介護の基本5選|新人介護士が最初に覚えたい姿勢・声かけ・安全の考え方

介護の基本5選|新人介護士が最初に覚えたい姿勢・声かけ・安全の考え方

介護の基本は、たくさんの介助方法を暗記することではありません。

新人のうちは、

「このやり方で合っているのかな?」

「先輩によって言うことが違う……」

と迷うことがあります。

そんなときは、

尊厳・自立・安全・観察と連携・個別性

の5つに戻って考えてみてください。

厚生労働省が示す介護職員初任者研修でも、
「介護における尊厳の保持・自立支援」
「介護の基本」
「コミュニケーション技術」
「こころとからだのしくみと生活支援技術」
などが研修科目に含まれています。
厚生労働省の介護職員初任者研修の基準

ぼく自身、介護福祉士として15年以上働いていますが、新人のころは資格取得時に学んだことが、そのまま現場で通用するわけではないことに戸惑いました。

だからこそ、細かな手順を丸暗記する前に、

「何のために、この介助をするのか」

という基本を持っておくことが大切だと感じています。

この記事の要約
  • 利用者さんを一人の大人として尊重する
  • できることまで奪わず、必要な部分を支える
  • 介助の速さより安全を優先する
  • 「いつもと違う」に気づいたら記録・共有する
  • マニュアルを土台にしながら、その人に合わせて考える

【筆者紹介】
介護業界15年以上の現役介護士(施設勤務)
※現場経験と公的データ(厚労省など)をもとに執筆しています。
【所持資格】
介護福祉士/ケアマネ/上級心理カウンセラー

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目次

介護の基本は「尊厳・自立・安全・観察と連携・個別性」の5つ

介護の基本5つ

新人介護士さんには、最初から何十個も覚えようとするより、この5つを軸にすることをおすすめします。

介護の基本現場で確認すること
尊厳一人の大人として接しているか
自立支援本人ができることまで奪っていないか
安全体調・環境・介助方法に危険がないか
観察と連携変化に気づき、記録・共有できているか
個別性「いつものやり方」ではなく本人に合っているか

どれか一つだけ守ればいいわけではありません。

たとえば「自分でやってもらう」という自立支援も、転倒などの危険が高ければ安全への配慮が必要です。

反対に、安全を意識するあまり何でも介護士がやってしまえば、本人が持っている力を使う機会を減らしてしまいます。

介護は、このバランスを考える仕事でもあります。

1.尊厳を守る|「介助される人」ではなく一人の大人として接する

介護で最初に忘れたくないのが、利用者さんの尊厳です。

介助する側にとって日常的な言葉や動作でも、介助される側には受け取り方が違うことがあります。

ぼくにも、こんな経験があります。

ある利用者さんに、

「おむつ交換に来ました」

と声をかけたところ、

「こんな歳になって、おむつを交換されるの、みじめだわ……」

と落ち込まれてしまいました。

次から、

「下着を整えに来ました」

と言い換えると、

「助かるわ」

と返してくれました。

している介助は同じです。

変わったのは言葉だけでした。

この経験から、介護職には当たり前の言葉でも、利用者さんにはどう聞こえるのかを考えるようになりました。

もちろん「下着」という表現が、すべての人に正解という意味ではありません。

大事なのは、

「自分が同じ立場なら、どう声をかけてほしいだろう?」

と一度考えることです。

  • 名前を呼ぶ
  • これから何をするのか説明する
  • 人前で必要以上に排泄や身体状況を話さない

こうした小さな積み重ねが、尊厳を守る介護につながります。

介護現場の言葉遣いについては、介護現場で使ってはいけない言葉と適切な言い換えでも詳しくまとめています。

2.自立支援|「全部やってあげる」より、できる部分を残す

介護というと、

「困っていることを全部やってあげる仕事」

と思われるかもしれません。

ですが、基本は本人ができることを生かし、難しい部分を支えることです。

たとえば着替えなら、最初から最後まで介護士が行うのではなく、

「どこまで本人ができるのか」

を見ながら介助量を調整します。

本人が選べることなら、本人の意向も確認します。

介護士側から見ると、こちらで全部やった方が早い場面もあります。

それでも「早く終わること」と「よい介護」は同じではありません。

介助に入る前に、

  • 自分でできる部分はどこか
  • 本人が選べることはないか
  • どこから介助が必要なのか

を一度考えてみてください。

ただし、自立支援だからと無理をさせるわけではありません。

体調や転倒リスク、その人の介助方法などを確認したうえで、安全とのバランスを取る必要があります。

3.安全を優先する|分からない介助を一人で進めない

新人介護士さんにとって、技術以上に大切なのが、

危ないと思ったときに止まれることです。

  • 介助方法に自信がない
  • いつもと様子が違う
  • 福祉用具の使い方が分からない

こうしたときに、見よう見まねで進める必要はありません。

先輩職員や責任者に確認してください。

介助前は、最低でも次の5点を確認しておくと安心です。

介助前の5チェック

  • □ 本人の体調や表情にいつもと違うところはないか
  • □ ケアプランや申し送りに注意点はないか
  • □ 足元やベッド、車椅子など周囲は安全か
  • □ これから行うことを本人へ説明し、意向を確認したか
  • □ 一人で難しい介助なら応援を頼める状態か

【介助前の5チェック】

新人のうちは「早く一人前にならないと」と思いやすいものです。

しかし、分からないまま一人で介助するより、

「ここまでは分かりますが、この部分を確認したいです」

と聞ける方が安全です。

食事介助について確認したい方は、食事介助の基本も参考にしてください。

4.観察・記録・連携|「いつもと違う」を一人で抱えない

介護士は利用者さんと接する時間が長いため、小さな変化に気づく機会があります。

大切なのは、その場で自分だけが気づいて終わらせないことです。

たとえば、

  • 表情や会話
  • 食事や水分の様子
  • 排泄
  • 歩き方や動き
  • いつも行っていることができるか

などを見て、

「いつもと違う」

と感じたら、観察した事実を記録して必要な職員へ共有します。

ここで気をつけたいのは、介護士自身が原因を決めつけないことです。

「元気がない」

だけで終わらせるより、

何を見て、そう感じたのか

を具体的に残した方が、次の職員も状況を判断しやすくなります。

介護記録の書き方に迷う方は、介護記録の書き方と分かりやすく残すコツを参考にしてください。

勤務交代時の伝え方は、介護現場の申し送りで伝えるべき内容とコツにまとめています。

【気づきから次のケアにつなげる流れ】

5.マニュアルは土台|最後は利用者さんに合わせて考える

マニュアルは必要です。

職員によって介助方法が大きく変われば、利用者さんも困りますし、安全面にも影響します。

一方で、ぼくはユニットリーダーとして働くなかで、

マニュアルにもメリット・デメリットがあると感じています。

対応を統一しやすいのは大きなメリットです。

ただ、

「マニュアルに書いてあるから」だけで考えるようになると、その人に合わせて方法を変える視点が弱くなることがあります。

ぼく自身、新人のころは、資格を取るときに学んだ座学や実習どおりに対応できない場面が何度もありました。

利用者さん一人だけに向き合えるわけではありません。

別の利用者さんから呼ばれることもありますし、認知症の方への声かけが思ったように伝わらないこともあります。

そこで大切なのは、

「教科書どおりにできないから、基本を捨てる」ことではありません。

迷ったときこそ、

  • 尊厳を守れているか
  • 本人の力を生かせているか
  • 安全か
  • 状況を共有できているか
  • その人に合っているか

へ戻ります。

ただし、マニュアルやケアプランを自己判断で無視せず、今の方法が本人に合わないと感じたら、リーダーや関係職種へ相談してチームで考えます。

ぼくは業務改善を考えるとき、新人職員の意見も大切にしています。

介護職を長く続けていると、

「食事を楽しんでもらうこと」

より、

「スムーズに食事介助を終えること」

が目的になりそうな場面があります。

介助前の声かけも、慣れるほど省略したくなることがあります。

そんなとき、

新人さんの「どうしてこうするんですか?」という素朴な疑問が、こちらの介護を見直すきっかけになります。

新人だから分からないことがある。

一方で、新人だから気づける違和感もあります。

新人介護士が最初にやらない方がいい5つのこと

介護を覚えるうえでは、「何をするか」だけでなく「何をしないか」も大切です。

1.分からない介助を見よう見まねで一人で行う

先輩が簡単そうにやっていても、その利用者さん特有の注意点がある場合があります。

分からなければ、実施前に確認してください。

2.速さだけを優先する

仕事に慣れれば、自然と早くできるようになる部分もあります。

新人のうちは、速さよりも

安全に、理由を理解しながら行うこと

を優先した方がよいです。

3.本人ができることまで全部介助する

「やってあげる」ことが親切とは限りません。

できる部分を確認して、必要なところを支えます。

4.説明せずに身体へ触れる

介護士側には次にすることが分かっていても、利用者さんには分かりません。

短くてもいいので、何をするのか伝えてから介助に入ります。

5.「みんなこうしている」で疑問を終わらせる

介護現場には、その職場やフロア独自のやり方があります。

理由が分からないときは、

「この方法にしている理由は何ですか?」

と確認してみてください。

目的を理解すると、別の場面でも応用しやすくなります。

先輩によって言うことが違うときは、この順番で確認する

新人時代に困りやすいのが、

「昨日の先輩と今日の先輩で言うことが違う」

という状況です。

そんなとき、声の大きい人に合わせる必要はありません。

次の順番で確認します。

1.その場の安全を確認する

危険がありそうなら、いったん止めます。

緊急性がある場合は、一人で判断せず応援を求めます。

2.本人のケアプラン・申し送り・決められた方法を確認する

個人の好みではなく、

「チームとしてどう決めているのか」

を確認します。

3.施設のマニュアルやルールを確認する

標準的なやり方が定められているなら、それが判断材料になります。

4.違いがある理由を聞く

先輩Aさんと先輩Bさんの方法が違うなら、

「どちらが正しいですか?」

だけではなく、

「この利用者さんの場合は、どの方法に統一していますか?」

と確認すると整理しやすくなります。

5.決まった内容をチームで共有する

職員によって対応が変わり続けるなら、利用者さんも困ります。

必要なら申し送りや記録を使い、次の職員へつなぎます。

介護方法に迷ったときの判断順序

よくある質問

新人介護士は、介護技術を全部同時に覚えた方がいいですか?

全部を一度に覚える必要はありません。

勤務する施設で実際に行う頻度が高く、安全面への影響が大きい介助から、先輩に確認しながら覚えていく方が現実的です。

移乗・食事・排泄・入浴なども、利用者さんによって介助方法は変わります。

「手順を暗記したから一人でできる」と考えず、その人の注意点まで確認してください。

利用者さんに介助を拒否されたらどうすればいいですか?

安全上すぐに介助が必要な状況でなければ、一度立ち止まり、

「何が嫌なのか」

「時間を変えた方がよいのか」

「別の伝え方なら分かりやすいのか」

を考えます。

判断に迷う場合や体調変化が疑われる場合は、一人で抱えず先輩職員や看護職などへ共有してください。

無理に進めることを基本にしない方がよいです。

先輩へ何を質問したらいいのか分かりません

漠然と、

「どうすればいいですか?」

と聞くより、

「この介助で一番注意するところはどこですか?」

「ここまでは一人で行って大丈夫ですか?」

と具体的に聞くと、必要な答えを得やすくなります。

質問するときは、

「分からない部分を一つに絞る」

だけでも聞きやすくなります。

まとめ|介護の基本に迷ったら5つへ戻る

介護の基本は、難しい言葉をたくさん覚えることではありません。

迷ったときは、

尊厳・自立・安全・観察と連携・個別性

の5つへ戻ってみてください。

そして、次の介助を始める前に、

「本人の気持ちは確認したか」

「できることまで奪っていないか」

「安全か」

「いつもと違うところはないか」

「必要なことを共有できているか」

を一度確認してみてください。

ぼくも、利用者さんへの対応が毎回思いどおりにいくわけではありません。

だからこそ、

基本を知っていることは「正解を全部知っていること」ではなく、迷ったときに戻れる場所を持っていること

だと思っています。

基本の考え方を理解したら、次は実際の介助方法を確認してみてください。

移乗・食事・排泄・入浴などの基本をまとめています。

基本の介助方法を確認する

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この記事を書いた人

【介護業界15年以上】
資格:介護福祉士、介護支援専門員、上級心理カウンセラー
施設のリーダーで採用から教育に関わる
現役介護士ならではの「体験談」や「介護現場の声」を発信しています。
「ブラック企業」から「ホワイト企業」に転職した経験を活かし、転職に失敗しない方法も紹介しています。

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