「今の介護施設を辞めたい。でも、転職するのは逃げなのかな……」
人手不足の現場で働いていると、同僚や利用者さんへの申し訳なさから、辞める決断に罪悪感を覚えることがあります。
先に結論を伝えます。転職は逃げと決めつける必要はありません。 働く場所を変えるのは、自分の生活や仕事を守るための選択肢です。
ただし、どんな不満でも「すぐ辞めれば解決する」とは限りません。大切なのは、何から離れたいのか、今の職場で改善できるのか、次の職場に何を求めるのかを整理すること。
介護福祉士として15年以上働くぼくも、以前は厳しい営業職から逃げるように転職しました。その経験を交えながら、今の職場に残る・働き方を変える・転職するための判断材料をお伝えします。
この記事の結論
- 転職は「負け」ではなく、働き方を選び直す手段です。
- つらさが心身に及んでいるなら、転職の結論より休養や相談を優先してください。
- 迷っているなら、現職で変えられることと、次の職場でしか変えられないことを分けましょう。
- 最初の一歩は退職届ではなく、「次の職場で譲れない条件」を1つ書き出すことです。
【筆者紹介】
介護業界15年以上の現役介護士(施設勤務)
※現場経験と公的データ(厚労省など)をもとに執筆しています。
【所持資格】
介護福祉士/ケアマネ/上級心理カウンセラー
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介護職の転職は逃げではない。今の職場を離れても、介護を諦めることにはならない
転職を「逃げ」と考えてしまう背景には、「自分が辞めたら現場が回らない」「利用者さんとの関係を途中で投げ出してしまう」という気持ちがあるのかもしれません。
利用者さんを大切に思う気持ちは、仕事への誠実さでもあります。一方で、職員一人が自分の健康や暮らしを犠牲にしてまで、人手不足を補い続ける必要はありません。 配置や採用、業務の見直しは、個人だけで抱え込む問題ではないからです。
また、「今の施設を辞める」と「介護の仕事を辞める」は別の選択です。介護の仕事が好きでも、夜勤の回数、職員同士の関係、教育体制が合わないことはあります。職場を変えることで、介護を続けやすくなる場合もあります。
もちろん、転職先が必ず良い環境とは限りません。だからこそ、勢いで辞めることより、自分に合う働き方を確かめることが大切です。
「逃げなのか」ではなく、3つの判断軸で考える
「辞めたら逃げ」という言葉では、あなたの状況を判断できません。ぼくなら、次の3つを確認します。

1.心や体に無理が出ていないか
出勤前から強い不調を感じる、眠れない状態が続く、休日も仕事のことが頭から離れず休めない。そんなときは、転職先を探す前に休息や相談が必要な場合があります。
つらさの原因や病名を自分だけで決めつけず、必要なら医療機関へ相談してください。仕事のストレスや相談先については、厚生労働省の「こころの耳」相談窓口も案内されています。
「職場に迷惑をかけるから休めない」と無理を重ねるより、まず自分の状態を守ることを優先してください。
2.今の職場で改善できる問題か
たとえば、業務量の偏りやシフトの負担は、担当の見直しや異動、勤務時間の調整によって改善できるかもしれません。話し合いが安全にできる職場なら、一度具体的な要望を伝える方法もあります。
ただし、相談するたびに威圧される、繰り返し嫌がらせを受ける、改善を求めても状況が変わらない場合にまで、我慢を続ける必要はありません。相談先が職場内にないときは、厚生労働省の総合労働相談コーナーで職場のいじめ・嫌がらせなどについて無料で相談できます。
3.転職先で何が変われば納得できるか
「とにかく辞めたい」だけだと、転職先を選ぶ基準があいまいになります。今の職場への不満を、次の職場で確認する条件へ変えてみましょう。
- 夜勤が負担 → 月の夜勤回数、夜勤体制、休憩の実態を確認する。
- 教育が不十分 → 入職後の研修や独り立ちまでの支援を聞く。
- 人間関係がつらい → 施設見学で職員同士のやり取りや、質問への対応を観察する。
- 収入が不安 → 基本給だけでなく、手当・賞与・勤務条件を含めて比較する。
他の職場を調べることと、退職を決めることは別です。まだ決心がつかない段階でも、比較のための情報収集はできます。
残る・調整する・転職する|今の状況に合わせた選択肢
答えは「今すぐ辞める」か「我慢する」だけではありません。状況ごとに、最初に考えたい行動を整理しました。
| 今の状況 | 最初に考えたい行動 |
|---|---|
| 心身の不調が続いている | 休養、医療機関・相談窓口への相談。退職判断を急がない。 |
| 仕事内容は好きだが勤務条件が合わない | シフト調整・配置転換を相談し、同時に他施設の条件を調べる。 |
| 嫌がらせや改善されない負担がある | 記録を残し、必要に応じて外部相談と転職準備を進める。 |
| 働きやすく、将来にも納得できている | 無理に転職せず、今の職場で働き続ける。 |
※この表は一般的な整理です。安全上の問題や差し迫った不調がある場合は、比較検討よりも安全確保と相談を優先してください。



ぼく自身も「逃げるように」営業職から転職しました
ここからは、ぼく自身の経験をお話しします。
介護職になる前、ぼくは営業の仕事をしていました。ノルマに厳しく、達成できないと怒鳴られることがありました。契約が取れないと「契約取れるまで帰ってくるな」と言われたこともあります。ノルマ未達成のとき、ビルの階段を走らされたこともありました。
そんな職場から、ぼくは逃げるように転職しました。 その後、資格を取得し、施設を見学して、有料老人ホームで働き始めました。
介護は決してラクな仕事ではありません。それでもぼくは、職員同士でケアについて話し合い、試行錯誤しながら改善する仕事にやりがいを感じています。
この経験があるから、ぼくは「つらい場所から離れた」という事実だけで、その転職を失敗や逃げだとは判断しません。 大事なのは、離れた先でどんな働き方を選びたいかです。
ただし、これはぼく個人の体験です。転職すれば誰もが同じように満足できるわけではありません。
転職を後悔しないために、辞める前にできる3つのこと
1.「これだけは変えたい条件」を1つ書く
最初から理想の職場をすべて言葉にしなくて構いません。まず、今の職場でいちばん負担になっていることを1つ挙げてください。
たとえば「夜勤を減らしたい」「急な残業が少ない施設で働きたい」「相談できる上司がいる環境がいい」。この1つが、求人や見学先を比べるときの軸になります。
2.退職する前に、他の職場の実情を知る
求人票だけでは、忙しい時間帯の雰囲気や新人へのフォローまでは十分に見えません。応募先が気になるなら、見学の可否を確認し、気になる条件を質問しましょう。
施設見学で見る場所や質問例は、介護施設見学で確認したいポイントで詳しく整理しています。
3.今の職場と候補先を同じ項目で比べる
給与だけで決めず、夜勤回数、休み、通勤時間、教育体制、相談しやすさなど、自分にとって重要な項目を並べましょう。情報が不足している項目は、無理に「良さそう」と判断せず、未確認のまま残しておきます。
応募前から入職までの確認漏れが心配なら、介護職の転職で失敗しない7つの方法も参考にしてください。
転職が逃げかどうか、よくある疑問
人手不足なのに辞めてもいいですか?
同僚への負担が気になるのは自然です。ただ、施設の人員確保や勤務体制を職員一人の我慢だけで支えることはできません。引き継ぎや退職の手続きを適切に進めることと、自分の進路を選ぶことは両立できます。
職場の人間関係が理由なら、転職は逃げですか?
人間関係が理由だからといって、逃げとは限りません。伝え方や配置変更で改善できる場合もあれば、相談しても状況が変わらない場合もあります。「誰かが嫌い」という感情だけでなく、何が起きていて、どんな対応を試したかを整理すると判断しやすくなります。
転職活動を始めたら、必ず辞めなくてはいけませんか?
いいえ。求人を調べたり施設を見学したりしても、今の職場に残る選択はできます。ただし、見学・応募など各段階で相手との約束や案内に従う必要はあります。
「もう限界かも」と思うときはどうすればいいですか?
心や体に不調があるなら、まず休むことや専門家への相談を検討してください。辞める判断そのものの整理は、介護職を辞めたいのは甘え?限界サインと判断基準で詳しく紹介しています。
まとめ|転職は逃げかどうかより、「自分を守れる働き方か」で決めよう
転職を「逃げ」と呼ぶかどうかに、正解はありません。
つらい環境を離れるのも、職場で改善を試みるのも、今の職場に残るのも、あなたが選べる働き方です。
ぼくが大切にしたいのは、「介護職だから我慢しなくてはいけない」ではなく、「これからも安心して働けるか」という視点です。
今日できる一歩として、「次の職場で、これだけは変えたい」と思う条件を1つ書いてみてください。 まだ辞めると決めなくても、それだけで比較する基準ができます。
ほかの施設の情報を知りたい方は、特徴や相談方法を比較できる介護職向け転職エージェント5社の比較記事を参考にしてください。転職支援サービスを使わず、自分で求人を探す選択もあります。
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