【施設編】食事介助の手順 美味しく召し上がるコツとNGな介助

食事を出す介護士のイメージ

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新人君

食事介助のポイントを教えてください!

介護おじさん

介護福祉士のぼくがお答えします。

ぼくが勤めている有料老人ホームで全介助(すべて職員が介助)の食事を例に解説します。

この記事を書いた人

名前:介護おじさん
年齢:42歳
資格:介護福祉士、介護支援専門員
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目次

食事前の準備

食事に必要な物の準備

お皿とスプーン・フォーク
  • 食事用エプロン
  • 箸、スプーン、フォーク、器
  • 水分
  • おしぼり

利用者さんに合わせた物を準備しましょう。

トイレを済ませていただく

介護施設のトイレのイメージ

食事に集中できるように、食事前には必ずトイレを済ませていただきましょう。

食事中にトイレに行くのが恥ずかしくて食事を途中で止められてしまう場合があります。

トイレを拒否される場合は「トイレを済ませば、ゆっくり、美味しく食べれますよ」と言葉かけをしてみましょう。

それでも「もう済ませた(実際は行ってない)」「食事の後に行く」と拒否されることがあります。

その時は、本人の意思を尊重しましょう。無理強いはできません。

体験談

トイレに誘導するコツ

  • 今ならトイレ空いていますよ
  • 今ならすぐに入れますよ

「今なら」をアピールすると拒否なく応じていただけました。

施設では集団で食事をしますので、食事中に「ウンチしたい」と他の方に聞こえるように言われたり、どこからともなく便臭がしてきたり…利用者さん同士のトラブルに発展することがあるので「トイレを済ませる」というのは大切です。

正しい姿勢で座っていただく

座って談笑する高齢者のイメージ

椅子に深く腰掛け、やや前かがみになるような姿勢で座っていただきます。

顎(あご)を引いて飲み込みやすい姿勢を維持できればOKです。

体を支える筋力が低下するとバランスが崩れて体が傾いたり、正しい姿勢をキープできないことがあります。その場合は、体と椅子の隙間にクッションや丸めたバスタオルを入れて姿勢を整えましょう。

傾いたり、顎が上がった姿勢では「むせ込み」「喉つまり」「誤嚥」の原因になるので注意しましょう。※誤嚥(ごえん)とは飲み込んだものが食道ではなく気管に入ることです。

介護おじさん
介護おじさん

誤嚥は「誤嚥性肺炎」を引き起こす原因になるので要注意です!

お口の体操

お口の体操をしているイメージ

食事前にお口の準備体操をします。

お口の体操をするのは食事で必要な頬(ほほ)、舌、のど、顎(あご)を動かして筋肉に働きかけ、筋力の低下を予防したり、唾液を出しやすくするためです。

職員が利用者さんの前に出て一緒に行います。笑顔で楽しく行いましょう。

パタカラ体操 (約5分)

パタカラ体操の手順
  • ステップ1
    深呼吸3回 ゆっくりと吸って吐きます。
  • ステップ2
    首の運動 首を前後、左右に倒します。次はゆっくりと大きく回します。
  • ステップ3
    肩の運動 肩をゆっくり上げて、すとんと落とします。
  • ステップ4
    口の運動 口をすぼめたまま上下左右に動かします。
  • ステップ5
    頬(ほほ)の運動 口を閉じて頬を膨らましたり、すぼめたりします。
  • ステップ6
    舌の運動 舌を出して上下左右に動かします。
  • ステップ7
    唾液腺のマッサージ 両手の親指を立てて顎(あご)の下から耳の後ろまでゆっくり押していきます。
  • ステップ8
    発声練習 「パパパパパ」「タタタタタ」「カカカカカ」「パタカラ」とリズムよく発声します。
  • ステップ9
    おまけ 「生麦生米生卵」のような早口言葉を行います。
  • ステップ10
    深呼吸3回 ゆっくり吸って、ゆっくり吐きます。
介護おじさん

無理のない範囲で、できるところだけでOKです。

食事中のポイント

食事介助をしている介護士のイメージ

食事を配膳したら利用者さんの隣に座り、メニューを紹介します。

「美味しそうですね~」と言葉をかけて食欲を引き出しましょう。

食べる順番

水分で口の中を潤すことからスタート(お茶やお水)

一般的には、水分の多いもの(汁物など)から食べて「主食」→「おかず」→「水分」と交互に進めて行きますが、決めるのはあくまでも本人です。「次は何を食べますか?」と確認しながら介助しましょう。

本人の意向を無視して「おかゆ」に「おかず」を混ぜるのはNGです。

注意すること

アドバイスする介護士のイメージ

忙しいからと食事を急ぐと誤嚥や喉つまりの原因になるので危険です。一口の量はティースプーンで軽く一杯を目安にしましょう。

※むせなければ大丈夫という訳ではありません!不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)という「むせない誤嚥」があります。静かな誤嚥(サイレント・アスピレーション)とも呼ばれます。

むせない誤嚥は気付きにくいため、ゆっくりと飲み込みを確認しながら進めましょう。

相手のペースに合わせることが大切です。

詳しくは誤嚥性肺炎予防マニュアル【介護家族・施設職員向け】(松江市医師会・歯科医師会・薬剤師会)

残さず食べるのがよい食事ではありません。ご本人の食べれる量を把握して、ご本人に合わせましょう。

食後のケア

口腔ケアをするイメージ

食事が終わると口腔ケアで口の中を清潔にしましょう。

食べ残しがあっても誤嚥性肺炎の原因になるので注意してください。

ご自分でうがいができない方には「口腔ケアスポンジブラシ」を使用して清潔にしたり「口腔ケア用ウェットティッシュ」を職員が指に巻いて、お口の中を拭き取ります。

食後30分ほどは横にならないように注意しましょう。胃酸や消化中の食べ物が逆流する恐れがあります。

まとめ

食事のチェックをする介護士のイメージ

食事介助のポイントをまとめると

  • 美味しく食事するための準備を行う
  • 食べるための筋力を大切にする
  • 誤嚥などに気を付けて、本人に合わせて介助を行う
  • しっかりと食後のケアをしよう
体験談

施設で生活されている利用者さんに何が楽しみか聞くと「食事が一番楽しみ」という意見が圧倒的に多いです。

「食事に人生をかけている」との意見もありました。

美味しいものを食べているときは幸せですね。

食事を楽しく、美味しく食べれるように支援していきましょう。

最後まで、読んでくれたあなたを応援しています。

では、また。

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【介護業界14年目】
資格:介護福祉士 介護支援専門員
施設のリーダー 採用から教育に関わる
モットー:やさしい介護
転職回数:5回

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