【体験談】介護施設の夜勤中に利用者さんが亡くなり警察が来たときの対応

【体験談】介護施設の夜勤中に利用者さんが亡くなり警察が来たときの対応
この記事の要約
  • 夜勤中に利用者さんが急に亡くなったときは、突然死と見られる場合、警察が来て現場を調べて話を聞きます。
  • 流れは「異変に気づく → 119番で救急車 → 病院へ搬送 → 約5分後に警察到着 → 現場検証と聞き取り(約2時間) → 終了」です。
  • 大切なことは「落ち着いて行動する」「普段から記録をしっかり書く」「一人で抱えず応援を呼ぶ」の3つです。
介護士

夜勤中に利用者さんが亡くなられたらどうするの?

介護士

もし亡くなった場合、警察が来るの?

介護おじさん

介護士歴15年以上の筆者が、実際に経験した“夜勤中の死亡対応”をリアルに解説します。

介護施設では、利用者さんが穏やかに最期を迎えることもありますが、夜勤中に急変し、そのまま亡くなってしまうケースも。

結論:利用者さんが突然死だった場合、警察が現場検証や事情聴取をするために施設に来ます。

利用者さん発見から警察官が帰るまでの流れ

  1. 利用者さんの異変を発見
  2. 救急車要請
  3. 救急車到着(利用者さん搬送)
  4. 警察官到着(救急隊到着の約5分後)
  5. 現場検証・事情聴取(約2時間)
  6. 事情聴取終了

ぼくは、警察官4名に囲まれて次から次へと質問され、事件性がないと断定されるまでは「まるで犯人扱い」でした。

この記事を読めば、次のことがわかります。

施設で利用者さんが亡くなった際の基本対応
警察が来るケースと、そのときに必要な準備
動揺せずに対応するための心構え

<警察官に聞かれたこと>

  • 最後に利用者さんの生存を確認した時刻
  • 最後に会話した内容
  • 利用者さん発見時の様子
  • 利用者さんが寝ていた位置
  • 利用者さんの日中の様子

<警察官が確認したもの>

  • 利用者さんの居室内の様子
  • 介護記録
  • 業務日報
  • 健康状態に関する記録
  • 介護施設の見取り図

最後まで読めば、いざというときに焦らずに、冷静に対応できるようになりますよ。

「もしもの時に備えておきたい」という方は、ぜひチェックしてください。

筆者プロフィール】
現役15年の介護士です。現場経験と公的データ(厚労省など)をもとに執筆しています。
【資格】介護福祉士/ケアマネ/上級心理カウンセラー

当ブログの「実績」と「信頼性」

ブログ村「介護職ジャンル」PVランキング1位

複数のメディアでおすすめブログと紹介される

多くの介護職に読まれている情報サイトです。

目次

介護施設の夜勤中に利用者さんが亡くなり警察が来たときの対応

利用者さんが亡くなって警察が来たときの対応を紹介します。

ここでは、次のことがわかります。

  • 警察に聞かれたこと
  • 警察が同じことを何度も聞く3つの理由
  • 警察が確認したもの
介護現場の声

夜勤は基本ワンオペ。

急変~通報~引き継ぎまで、頭の中で手順を何度もシミュレーションしてます。

時間がたつと忘れがちなので、定期的に緊急時マニュアルを確認。

「備えあれば患いなし」です。

【体験談】警察に聞かれたこと

警察に聞かれたことは次のとおりです。

  • 最後に利用者さんの生存を確認した時刻
  • 最後に会話した内容
  • 利用者さん発見時の様子
  • 利用者さんが寝ていた位置
  • 利用者さんの日中の様子

最後に利用者さんの生存を確認した時刻

21:00の巡回時に入眠されているときの呼吸を確認する。

(介護記録にも記載している)

最後に会話した内容

20:00にVDS(就寝時前薬)をお持ちしたときに「ありがとう」と言われたのが最後の会話でした。

利用者さん発見時の様子

23:00巡回時に呼吸確認するが、呼吸をしている様子がない。

体をゆすりながら声をかけるが反応なし。

血圧測定するがエラーで測定不能。

すぐに救急車を要請する。

利用者さんが寝ていた位置

窓側を枕に仰臥位で臥床されていた。

(警察官に「仰臥位で臥床されていた」と説明しても伝わらず「仰向けで寝ていた」と言い直す)

仰臥位が一般の人には伝わらないことを知る。

利用者さんの日中の様子

介護記録と業務日報を見ながら、日中の様子を説明する。

普段とお変わりなく、ラジオ体操やレクリエーションに参加されていた。

警察が同じことを何度も聞く3つの理由

警察はなぜ同じことを何度も聞くのか?

その理由は次のとおりです。

  1. 事実関係の確認
  2. 証拠の収集
  3. 証言の整合性の確認

<事実関係の確認>

警察は事実関係を正確に把握する必要があります。

そのため、複数回にわたって同じことを聞くことで、情報の漏れや誤りを防ぎます。

<証拠の収集>

警察は、事件や事故の証拠を収集する必要があります。

そのため、被疑者や目撃者から、事実関係に関する情報を詳しく聞くことで、証拠をより確実に収集することができます。

<証言の整合性の確認>

警察は、第一発見者の証言の整合性を確認する必要があります。

そのため、複数回にわたって同じことを聞くことで、証言の矛盾や不自然な点がないかを確認するためです。

嘘をついていたら、いつかボロが出るわけですね。

体験談

ぼくは2回、別々の警察に、利用者さんを発見したときの状況や様子を説明しました。

同じことを一から説明するので、時間がかかります。

他のスタッフが応援に駆けつけてくれて、夜勤業務をしてくれたので助かりました。

介護現場の声

同じ質問でも、相手は役割が違うだけ。

落ち着いたトーンで反復回答しましょう。

【体験談】警察が確認したもの

警察が確認したものは次のとおりです。

  • 利用者さんの居室内の様子
  • 介護記録
  • 業務日報
  • 健康状態に関する記録
  • 介護施設の見取り図

利用者さんの居室内の様子

ぼくと一緒に利用者さんの居室内の様子を確認する。

  • 寝ていた位置
  • 窓はどれくらい開くか
  • シーツや布団の状態

「争った形跡はないか?」「外部からの侵入は可能か?」など確認していました。

介護記録

利用者さんの介護記録を入念に確認していました。

「普段の様子」「今日の様子」を聞かれたので、とくに変わりないことを伝える。

業務日報

業務日報もチェックされました。

業務日報はざっと見た感じで、すぐに返される。

健康状態に関する記録

利用者さんの健康状態に関する次のことを確認されました。

  • 既往歴
  • 受診歴
  • 認知症の有無
  • 歩行状態

介護施設の見取り図

介護施設の見取り図を提出するように言われて、施設長に対応していただく。

(ぼくは介護施設の見取り図がどこにあるか知りませんでした)

何かあったときのために、情報の共有は大切ですね。

介護現場の声

記録・日報・居室状況は必須。

普段から“第三者に見せる前提”で書くと、いざという時に自分を助けてくれます。

利用者さん発見から警察官が帰るまでの流れ

時計のイメージ画像

利用者さん発見から警察官が帰るまでの流れ

  1. 利用者さんの異変を発見
  2. 救急車要請
  3. 救急車到着(利用者さん搬送)
  4. 警察官到着(救急隊到着の約5分後)
  5. 現場検証・事情聴取(約2時間)
  6. 事情聴取終了

詳しく見ていきましょう。

STEP
利用者さんの異変を発見

23:00の巡回で利用者さん(90代女性)が息をしていないのを発見する。

声かけにも反応なく、血圧も測定不能。

STEP
救急車要請

119番で救急車を要請する。

他のフロアのスタッフにも連絡して、救急隊到着まで利用者さんの心臓マッサージを手伝ってもらう。

その後、オンコールで看護師に利用者さんの状態と、これから緊急搬送することを伝える。

施設長にも連絡して状況を報告。

STEP
救急車到着

23:10頃、救急隊員が到着したので居室へ案内する。

その後、オンコールで駆けつけた看護師が到着して救急車に同乗。

23:20頃、救急車が病院へ向かう。

利用者さんの身元引受人(息子様)に連絡して○○病院に緊急搬送されたことを伝える。

STEP
警察官到着 現場検証・事情聴取開始

23:25頃、警察官2名が到着。

現場検証と事情聴取が始まる。

その後、警察官4名が到着して現場検証に加わる。

23:35頃、施設長が到着したので、一緒に対応していただく。

STEP
現場検証・事情聴取終了

1:20頃、現場検証と事情聴取が終了する。

介護現場の声

家族連絡は簡潔に事実のみ。

推測は避け、搬送先と時刻を明確化。

後で詳細説明の場を設けると信頼を保てます。

今回の件で学んだ3つの教訓

教訓のイメージ画像

今回の経験で学んだ3つの教訓は次のとおりです。

  • 介護記録を怠らない
  • 他のスタッフに応援を依頼する
  • 落ち着いて対応する

介護記録を怠らない

今回の件で、日ごろから介護記録を怠らないことの重要性を再認識できました。

利用者さんの対応で忙しいと「介護記録は後でまとめて作成しよう」となりがちですが、ワンオペ夜勤では他に証明できる人がいません。

自分の立場を守るためにも、できるだけ早めに介護記録を記入しましょう。

何かあってから介護記録を作成している余裕はありません。

他のスタッフに応援を依頼する

ワンオペ夜勤で、緊急時にひとりですべてを対応するのは困難です。

管理者や他のフロアのスタッフに応援を依頼して、助けてもらいましょう。

ひとりで何とかしようとすると、警察の対応中に「利用者さんの転倒事故」が起きる危険があります。

現場検証・事情聴取などでスタッフが手薄になってしまいますから。

ひとりで無理をせず、第二の事故を防ぎましょう。

介護現場の声

応援依頼は遠慮しない。

ワンオペの限界を理解し、二次事故を防ぐための“助けて”はプロとしての判断だと思います。

落ち着いて対応する

利用者さんの急変で気が動転しないように、深呼吸をしながら落ち着いて対応しましょう。

焦って頭が真っ白になると、正しい判断ができなくなります。

救急車を要請るような、一分一秒を争う事態のときこそ、冷静に落ち着いた対応が求められます。

万一のときにもスムーズに対応できるように、緊急時マニュアルを整備しましょう。

よくある質問【Q&A】

119番と110番、どっちにかける?

まずは119番(救急)。医師の確認や状況によっては警察(110番)への連絡が必要になるため、管理者・看護師の指示に従い追加連絡します。

何を準備しておけばよい?

直近の介護記録・バイタル・与薬記録、入退所書類、連絡先リスト、施設見取り図。保管場所をチームで共有して即時に出せる状態に。

聞き取りで気をつけることは?

推測を言わない。主語・時刻・行為の3点をそろえ、同じ質問にも同じ表現で繰り返し答えます。わからない事は「確認中」と明確に。

家族への連絡は何を伝える?

事実のみ・簡潔に。「いつ、どこで、どう確認し、今どこに搬送/対応中か」。推測や原因断定は避け、今後の流れを丁寧に案内します。

現場はどこまで片づけていい?

基本は現場保全。必要な安全確保以外の片づけ・移動は控え、指示が出るまで原状維持します。

居室や物品の写真は撮ってよい?

施設ルールと法令順守が最優先。勝手に撮影せず、管理者判断・手順に沿って対応します(無断撮影はNG)

他の入居者対応はどうする?

介助動線を確保し、通常ケアを途切れさせない体制を早めに。応援要請と役割分担で、フロアの安全を守ります。

まとめ

この記事の要約
  • 夜勤中に利用者さんが急に亡くなったときは、突然死と見られる場合、警察が来て現場を調べて話を聞きます。
  • 流れは「異変に気づく → 119番で救急車 → 病院へ搬送 → 約5分後に警察到着 → 現場検証と聞き取り(約2時間) → 終了」です。
  • 大切なことは「落ち着いて行動する」「普段から記録をしっかり書く」「一人で抱えず応援を呼ぶ」の3つです。

今回は「介護施設の夜勤中に利用者さんが亡くなり警察が来たときの対応」について、ぼくが体験したことを解説しました。

担当する警察官によって対応する内容は変わると思いまが「確認されること」「準備するもの」を事前に知ることで心の準備ができると思います。

おさらいすると、次のとおりです。

<警察官に聞かれたこと>

  • 最後に利用者さんの生存を確認した時刻
  • 最後に会話した内容
  • 利用者さん発見時の様子
  • 利用者さんが寝ていた位置
  • 利用者さんの日中の様子

<警察官が確認したもの>

  • 利用者さんの居室内の様子
  • 介護記録
  • 業務日報
  • 健康状態に関する記録
  • 介護施設の見取り図

利用者さんはいつ容態が急変するかわかりません。

「今日も大丈夫だろう」ではなく「もしかしたら容態が急変するかもしれない」と考えて、緊急時でも冷静に行動できるような心構えが大切ですね。

勤続年数が長くなると、業務に慣れて緊張感がなくなりますから。

「初心忘るべからず」

毎日でなくても、「こういう事態のときはこう動く」と頭の中でイメージすると、万一のときにスムーズに動けます。

この記事を読んでいる、勉強熱心なあなたなら大丈夫。

最後まで読んでくれた、あなたを応援しています。

では、また。

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この記事を書いた人

【介護業界15年目】
資格:介護福祉士、介護支援専門員、上級心理カウンセラー
施設のリーダーで採用から教育に関わる
現役介護士ならではの「体験談」や「介護現場の声」を発信しています。
「ブラック企業」から「ホワイト企業」に転職した経験を活かし、転職に失敗しない方法も紹介しています。

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