介護職にやりがいを感じない5つの理由|「仕事」か「職場」かを切り分ける方法

介護職にやりがいを感じない5つの理由|「仕事」か「職場」かを切り分ける方法

「最近、介護の仕事にやりがいを感じない」

「利用者さんに『ありがとう』と言われても、前ほど嬉しくない」

「この仕事を、この先も続けるのかな……」

こんな気持ちになると、「自分は介護職に向いていないのかも」と考えてしまいますよね。

ぼくは介護現場で15年以上働いていますが、ずっと同じ気持ちで働いてきたわけではありません。

「この仕事をしていてよかった」と思う日もあれば、「何のために働いているんだろう」と思った時期もありました。

やりがいを感じない=介護職に向いていない、とは限りません。

給料や待遇に納得できていないのかもしれません。
疲れすぎて、やりがいを感じる余裕がなくなっているのかもしれません。
人間関係や職場の方針が原因になっている場合もあります。

大切なのは、無理に「やりがい」を探すことではなく、何がやりがいを消しているのかを切り分けることです。

この記事の結論

  • やりがいを感じない原因は「給料」だけではない
  • 待遇・疲労・人間関係・成長実感・介護そのものの5つに分けて考える
  • まず「介護が嫌なのか」「今の職場が嫌なのか」を切り分ける
  • 辞めるか我慢するかの二択にしなくていい
  • 心や体に不調が出ているなら、やりがい探しより休むことを優先する

【筆者紹介】
介護業界15年以上の現役介護士(施設勤務)
※現場経験と公的データ(厚労省など)をもとに執筆しています。
【所持資格】
介護福祉士/ケアマネ/上級心理カウンセラー

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目次

結論|やりがいを感じない=介護職が向いていないとは限らない

介護の仕事にやりがいを感じなくなったとき、いきなり「辞めるべきか」で考えないほうがいいです。

まずは、いま一番不満に感じていることを分けてみましょう。

不満の中心起きていることまず確認したいこと
給料・待遇責任や努力に対して報われていない基本給・手当・評価基準
疲労・忙しさやりがいを感じる余裕がない人員・シフト・休憩・残業
人間関係・職場方針介護より職場に消耗している上司・同僚・配置・組織風土
成長・評価毎日同じことの繰り返しに感じる役割・研修・資格・キャリア
介護そのもの仕事内容自体に意味を感じにくい仕事・職種との相性

同じ「やりがいがない」でも、原因によって取るべき行動は変わります。

介護労働安定センターでも、介護労働者の賃金や就業条件だけでなく、仕事の満足度や悩みなどを含む介護労働実態調査を毎年公表しています。

「やりがい」という一言だけで片づけず、何に困っているのかを具体的にすることが大切です。

介護職にやりがいを感じない5つの理由

1.仕事量と給料・待遇のバランスに納得できない

給料は、やりがいのすべてではありません。

ただ、きれいごと抜きで働き続けるうえでは重要です。

夜勤をして、身体介護をして、事故を防ぎ、記録を書き、家族対応や委員会活動までしている。それなのに給与明細を見て「これだけか……」と思えば、仕事への気持ちが下がるのも不思議ではありません。

ぼくの体験

ニュースなどで日本の平均年収を見ると、自分の給与明細を思い浮かべて少しへこむことがあります。

また、現在の職場では介護福祉士の資格手当が月1万8,000円ありますが、これまで見聞きしてきた職場では資格手当がないケースもありました。

同じ資格を持っていても、職場によって評価のされ方は違います。

もしかすると、「介護にやりがいがない」のではなく、頑張りや責任が待遇に反映されていないことに納得できていないのかもしれません。

給料だけでなく、この先の昇給や資格・役職による変化も含めて考えたい人は、介護職のキャリアアップ方法5選も参考にしてください。

2.忙しすぎて、やりがいを感じる余裕がない

ナースコール、排泄介助、食事介助、入浴、記録、家族対応。

勤務中ずっと時間に追われていると、「良い介護ができた」と振り返る余裕すらなくなります。

勤務が終わったときに出てくる言葉が、

  • 今日も無事に終わった
  • やっと帰れる
  • 疲れた

だけになっているなら、やりがいがないというより疲れすぎて感じる余白がなくなっている可能性があります。

やりがいは、気合いで生み出すものではありません。

休憩が取れない、残業が多い、常に人手が足りない状態なら、まず働き方を見直したほうがいいです。

3.人間関係や職場の方針に消耗している

介護そのものより、人間関係に疲れて仕事が嫌になることもあります。

  • 仕事をしない職員の分まで動く
  • 上司の機嫌を気にしながら働く
  • 意見を出しても聞いてもらえない
  • 利用者さんのためにやりたい介護と、職場の方針が合わない

こうした状態が続くと、本来好きだった介護まで嫌になってしまいます。

ここはかなり重要です。

「介護が嫌い」と「この職場で介護をするのが嫌」は、同じではありません。

人間関係や職場環境で悩んでいる人は、まず自分の悩みがどこにあるのかを介護職のよくある悩みから整理してみてください。

4.成長や工夫が見えなくなっている

介護の仕事に慣れてくると、毎日が同じことの繰り返しに感じる時期があります。

新人のころは、移乗や排泄介助ができるようになっただけでも成長を実感できます。

しかし経験年数が長くなると、できることが当たり前になり、自分の成長に気づきにくくなります。

さらに、資格を取っても役割が変わらない、頑張っても評価されない、研修や挑戦の機会がない職場では、仕事が作業になりやすいです。

「介護に飽きた」と感じていても、実は次に目指すものが見えなくなっているだけという場合もあります。

5.介護そのものに興味や意味を感じにくくなっている

もちろん、職場環境ではなく介護そのものが合っていない可能性もあります。

十分休んでも、職場が変わっても、利用者さんと関わることや介護業務そのものに興味を持てない。

そんな状態なら、介護職以外の仕事を考えることも選択肢です。

介護職を続けなければいけない決まりはありません。

ただし、疲れ切っているときに「介護そのものが嫌い」と結論を出すのは早いと思います。

まず休む。そのうえで、「自分は介護のどんな瞬間なら意味を感じるのか」を考えてみるのがおすすめです。

ぼく自身が15年以上働いて考えるようになった介護の意味については、介護の仕事の本質について書いたコラムにまとめています。

介護の仕事が嫌いなのか、今の職場が合わないのか

ぼくは、この切り分けが一番大事だと思っています。

介護そのものに意味を感じる瞬間が残っているのであれば、すぐに介護職を辞める必要はありません。

ぼくが今でも覚えている「やりがい」

本人と「もう一度歩きたい」という目標を共有して支援していた利用者さんがいました。

ベッド上で足を動かしたり、リハビリで歩行練習を続けたりしていた方です。

その方が車椅子から歩行器で歩けるようになった姿を見たときは、本当に嬉しかったです。

こういう瞬間に出会うと、「介護の仕事をしていてよかった」と今でも思います。

一方で、職場環境によって働きやすさは大きく変わりました。

現在のぼくの職場では、残業代は1分単位で支払われ、休憩は1時間取れます。年間休日は120日以上あり、急な欠勤などがなければ基本的に定時で帰っています。

以前は、サービス残業や休日出勤が当たり前の職場で働いた経験もあります。

介護という仕事は同じでも、職場が変わると働く感覚はかなり変わりました。

そこで、次のように考えてみてください。

今の気持ち考えられる方向
利用者さんとの関わり自体は嫌いではない職場環境を見直す余地あり
良い介護ができた日は嬉しい職場環境を見直す余地あり
別の施設なら介護を続けてもいいと思える職場環境を見直す余地あり
休んでも介護業務そのものに興味を持てない別職種も含めて検討
利用者さんとの関わりそのものがずっと苦痛仕事との相性を再検討

介護に意味を感じる瞬間が残っているのに、待遇・人間関係・疲労でそれが消えているなら、先に職場側を見直す余地があります。

「ほかの介護施設ならどうだろう」と感じた人は、ホワイトな介護職場の見分け方を参考にしてください。

やりがいを取り戻すために、今日からできる4ステップ

STEP1.いま一番イヤなことを1つだけ書く

最初から全部解決しようとしなくて大丈夫です。

まず、仕事で一番イヤなことを1つだけ書いてみてください。

  • 給料が低い
  • 夜勤がつらい
  • 上司が苦手
  • 人手不足がしんどい
  • 成長を感じない
  • 介護そのものが楽しくない

「介護が嫌」という大きな言葉ではなく、具体的にするのがポイントです。

STEP2.自分で変えられることか、職場を変えないと難しいことかを分ける

次に、その悩みを2つに分けます。

  • 自分の工夫や相談で変えられること
  • 自分だけでは変えるのが難しいこと

たとえば仕事の覚え方や相談方法は、自分側から変えられる部分があります。

一方で、基本給、人員配置、慢性的なサービス残業、職場全体の人間関係などは、ひとりの努力だけでは変わらないことがあります。

変えられないことまで「自分がもっと頑張れば」と抱え込まないことも大切です。

STEP3.すぐ辞めずに、小さく変えてみる

まだ余裕があるなら、小さく変えて様子を見る方法もあります。

  • 上司へ勤務や業務量を相談する
  • 有給休暇を取って一度しっかり休む
  • 興味のある業務や役割へ挑戦する
  • 資格手当や昇給条件を確認する
  • 異動できないか相談する

それで改善するなら、今の職場を辞めなくてもいいわけです。

STEP4.辞める前に「外の条件」を見てみる

職場そのものが原因だと感じたら、いきなり退職届を出す必要はありません。

転職するかどうかは、ほかの求人を見てから決めても遅くありません。

今より条件の良い職場がなければ残ればいいですし、「この条件なら働いてみたい」と思える職場が見つかれば、そのとき改めて考えればいいです。

求人の探し方や相談先を比較したい人は、介護職向け転職エージェントの比較記事で違いを確認できます。

「辞めるか、我慢するか」。その二択にする必要はありません。

相談する、休む、異動する、求人だけ見る、条件を比べる。

その間にある選択肢も使ってください。

【やりがいを感じないときの4ステップ判断フロー】

心や体に不調が出ているなら、やりがい探しより先に休む

ここだけは強く伝えたいです。

仕事へ行くこと自体がつらくなっているなら、「どうすればやりがいを持てるか」を考える段階ではないことがあります。

ぼくにも、出勤できなくなった時期があります

以前の職場では、駐車場にある威圧的な上司の車を見るだけで吐き気がしたことがあります。

「今日もまた一日が始まる」と考えるだけで憂うつになり、途中で引き返して「体調が悪いので休みます」と電話したこともありました。

当時は休んだ自分を責めました。

でも振り返ると、ぼくに必要だったのは「もっと仕事のやりがいを探すこと」ではなく、自分の心と身体を守ることでした。

これはぼく自身の体験であり、症状の原因や診断を一般化するものではありません。

心身の不調で仕事や日常生活に支障が出ている場合は、自分だけで原因を決めつけず、まず休養を取り、家族や職場へ相談し、必要に応じて医療機関や専門の相談窓口を利用してください。

厚生労働省の「こころの耳」には、働く人向けの電話・SNS・メール相談窓口があります。

「辞めたほうがいい状態なのか整理したい」という人は、介護職を辞めたいときの判断基準も参考にしてください。

介護職のやりがいに関するよくある質問

やりがいを感じないなら介護職を辞めるべきですか?

すぐ辞める必要はありません。

まず、原因が「介護そのもの」なのか「今の職場」なのかを切り分けてみてください。

待遇や人間関係、勤務環境が原因なら、職場を変えるだけで解決する可能性があります。一方、心身に不調が出ている場合は判断より休養を優先してください。

介護職にやりがいを感じない一番の原因は給料ですか?

給料は重要ですが、「一番の原因は給料」と一括りにはできません。

疲労、人間関係、職場方針、成長実感、介護そのものとの相性など、原因は人によって違います。

だからこそ、自分が何に一番納得できていないのかを具体的にすることが大切です。

「ありがとう」と言われても、やりがいを感じません

それだけで自分を責める必要はありません。

ぼく自身、「ありがとう」という言葉に救われた経験はたくさんあります。

でも、感謝だけで給料や休息、人間関係の問題がなくなるわけではありません。

「ありがとうは嬉しい。でも、それだけでは続けられない」。この2つは同時に成り立つと思っています。

介護職のまま職場を変える意味はありますか?

あります。

ぼく自身、同じ介護の仕事でも、サービス残業が当たり前だった職場と、残業代や休憩、休日がきちんと確保される職場では、働きやすさが大きく違いました。

「介護は嫌いではないけれど、今の職場はつらい」という人は、介護職そのものを辞める前に他施設の条件を見てみる価値があります。

まとめ|無理に「やりがい」を作らなくていい

介護職にやりがいを感じなくなったとき、無理に「介護は素晴らしい仕事だ」と思い込む必要はありません。

まずは、いま一番イヤなことを1つだけ挙げてください。

  • 給料・待遇
  • 忙しさ・疲労
  • 人間関係・職場方針
  • 成長・評価
  • 介護そのもの

そのうえで、「自分で変えられること」と「職場を変えないと難しいこと」に分けます。

やりがいがないから、すぐ辞める。つらくても、とにかく我慢する。その二択にしなくて大丈夫です。

相談する。休む。働き方を変える。求人だけ見る。ほかの職場と比べる。

それから、自分に合う道を決めればいいと思います。

まだ「何がつらいのか」がはっきりしない人へ

まずは介護職によくある悩みを整理するところから始めてみてください。

職場環境が原因だとはっきりしているなら、働きやすい介護職場の見分け方を先に知っておくと、次の職場で同じ悩みを繰り返しにくくなります。

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この記事を書いた人

【介護業界15年以上】
資格:介護福祉士、介護支援専門員、上級心理カウンセラー
施設のリーダーで採用から教育に関わる
現役介護士ならではの「体験談」や「介護現場の声」を発信しています。
「ブラック企業」から「ホワイト企業」に転職した経験を活かし、転職に失敗しない方法も紹介しています。

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