ったうえで、自分の選択肢を増やそう
介護職の給料が安い背景には、介護報酬という制度上の制約だけでなく、経営状況、賃金配分、評価制度、専門性の評価など、複数の要因があります。
だからこそ、給料が上がらない理由をすべて職員個人の努力不足にするのは違うと、ぼくは思います。
介護は、社会に必要な仕事です。
無欠勤でまじめに働いても生活が厳しい。そんな状況が当たり前になってはいけません。
介護職が安心して仕事を続けられる待遇が必要です。
一方で、制度や社会全体が変わるのを待つだけでは、目の前の収入の悩みが解決しないこともあります。
今の職場で待遇改善を求める。他施設の給料を調べる。無理のない範囲で副業を考える。
その中から、自分に合う方法を選んでください。
大きな決断を急ぐ必要はありません。まずは、自分の給与明細と、ほかの施設の条件を比べるところから始めてみましょう。
給料を増やす方法を具体的に知りたい方へ
資格・役職・働き方・転職など、収入アップの具体策を別の記事で解説しています。今の状況に合う方法を探すときに役立ててください。
他の介護施設の給与条件を知りたい方は、転職支援サービスで求人情報を確認する方法もあります。
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介護職の悩みや仕事に役立つ情報は、介護おじさんのトップページからも探せます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
では、また。
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