「次の内部研修、何をテーマにしよう……」
介護施設で研修担当になると、テーマを考えるだけでも大変ですよね。
テーマが決まっても、そこから資料を調べて、まとめて、当日の進め方まで考える必要があります。
先に結論をいうと、介護施設の研修テーマは、「運営基準との関係」「今の現場課題」「参加する職員」の3つから選ぶと迷いにくくなります。
介護サービスでは、高齢者虐待防止、身体拘束等の適正化、感染症対策、BCP、事故防止など、サービス種別に応じて研修や訓練が関係する項目があります。
一方で、必要な措置や実施方法・回数などはサービス種別によって異なるため、「介護施設なら全部同じ」と考えず、自施設に適用される基準を確認することが大切です。
この記事では、介護現場で使いやすい内部研修・勉強会のテーマ21選を一覧にしました。
さらに、研修資料を選んで印刷できる【無料ツール】や、ぼく自身が研修講師をして失敗した経験から学んだ「つまらない研修にしないコツ」まで紹介します。
この記事の要約
- 研修テーマは「運営基準との関係・現場課題・職員」の3つから選ぶ
- 介護施設で使いやすい研修テーマ21選を一覧から選べる
- サービス種別によって必要な研修・訓練は異なるため、自施設の基準確認が必要
- テーマ決定後は、研修資料を印刷できる無料ツールで準備を進められる
- 一方的に話すより、事例・質問・実践を入れたほうが参加型の研修にしやすい
【筆者紹介】
介護業界15年以上の現役介護士(施設勤務)
※現場経験と公的データ(厚労省など)をもとに執筆しています。
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介護福祉士/ケアマネ/上級心理カウンセラー
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介護施設の研修テーマは3つの基準で選ぶ
研修テーマを探す前に、「何のために研修するのか」を決めましょう。
ぼくなら、次の3つを順番に確認します。
1.運営基準との関係を確認する
最初に確認したいのが、自施設・自事業所で実施が必要な研修や訓練です。
たとえば、高齢者虐待防止、身体拘束等の適正化、感染症対策、BCP、事故防止などは、介護サービスの運営基準や介護報酬と深く関係しています。
ただし、対象となるサービスや求められる措置は同一ではありません。年間計画を立てる前に、厚生労働省の最新情報や自治体の運営基準を確認してください。
2.今の介護現場で困っていることから選ぶ
必須事項だけで年間研修を埋めるのではなく、今の職場で実際に起きている問題もテーマにします。
- 転倒・転落のヒヤリハットが続いている
- 誤薬が心配
- 新人が増えて介助方法にばらつきがある
- 認知症の利用者さんへの声かけで困っている
- 家族対応やクレーム対応に不安がある
- 職員同士の報連相がうまくいっていない
こうした問題を研修テーマにすると、「なぜこの研修を受けるのか」が伝わりやすくなります。
3.参加する職員に合わせる
同じテーマでも、新人とリーダーでは知りたい内容が違います。
新人には「基本の手順」、中堅には「判断・応用」、リーダーには「人に教える・仕組みを整える」と、内容の深さを変えると研修がわかりやすくなります。
新人教育そのものを整理したい場合は、介護職のOJTシートの書き方も参考にしてください。
迷ったらこの順番
- 自施設で必要な研修・訓練を確認する
- 最近の事故・ヒヤリハット・現場の困りごとを見る
- 参加する職員の経験年数を考える
- 今回の研修で変えてほしい行動を1つ決める

介護の内部研修・勉強会におすすめのテーマ21選
ここからは、介護施設の内部研修で使いやすいテーマを21個紹介します。
全部やる必要はありません。今の職場に必要なテーマを1つ選ぶことが大切です。
| 分類 | 研修テーマ | こんなときにおすすめ |
|---|---|---|
| 安全・権利 | 1.高齢者虐待防止・権利擁護 | 不適切ケアを振り返りたい |
| 安全・権利 | 2.身体拘束廃止・適正化 | 身体拘束の考え方や対応を確認したい |
| 安全管理 | 3.感染症対策・衛生管理 | 標準予防策や感染発生時の対応を確認したい |
| 安全管理 | 4.BCP・災害時対応 | 感染症・地震・水害などに備えたい |
| 安全管理 | 5.ヒヤリハット・事故防止 | 転倒などの事故やヒヤリハットが続いている |
| 安全・権利 | 6.個人情報・プライバシー保護 | 記録・写真・SNSなどの扱いを確認したい |
| 利用者対応 | 7.認知症ケアの基礎と実践 | 拒否・帰宅願望・声かけなどに困っている |
| 介護技術 | 8.移乗・排泄・食事介助 | 介助方法を統一したい、新人が増えた |
| 観察・連携 | 9.バイタルサイン・急変時対応 | 異変への気づきや報告方法を確認したい |
| 記録 | 10.介護記録の書き方 | 記録内容や書き方にばらつきがある |
| 利用者対応 | 11.利用者さんとのコミュニケーション | 声かけ・傾聴・接遇を見直したい |
| 専門知識 | 12.看取り・エンドオブライフケア | 終末期のケアや家族との関わりを学びたい |
| 家族対応 | 13.クレーム・家族対応 | 家族との説明や対応に困ることがある |
| チーム | 14.報連相・職員間コミュニケーション | 申し送り漏れや連携不足がある |
| 職員支援 | 15.ストレスマネジメント | 職員の疲労やストレス対策を考えたい |
| 職場改善 | 16.離職防止・働きやすい職場づくり | 人材定着や人間関係を見直したい |
| 新人教育 | 17.新人教育・OJT | 教え方を統一したい |
| 専門知識 | 18.栄養・食事支援 | 食事量・食形態・食事介助を振り返りたい |
| 介護技術 | 19.ノーリフティングケア | 職員と利用者さん双方の負担を減らしたい |
| 業務改善 | 20.ICT・AI・介護テクノロジー | 記録や業務を効率化したい |
| 制度 | 21.介護保険制度・制度改正 | 制度変更を現場で共有したい |
テーマが決まったら、次は研修資料を準備
「テーマは決まったけど、資料をゼロから作る時間がない……」という方へ。
こちらの研修資料ツールでは、介護施設の研修で使う資料を印刷できます。
テーマ選びで止まらず、そのまま研修準備まで進めたいときに活用してください。
運営基準との関係を優先して確認したい研修テーマ
21テーマの中でも、まず確認しておきたいのが、介護サービスの運営基準や介護報酬と関係するテーマです。
注意:研修の対象・実施頻度・必要な記録などは、サービス種別によって異なります。この記事の一覧だけで年間計画を決めず、厚生労働省や自治体の最新基準を確認してください。
高齢者虐待防止・身体拘束等の適正化
高齢者虐待防止は、介護現場の研修で優先度の高いテーマです。
厚生労働省は、令和6年度介護報酬改定における高齢者虐待防止の措置として、委員会、指針、定期的な研修、担当者の配置などを示しています。身体拘束等についても、サービス種別に応じた適正化の取り組みが必要です。
資料を作るときは、厚生労働省の高齢者虐待防止に資する研修・検証資料等や、高齢者虐待対応の国マニュアル・身体拘束廃止防止の手引きを確認すると安心です。
感染症対策
感染症対策は、知識を覚えるだけでなく、自施設で感染が発生したときにどう動くかまで考える研修にすると実践的です。
- 手指衛生
- 個人防護具の使い方
- 嘔吐物の処理
- 感染者が出た場合の動線
- 職員間の情報共有
厚生労働省は、「介護現場における感染対策の手引き(第3版)」などを公開しています。施設内資料を更新するときにも参考になります。
BCP・災害時対応
BCPは「計画書を作って終わり」にしないことが大切です。
感染症や自然災害が起きたと仮定して、連絡方法、人員配置、優先する業務などを話し合う机上訓練にすると、自施設のBCPに足りない部分を見つけやすくなります。
厚生労働省の介護施設・事業所におけるBCP作成支援の研修資料・動画には、感染症編・自然災害編のガイドラインやひな形、机上訓練の解説があります。
事故防止・ヒヤリハット
事故防止研修では、一般論を読むよりも、実際に自施設で起きたヒヤリハットを1件取り上げると話し合いやすくなります。
「誰が悪かったか」ではなく、「人・物・環境・手順のどこを変えれば再発を防げるか」を考えましょう。
ヒヤリハットの整理方法は、介護現場のヒヤリハット報告書の書き方で詳しく解説しています。服薬事故をテーマにする場合は、介護施設の誤薬対策も参考にしてください。
「今の困りごと」から研修テーマを選ぶ方法
「21個もあると、逆に選べない」という方は、次の表から選んでみてください。
| 今の困りごと | おすすめテーマ |
|---|---|
| 新人が増えた | 新人教育・OJT/基本介助/介護記録/報連相 |
| 転倒やヒヤリハットが続く | 事故防止/移乗介助/バイタル・急変時対応 |
| 誤薬が心配 | 事故防止/服薬時の確認/報連相 |
| 認知症の利用者さんへの対応に悩む | 認知症ケア/コミュニケーション/権利擁護 |
| 家族対応が難しい | クレーム・家族対応/個人情報/接遇 |
| 職員同士の連携が悪い | 報連相/チームコミュニケーション/ストレス対策 |
| 感染症や災害に不安がある | 感染症対策/BCP・災害時対応 |
| 腰痛や介助負担が大きい | 移乗介助/ノーリフティングケア |
| 残業や記録業務を減らしたい | 介護記録/ICT・AI/業務改善 |
新人指導が中心なら、研修だけで完結させずOJTとセットにするのがおすすめです。具体的な教え方は、新人に仕事を教える5ステップでまとめています。
つまらない介護研修にしない7つのコツ
どれだけ正しい内容でも、講師がずっと読み上げるだけでは、現場で使える研修になりにくいです。
ぼく自身、研修講師をして「準備したのに誰も反応してくれない」という失敗を経験しました。
1.研修後に変えてほしい行動を1つ決める
「認知症について理解する」だけでは、ゴールがぼんやりしています。
たとえば、「帰宅願望がある利用者さんへの最初の声かけを考えられるようにする」のように、研修後に何ができれば成功なのかを決めましょう。
2.1回の研修に詰め込みすぎない
せっかく資料を作ったからと、あれもこれも説明したくなります。
しかし、一度に情報を詰め込みすぎると、大事なことが埋もれます。「今日はこれだけ持ち帰ってほしい」というポイントを絞るほうが、研修の目的が伝わります。
3.自施設で実際に起きた事例を使う
架空の話よりも、「先月こんなヒヤリハットがあった」「申し送りでこんな情報が抜けた」など、現場に近い事例のほうが自分ごととして考えやすくなります。
ただし、利用者さんや職員が特定されないように匿名化してください。
4.座学だけで終わらせない
短い説明のあとに、クイズ、ケース検討、実技、ロールプレイなどを入れます。
介護は「知っている」と「できる」が違う仕事です。移乗介助や感染症対策などは、実際に動いて確認したほうが理解しやすいテーマもあります。
5.「質問ありませんか?」だけで終わらせない
ぼくの研修失敗談
以前、ぼくが認知症ケアの研修講師をしたときのことです。
認知症ケアを説明したあと、「実践してみましょう」とグループに分かれて声かけの練習をお願いしました。しかし、なかなか誰も始めません。代表して前で実践してもらおうとしても、誰も目を合わせようとしませんでした。
最後に「質問ありませんか?」と聞いても全員無言。1か月前から資料を準備していたのに、お通夜のような研修になってしまいました。
そこで次の研修では、「質問ありませんか?」ではなく、特定の人に「研修を終えてどう感じましたか?」と具体的に聞き、実践するグループも最初から決めました。
すると、実践練習も研修後のコメントも前回よりスムーズに進みました。
誰か一人が話すと、ほかの人からも意見が出やすくなります。研修は講師の独演会ではなく、参加者とのキャッチボールが大切だと実感しました。
6.意見を言っても大丈夫な空気をつくる
「間違ったことを言ったら恥ずかしい」「否定されたら嫌だ」と感じる場では、参加者は黙ってしまいます。
ぼくはユニットリーダーとして、「機嫌をぶつけない」「ミスを責めない」「相手を尊重する」ことを自分の行動として意識しています。
研修でも同じです。正解を当てさせる場ではなく、「自分ならどうする?」と安心して考えを出せる場にしたほうが、現場の課題が見えやすくなります。
7.研修後に「明日からやること」を決める
研修の最後に、一人ひとつ「明日から意識すること」を決めてもらいます。
- 移乗前にブレーキを指差し確認する
- 認知症の利用者さんをすぐ否定せず、まず話を聞く
- ヒヤリハットをその日のうちに共有する
- 申し送りでは変化と対応をセットで伝える
研修を「いい話だった」で終わらせず、現場で変える行動まで決めて初めて、研修が仕事につながります。
30〜45分でできる介護研修の進め方
内部研修は、必ずしも長時間にする必要はありません。テーマを絞り、説明と参加型の時間を組み合わせます。
| 時間 | 内容 | やること |
|---|---|---|
| 0〜5分 | 目的共有 | なぜ今日このテーマを扱うのか伝える |
| 5〜15分 | 基礎知識 | 公式資料や自施設のルールから重要点を説明 |
| 15〜30分 | 参加型 | 事例検討・クイズ・実技・ロールプレイ |
| 30〜40分 | 意見交換 | 「自施設ならどうするか」を話し合う |
| 40〜45分 | 振り返り | 明日からやることを1つ決める |
30分しか取れないなら、説明を10分程度に絞り、事例検討と振り返りを短くしてもかまいません。
大切なのは時間の長さよりも、「なぜ学ぶのか」「現場で何を変えるのか」がつながっていることです。



介護施設の内部研修でよくある質問
最初に何の研修をすればいいですか?
まずは、自施設のサービス種別で必要となる研修・訓練を確認してください。そのうえで、最近の事故・ヒヤリハット・職員の困りごとから優先順位を決めるのがおすすめです。
法定研修は年に何回すればいいですか?
一律に「すべて年○回」とは言えません。サービス種別や研修テーマによって基準が異なります。厚生労働省の基準・通知、自施設を指定する自治体の最新情報を確認してください。
短時間の研修でもいいですか?
内容を絞れば短時間でも実施しやすくなります。ただし、運営基準などで必要な取り組みについては、自施設に求められる実施方法や記録を優先してください。
研修資料はどうやって作ればいいですか?
制度・安全・感染症などに関する内容は、まず厚生労働省など公的機関の最新資料を確認しましょう。
ゼロから資料を作る負担を減らしたい場合は、介護研修の資料を印刷できるツールも使えます。
まとめ|研修テーマを決めたら資料準備まで一気に進めよう
介護施設の内部研修は、テーマの数を増やすことが目的ではありません。
「今の職場で何を学ぶ必要があるのか」を決め、研修後の行動につなげることが大切です。
今回のポイント
- 「運営基準との関係・現場課題・参加する職員」の3つからテーマを選ぶ
- 必要な研修・頻度はサービス種別ごとに最新基準を確認する
- テーマは広げすぎず、研修後に変えてほしい行動を1つ決める
- 一方的な講義だけでなく、事例・質問・実技を取り入れる
- テーマが決まったら資料準備まで進める
研修担当になると、通常業務をしながら資料を作るだけでも大変です。
資料作りに時間を取られているなら、研修資料を印刷できるツールも使ってみてください。
研修を「やらなければいけない仕事」で終わらせず、現場が少しラクに、安全になる時間にしていきましょう。
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