介護職が円満退職する流れ6ステップ|何ヶ月前に伝える?例文・引き継ぎまで解説

介護職が円満退職する流れ6ステップ|何ヶ月前に伝える?例文・引き継ぎまで解説

「介護職を辞めたいけれど、どうやって退職を伝えればいいの?」

「人手不足だから、引き止められそうで怖い……」

介護職が退職するときは、上司への報告だけでなく、勤務表の調整や利用者さんの引き継ぎ、有給休暇の取得など、考えることがたくさんあります。

結論からお伝えすると、円満退職のコツは「退職日を決める・早めに伝える・引き継ぎを整理する」の3つです。

介護現場では、退職希望日の1〜3か月前を目安に準備を始めると、勤務表や担当業務を調整しやすくなります。ただし、これは法律で決められた一律の期限ではありません。

この記事では、介護業界で15年以上働いている現役介護福祉士のぼくが、円満退職するまでの流れを6ステップで解説します。

この記事の結論|円満退職する6ステップ

  1. 雇用契約・就業規則を確認する
  2. 直属の上司へ退職意思を伝える
  3. 退職日・最終出勤日・有給休暇を整理する
  4. 退職届を提出する
  5. 利用者さん・担当業務の引き継ぎを行う
  6. 貸与品の返却と退職書類の確認をする

まずやること:希望する退職日を書き出し、雇用契約と有給休暇の残日数を確認しましょう。

退職するかまだ迷っている方は、先に介護職を辞めたいときの判断基準を整理してみてください。

【筆者紹介】
介護業界15年以上の現役介護士(施設勤務)
※現場経験と公的データ(厚労省など)をもとに執筆しています。
【所持資格】
介護福祉士/ケアマネ/上級心理カウンセラー

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目次

介護職が円満退職するまでの流れ6ステップ

退職は、気持ちを伝えて終わりではありません。退職の意思表示から最終出勤日までを逆算して準備することが大切です。

まずは全体の流れを確認しましょう。

【介護職が円満退職する6ステップの図解】
時期の目安やること
1〜3か月前契約・就業規則を確認する
1〜3か月前直属の上司に退職意思を伝える
退職日を決める時期有給休暇と最終出勤日を調整する
職場の規定に沿って退職届を提出する
最終出勤日まで引き継ぎと挨拶を行う
最終出勤日・退職前後貸与品返却と書類確認をする
時期は一般的な実務上の目安です。法律上の扱いは雇用契約によって異なります。

介護施設では、夜勤の勤務表や委員会の担当が決まっているため、早めに予定を共有すると調整しやすくなります。

ただし、人手不足だからといって、後任が見つかるまで退職を延期する義務が当然に生じるわけではありません。

ステップ1:雇用契約と就業規則を確認する

退職を伝える前に、まずは自分の雇用契約と就業規則を確認しましょう。

退職前に確認する6項目

  • 雇用期間の定めがあるか
  • 退職の申し出期限
  • 退職届の提出先と指定書式
  • 有給休暇の残日数
  • 退職金・賞与の支給条件
  • 返却する貸与品と必要な手続き

特に重要なのは、期間の定めがない雇用契約なのか、有期雇用契約なのかという違いです。

期間の定めがない雇用契約の場合、民法第627条第1項により、原則として退職の申し入れから2週間が経過すると雇用契約は終了します。

一方、有期雇用契約の場合は、契約期間の途中での退職に、原則としてやむを得ない事由などの条件が関係します。労働基準法第137条による例外もあるため、契約内容に応じた確認が必要です。

参考:厚生労働省「退職、解雇、雇止めなど」

注意:法律上の期限と円満退職の準備期間は別です

「2週間前に伝えれば、どんな契約でも必ず辞められる」という意味ではありません。また、円満退職を目指すために、必ず3か月前から申し出なければいけないわけでもありません。

ステップ2:直属の上司へ退職意思を伝える

退職の意思が固まったら、直属の上司に伝えましょう。

介護施設なら、ユニットリーダー、介護主任、フロア責任者、施設長などが考えられます。

ただし、連絡系統は施設によって異なるため、必ずしもリーダーを経由する必要があるとは限りません。就業規則や職場の運用を確認してください。

できれば、廊下や休憩室で突然話すのではなく、落ち着いて話せる時間を設けてもらいましょう。

面談をお願いするときの例文

今後の働き方について、お話ししたいことがあります。少しお時間をいただけますか。

面談では、退職の意思と希望日を簡潔に伝えます。

退職を切り出すときの例文

一身上の都合により、〇月末で退職したいと考えています。これまでお世話になりありがとうございました。引き継ぎについても相談させてください。

退職理由について、必要以上に詳しく説明する必要はありません。ただし、病気や家庭の事情など、事実ではない理由を作ることは避けましょう。

人間関係や待遇が理由の場合でも、嘘をつかず、伝える内容を簡潔にまとめれば十分です。

退職理由の具体的な言い方は、別記事の介護職の退職理由の伝え方と例文7選で詳しく紹介しています。

ステップ3:退職日・有給休暇・最終出勤日を整理する

退職の意思を伝えたら、退職日と最終出勤日を確認します。

ここで覚えておきたいのが、退職日と最終出勤日は同じ日とは限らないということです。

有給休暇を退職前に取得する場合、最終出勤日のあとも退職日までは会社に在籍することになります。

例えば、6月30日に退職する場合、勤務予定日10日分の有給休暇を取得できるなら、6月中旬ごろを最終出勤日にする計画が考えられます。

ただし、実際の日付は勤務表や所定休日によって異なります。夜勤を含むシフト勤務の場合は、単純に10日間さかのぼるだけでは計算できません。

【退職日・最終出勤日・有給休暇の違いを説明する図解】

有給休暇は、退職日までの在籍期間中に取得することができます。退職日以降へ取得時期を変更することはできません。

参考:厚生労働省「年次有給休暇」

現場の調整を進めるためにも、退職希望日、残りの有給休暇、引き継ぎに必要な日数を整理してから相談するとスムーズです。

有給休暇について相談する例文

有給休暇が〇日残っています。引き継ぎの予定も考えながら取得したいので、最終出勤日について相談させてください。

引き継ぎに協力する姿勢と、有給休暇を取得する権利は両立できます。

ステップ4:退職届を提出する

退職日や手続きについて確認したら、職場の規定に沿って退職届などの書類を提出します。

退職に関する書類は、主に「退職願」と「退職届」です。

書類一般的な意味
退職願退職を願い出る書類
退職届退職の意思を届け出る書類

ただし、書類の名称や法的な扱いは、その内容や提出状況によっても異なります。

必ず「退職願→退職届」の順番で提出しなければいけないわけではありません。

職場指定の書式がある場合は、まず担当者に確認しましょう。

指定書式がない場合の退職届の文例は次のとおりです。

退職届の文例

退職届

私儀

このたび、一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたします。

令和〇年〇月〇日

〇〇施設 〇〇課
氏名 〇〇〇〇

社会福祉法人〇〇
施設長 〇〇〇〇 様

提出日、退職日、提出先などは自分の職場に合わせて修正してください。

退職の意思を伝えた日や提出した書類は、あとで確認できるように記録や控えを残しておくと安心です。

ステップ5:引き継ぎと関係者への挨拶を行う

退職までの流れのなかで、介護職が特に意識したいのが引き継ぎです。

介護の仕事は、利用者さんへのケアを複数の職員で継続する仕事です。

担当が変わっても、必要な情報が適切に共有されていることが大切です。

【介護職の退職引き継ぎチェックリストの図解】

介護現場の引き継ぎチェックリスト

  • 担当利用者さんのケア上の注意点
  • 食事・排泄・移乗などの支援方法
  • 夜勤時の対応や緊急時の連絡手順
  • 委員会・係活動の進捗状況
  • 行事・レクリエーションの準備状況
  • 記録やマニュアルの保管場所
  • 未完了の業務と担当者

特に委員会や行事の担当者は、次の会議日だけでなく、今どこまで準備できているかを伝えましょう。

例えば、事故防止委員会の担当なら、議題、前回の決定事項、未対応の課題、資料の保存場所などです。

後任の職員が「次に何をすればよいか分かる状態」を目指すと、引き継ぎの抜け漏れを減らせます。

なお、利用者さんの個人情報を私物のスマートフォンや個人のクラウドに保存することは避け、施設が認める方法で共有してください。

利用者さんへの退職の挨拶は施設と相談する

利用者さんへ退職を伝える時期も、上司と相談しましょう。

長く関わった利用者さんにとって、担当職員が変わることは大きな出来事になる場合があります。

一方、本人の理解度や関係性によっては、早く伝えることで不安が強くなることも考えられます。

大切なのは、自分の挨拶を優先することではなく、利用者さんが安心してケアを受け続けられることです。

また、退職するからといって、利用者さんに個人的な連絡先を渡すことは慎重に判断してください。施設の守秘義務や個人情報保護のルールを優先しましょう。

ステップ6:退職日に向けて返却品と必要書類を確認する

最終出勤日までに、返却するものと受け取る書類を確認します。

返却するものの例

  • 制服・名札・社員証
  • 施設の鍵やセキュリティカード
  • 貸与されたパソコンや業務端末
  • 業務資料など会社からの貸与品
  • 交付されている資格確認書(返納が必要な場合)

健康保険については、2025年12月1日で従来の健康保険証の有効期限が終了しています。

現在はマイナ保険証または資格確認書を使う仕組みです。マイナンバーカードそのものを会社へ返却する必要はありません。

資格確認書が交付されている場合は、保険者や勤務先の案内に従って返納手続きを確認しましょう。

参考:厚生労働省「資格確認方法について」

退職後に受け取る書類も確認する

退職日当日にすべての書類を受け取れるとは限りません。発行時期や受け取り方法を確認しておきましょう。

書類主な用途
離職票雇用保険の基本手当などの手続き
源泉徴収票年末調整や確定申告
雇用保険被保険者証転職先での雇用保険手続きなど
退職証明書退職した事実などの証明
健康保険資格喪失証明書等国民健康保険への切り替えなど
必要な書類や発行方法は、退職後の状況によって異なります。

退職後すぐに別の職場へ入職しない場合は、健康保険や年金の切り替えについても確認が必要です。

離職票を希望しているのに届かない場合は、まず勤務先に手続き状況を確認し、解決しなければハローワークへ相談しましょう。

参考:厚生労働省「雇用保険の基本手当・再就職手当Q&A」

介護職が円満退職するために気をつけたい3つのこと

手順を守るだけでなく、退職までの働き方にも気を配りたいところです。

1.退職することを同僚へ先に広めない

退職を決意すると、仲のよい同僚へ先に話したくなるかもしれません。

しかし、本人が正式に伝える前に話が広まると、上司とのやり取りが複雑になる可能性があります。

まずは決められた報告先へ伝え、そのあと関係者に共有する時期を相談しましょう。

2.最後まで通常業務と引き継ぎを丁寧に行う

退職日が決まると、気持ちが次の職場へ向くこともあるでしょう。

それでも、最終出勤日まではいつもどおりのケアを心がけたいところです。

現場で経験したこと

ぼくは、以前働いていた会社の職員と、別の会社でも一緒に働くことになった経験があります。

介護業界で働いていると、職場が変わっても以前の同僚と再会することがあります。

だからこそ、退職するときも必要な仕事を丁寧に終えることを大切にしたいと考えています。

円満退職は、誰からも悪く思われないことではありません。

自分ができる範囲で、必要な手続きを丁寧に進めることだとぼくは考えています。

3.退職日まで無理をしすぎない

「退職するのだから、最後くらい無理して頑張ろう」と考える人もいるかもしれません。

ただ、心身の不調がある場合まで我慢する必要はありません。

ぼく自身、以前はサービス残業が続き、上司が怒鳴るような職場で働いていました。職場を変えてから、定時退勤や適切な残業代の支払いなど、働く環境の違いを実感しました。

人手不足は職場の大きな課題ですが、その責任を退職する職員ひとりが背負う必要はありません。

体調に影響が出ている場合は、休養や医療機関への相談を優先し、必要に応じて退職手続きについて公的な相談窓口へ確認してください。

介護職で退職を引き止められたらどうする?

介護現場では、退職を伝えたときに「もう少し残ってほしい」と言われることがあります。

引き止めの内容によっては、勤務条件の変更を提案される場合もあるでしょう。

大切なのは、相手の話を聞いたうえで、自分の希望と譲れない条件を整理することです。

引き止めの言葉返答例
人が足りない「状況は理解しています。引き継ぎには協力しますが、退職の意思は変わりません」
後任が来るまで待って「申し訳ありませんが、希望している退職日は〇月〇日です」
給料を上げるから「ご提案ありがとうございます。十分考えたうえで判断したいと思います」
異動するなら続けられる?「条件を確認し、自分の希望に合うか考えさせてください」

条件変更によって問題が解決するなら、残る選択肢があってもよいでしょう。ただし、口頭の提案だけで判断せず、勤務条件や実施時期を確認してください。

すでに退職を決めている場合は、感謝を伝えつつ、希望日と意思を繰り返して構いません。

退職届を受け取ってもらえない場合は?

上司から「退職は認めない」と言われても、期間の定めのない雇用契約では、原則として会社の承認がなければ退職できないわけではありません。

話し合いが進まない場合は、退職を申し出た日時や内容を記録し、書面などで意思表示の証拠を残す方法も検討しましょう。

ただし、契約形態によって扱いが異なるため、判断に迷う場合は専門機関への確認をおすすめします。

厚生労働省の総合労働相談コーナーでは、退職や労働条件などの相談を無料で受け付けています。

退職が決まったら、次の職場選びも慎重に進めよう

円満退職の準備と並行して、次の働き方を考えることも大切です。

ぼくは以前、求人情報を十分に比較せず、職場見学もしないまま転職した経験があります。

今振り返ると、応募前に職場を見学し、勤務条件や雰囲気を確認しておけばよかったと感じています。

介護施設は、同じ職種でも勤務時間、夜勤体制、休日、人間関係などが異なります。

次の職場を選ぶときは、給料だけでなく、長く安心して働けるかどうかも確認してみてください。

次の職場選びで確認したいこと

  • 夜勤回数と夜勤体制
  • 年間休日と希望休の取りやすさ
  • 残業の実態と残業代の支払い
  • 新人教育と相談できる体制
  • 職場見学で感じた雰囲気

求人票だけでは分からないことも多いため、施設見学や複数求人の比較が役立ちます。

自分で探したい方は求人サイト、条件を相談しながら探したい方は転職エージェントという選択肢があります。

どちらにもメリットとデメリットがあります。転職を急がず、今の条件よりよい職場があるか情報収集するだけでも構いません。

職場選びの具体的な判断基準は、介護業界のホワイト企業の特徴も参考にしてください。

介護職の円満退職でよくある質問

Q.退職は何か月前に伝えればいいですか?

円満退職を目指す実務上の目安としては、1〜3か月前から準備を始めるとよいでしょう。ただし、一律の法律上の義務ではありません。雇用契約や就業規則を確認し、希望する退職日から逆算してください。

Q.退職理由を正直にすべて話す必要がありますか?

不満や私生活の事情をすべて詳しく説明する必要はありません。ただし、事実ではない理由を作ることは避け、退職の意思と希望日を簡潔に伝えましょう。

Q.人手不足でも辞められますか?

人手不足だけを理由に、退職を無期限に拒否できるわけではありません。具体的な退職の条件は雇用契約によって異なります。合意が難しいときは、公的相談窓口へ確認してください。

Q.退職前に有給休暇をすべて使えますか?

退職日までに残っている有給休暇を請求できます。退職日を過ぎた日へ変更することはできないため、早めに残日数と勤務予定日を確認しましょう。

Q.退職時にお菓子を配った方がいいですか?

お菓子を配る義務はありません。感謝の気持ちを伝えたい場合は、個包装で日持ちするものを選ぶと渡しやすいでしょう。

ただし、お菓子を配ることよりも、挨拶と必要な引き継ぎを丁寧に行うことが大切です。

まとめ:介護職の円満退職は、早めの準備と丁寧な引き継ぎが大切

介護職が円満退職するには、退職の意思を伝えるだけでなく、勤務表や有給休暇、担当業務の引き継ぎまで考えておくことが大切です。

円満退職までの最終チェック

  • 雇用契約と就業規則を確認した
  • 退職希望日を決めた
  • 上司に退職意思を伝えた
  • 有給休暇と最終出勤日を整理した
  • 必要な退職書類を提出した
  • 担当業務を引き継いだ
  • 返却品と受け取る書類を確認した

円満退職は、職場の全員に納得してもらうことではありません。

自分の意思を大切にしながら、必要な手続きを丁寧に進めること。

ぼくは、それが一番大切だと思っています。

まずは今日、希望する退職日と有給休暇の残日数を確認してみてください。次に何をすればいいか、きっと整理しやすくなるはずです。

これからも介護職を続けたい方は、次の職場選びで同じ悩みを繰り返さないことも大切にしてくださいね。

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この記事を書いた人

【介護業界15年以上】
資格:介護福祉士、介護支援専門員、上級心理カウンセラー
施設のリーダーで採用から教育に関わる
現役介護士ならではの「体験談」や「介護現場の声」を発信しています。
「ブラック企業」から「ホワイト企業」に転職した経験を活かし、転職に失敗しない方法も紹介しています。

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