介護記録を書くのが「難しい」「時間がかかる」と感じていませんか?
現場で忙しく動き回る中、正確で簡潔な記録を求められるのは大変なことです。
でも、ちょっとしたコツを知るだけで、介護記録を書く「負担」から解放されます。
この記事では、現役介護士が実践する、介護記録をうまく書くための方法を解説します。
【記事の内容】
「具体的に何を書けばいいかわからない」
「時間がなくていつも適当になりがち」
という方でも、すぐに実践できる内容です。
記録のスキルを上げれば、次のようなメリットがありますよ。
- 同僚との連携がスムーズになる
- 利用者さんやそのご家族からの信頼がアップする
ぜひこの記事を参考に、介護記録のスキルを一緒に磨いていきましょう!
随時、情報を追加・更新していきます。
記事を書いた人
名前:なお(介護おじさん)
年齢:42歳
資格:介護福祉士、介護支援専門員
☑介護士歴14年目
☑介護施設のリーダー職
☑ブラック企業からホワイト企業に転職
☑介護職の悩みを解決する情報を発信中
筆者の詳しい経歴はこちら
・スーパーの精肉担当(超ブラック企業)
毎日6時~21時までの長時間労働で体力の限界
・本屋の店長(普通の企業)
面接など職員の採用にかかわるが会社倒産
・ITの会社で営業(超ブラック企業)
きついノルマ・飛び込みの営業で精神消耗
・CADオペレーター(ブラック企業)
休みなし、こき使われまくりで精神崩壊
・福祉用具専門相談員(ブラック企業)
上司のパワハラがエグすぎて精神の限界
・介護士(ホワイト企業) ☚今ここ
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介護職のお悩み【Q&A】
介護記録の基本的な書き方
「介護記録」は、介護現場で利用者の状態や支援内容を記録する重要な業務です。
以下に具体的な書き方と例文を紹介します。
【介護記録の基本的な書き方】
- 日時の記録
- 利用者さんの基本情報
- 行動や健康状態の記録
- 介助内容の記録
- 異常の記録
- 家族や他スタッフとの連絡内容
- プライバシー保護に配慮
1. 日時の記録
記録には、日時が欠かせません。介護サービスが行われたタイミングを正確に残します。
ポイント:
- 年月日、曜日、時間を明記。
- 24時間表記で一貫性を保つ(例:14:00)。
例:
- 2025年1月7日(火)14:00
2. 利用者さんの基本情報
利用者の名前、年齢、性別などを簡潔に記録します。
ポイント:
- 同姓の利用者がいる場合、フルネームや利用者番号を併記。
- 記録スペースを節約するため、施設独自のID番号を活用することもおすすめ。
例:
- 利用者: 山田 太郎 様(87歳・男性)
- 利用者:123様
3. 行動や健康状態の記録
介護現場では、利用者さんの行動や健康状態を的確に記録することが重要です。
なぜなら、利用者さんの状態変化を早期に把握し、適切なケアを提供できるから。
以下に具体的なシチュエーション別の記録例を紹介します。
ここが一番の肝です。
1. 日常行動の記録
シチュエーション:
朝の起床後の状態や、日中の過ごし方を記録する場合。
記録例:
- 「08:00 起床時、スタッフの声かけに対して『もう少し寝たい』と返答。再度10分後に声かけを行い、ベッドから自立で起き上がり。トイレ誘導を実施し、異常なし。」
- 「10:00 談話室で他利用者と会話を楽しむ。『昨日のテレビが面白かった』と笑顔で話し、周囲の利用者と笑い合う場面あり。」
2. 健康状態の記録
シチュエーション:
血圧測定や体調チェックを行った際の記録。
記録例:
- 「09:30 血圧測定(135/85mmHg)、脈拍68回/分。体温36.7℃。特に異常なし、利用者も『今日は調子が良い』と発言。」
- 「14:00 呼吸が浅く、『胸が苦しい』と訴え。血圧155/90mmHg、体温37.2℃、脈拍92回/分、酸素飽和度SpO2 90%。スタッフが看護師に報告し、医師へ連絡。経過観察を指示され、安静を指導。」
3. 突発的な行動の記録
シチュエーション:
転倒や異常行動が見られた際の記録。
記録例:
- 転倒:
- 「16:20 居室で椅子に座ろうとした際にバランスを崩し、床に転倒。右膝を床に打ち、腫れを確認。16:30 冷湿布を施行、看護師が確認し、17:00 医師へ連絡済み。次回診察時に経過確認予定。」
- 異常行動:
- 「13:30 廊下を歩きながら『帰りたい』と繰り返し大声を上げる。スタッフが『どうしましたか?』と声をかけると『誰も助けてくれない』と涙。10分間の会話で落ち着きを取り戻し、居室で安静に。家族に状況を電話で報告し、了承を得る。」
4. 食事時の行動と健康状態の記録
シチュエーション:
食事中の摂取量や健康状態を記録する場合。
記録例:
- 「12:00 昼食(おかゆ200g、煮魚50g、味噌汁150ml)を完食。スプーンを使用し自立で摂取。食後、『今日は美味しかった』と発言し笑顔。食事中の咳やむせ込みはなし。」
- 「18:30 夕食(煮物50g、白ご飯150g、スープ200ml)を半分残す。『今日は食欲がない』と発言。顔色がやや青白く、体温37.0℃を確認。経過観察予定。」
5. 排泄状況の記録
シチュエーション:
トイレ誘導や排泄状況を記録する場合。
記録例:
- 「10:15 トイレ誘導。小便をポータブルトイレで排泄(約200ml、透明)。自立で完了。」
- 「15:30 排泄時、下痢を確認(緩い茶色便、量多め)。腹痛を訴えるため、体温測定(36.8℃)。看護師に報告し、消化に優しい夕食を提供予定。」
6. 入浴時の行動と健康状態の記録
シチュエーション:
入浴中の様子や入浴後の状態を記録する場合。
記録例:
- 「11:00 入浴介助。湯温39℃、入浴時間15分。『気持ち良い』と笑顔で話しながら入浴。右肩に赤みを確認、痛みの訴えなし。入浴後、皮膚保湿剤を塗布。」
- 「14:00 入浴拒否。『今日は疲れているから無理』と発言。代替として清拭を実施。清拭中の異常なし。」
7. 夜間の様子の記録
シチュエーション:
夜間の巡回や体調確認を記録する場合。
記録例:
- 「02:00 夜間巡回時、利用者がベッドで安静に就寝。いびきが少し聞こえるが、呼吸は安定。異常なし。」
- 「03:30 トイレに起き、『眠れない』と訴え。お茶を一口飲み、スタッフと5分間会話後、『ありがとう』と再度就寝。」
ポイントまとめ
- 具体的で明確な記述を心がける。
- 数値や行動を観察したまま記載する(主観的な表現は避ける)。
- 状況や対応を時系列で整理する。
- 必要に応じて、次のケアのための示唆を記載。
これらの記録を行うことで、利用者さんの健康状態や行動の変化に迅速かつ的確に対応できる介護記録が完成します。
4. 介助内容の記録
介助内容の記録は、介護現場で行われたサポートの詳細を残し、利用者の状態やスタッフ間の情報共有をスムーズにするために重要です。
以下にシチュエーション別の具体例を紹介します。
【介助内容の記録】
- 移動介助の記録
- 食事介助の記録
- 排泄介助の記録
- 入浴介助の記録
- 更衣介助の記録
- 医療器具や補助器具使用時の記録
- リハビリや運動介助の記録
- 夜間の介助記録
1. 移動介助の記録
シチュエーション:
ベッドから車椅子への移動、階段や廊下の歩行をサポートした場合。
記録例:
- 「09:30 ベッドから車椅子への移動をスタッフ2名で介助。腰を支えながらスライディングシートを使用し、移動完了。利用者は右足に軽度の痛みを訴え。経過観察予定。」
- 「14:00 居室から談話室への移動を支援。歩行器を使用し、5分間で到着。途中で『疲れた』と訴えたため、短い休憩を挟む。特に転倒のリスクなし。」
- 使用した補助器具(スライディングシート、歩行器など)を記載。
- 利用者の反応や状態も具体的に記録。
2. 食事介助の記録
シチュエーション:
食事中のサポートや注意点が必要な場合。
記録例:
- 「12:00 昼食(柔らか食:魚の煮付け、白ご飯150g、スープ100ml)をスプーンで介助。5分おきに声かけしながら30分で全量摂取。むせ込みなし、最後に水分200mlを飲み切る。」
- 「18:30 夕食時に『食欲がない』と訴え、1/3をスプーンで介助。残りは拒否。体温36.9℃を測定し、異常なし。食事中の表情はやや疲れが見られた。」
- 食べた量(完食、半量など)を具体的に記載。
- 食事に要した時間や、むせ込みの有無を含める。
3. 排泄介助の記録
シチュエーション:
トイレ誘導やオムツ交換を行った場合。
記録例:
- 「15:00 トイレ誘導を実施。スタッフ1名で介助。小便約200ml(透明)を確認。利用者は自立で排泄を完了し、『スッキリした』と発言。」
- 「16:30 オムツ交換を実施。大便(軟便、小量)を確認。腹部を軽く押すと『少し痛い』と訴えあり。体温37.2℃、看護師に報告済み。」
- 排泄物の量や状態(色、硬さ、異常の有無)を記録。
- 利用者の反応(痛み、快適感など)を含める。
4. 入浴介助の記録
シチュエーション:
入浴中のサポートや皮膚の観察を行った場合。
記録例:
- 「11:00 入浴介助。湯温39℃、入浴時間20分。スタッフ2名で移動を介助し、浴槽へ誘導。背中に赤みあり、本人も『少しかゆい』と訴えたため保湿クリームを塗布。髪の洗髪を自立で完了。」
- 「14:00 入浴拒否。『疲れている』と発言したため、清拭を実施。手足の皮膚に異常なし。次回の入浴は翌日予定。」
- 湯温や入浴時間を具体的に記載。
- 拒否の場合の代替措置(清拭など)や対応結果も記録。
5. 更衣介助の記録
シチュエーション:
利用者の衣服の着脱をサポートした場合。
記録例:
- 「08:00 朝の着替え介助。上着は自立で着用、ズボンは腰部分をスタッフ1名が補助。利用者は終始笑顔で『今日は暖かいね』と会話。特に異常なし。」
- 「20:00 就寝前の更衣をサポート。スタッフ2名でパジャマへの着替え介助。利用者が右腕の痛みを訴えたため、看護師が確認中。」
- 自立できた部分と介助が必要だった部分を区別して記載。
- 着替え中の利用者の反応や体調も含める。
6. 医療器具や補助器具使用時の記録
シチュエーション:
医療器具や補助器具を使用して介助した場合。
記録例:
- 「09:00 車椅子からベッドへの移動にリフトを使用。スタッフ2名で安全確認しながら5分で完了。利用者は不安を訴えることなく協力的。ベッド上で安静。」
- 「11:30 酸素マスクを装着し、SpO2測定(92%)。『少し息が楽になった』と発言。医師に経過を報告。」
- 使用した器具の種類や目的を具体的に記載。
- 利用者の反応や結果(安静状態、改善状況など)も記録。
7. リハビリや運動介助の記録
シチュエーション:
利用者が運動やリハビリを行い、その介助をした場合。
記録例:
- 「14:00 リハビリ体操(椅子座位)。スタッフが掛け声をかけながら腕の上げ下げ10回、足踏み10回を実施。『少し疲れたけど、気持ち良い』と発言。リハビリ後に水分100ml摂取。」
- 「10:00 立位保持訓練をサポート。杖を使用し30秒間立位を保持。その後、利用者が『またやりたい』と意欲を示す。」
- 具体的な運動内容(回数や時間)を記載。
- 利用者の体調や意欲も記録。
8. 夜間の介助記録
シチュエーション:
夜間のトラブルや必要な介助を記録。
記録例:
- 「02:30 トイレ誘導を実施。自立で排泄を完了後、『ありがとう』と発言。特に異常なし、再度就寝。」
- 「03:00 夜間巡回時に布団を蹴り飛ばしていたため掛け直し。『少し寒い』と発言。室温を1℃上げ、温かいお茶50mlを提供。」
ポイント:
- 夜間特有のケア(寒さ、トイレ誘導など)に応じた対応を詳細に記載。
ポイントまとめ
介助内容を記録する際は、以下を心がけましょう。
- 何を・どのように・誰がを明確に記載。
- 補助器具やスタッフの人数、利用者の反応などを具体的に書く。
- 拒否や異常があった場合の代替案や経過も記録。
これらのポイントを押さえることで、ケアの正確な共有や質の向上につながります。
5. 異常の記録
異常の記録は、利用者さんの体調変化や突発的な事象への対応を正確に把握し、適切なケアや再発防止に役立てるために重要です。以下に具体的な例をシチュエーション別に詳しく解説します。
【異常の記録】
- 転倒・ケガの記録
- 呼吸や意識の異常の記録
- 食事時の異常(むせ込み・嘔吐)
- 精神的な異常(興奮・混乱)
- 排泄時の異常
- 夜間の異常
1. 転倒・ケガの記録
シチュエーション:
利用者が転倒した際の記録。
記録例:
- 転倒時の状況:
- 「14:30 居室で椅子に座ろうとした際に転倒。バランスを崩し、右膝を床に強打。スタッフが即座に駆けつけ、安全確認。」
- ケガの状態:
- 「右膝に直径3cmの腫れと赤みを確認。本人は『少し痛い』と訴え、足を自力で動かせる状態。」
- 対応:
- 「14:35 冷湿布を施行。15:00 看護師が腫れを確認し、17:00 主治医に電話で報告。翌日診察の指示あり。家族にも16:00に電話で報告、了承を得る。」
- 発生時間と状況を詳細に記載(どこで、何をしている時に転倒したのか)。
- ケガの状態(腫れ、痛みなど)を観察し、本人の訴えも含める。
- 対応内容(冷湿布、看護師への報告など)を時系列で記載。
2. 呼吸や意識の異常の記録
シチュエーション:
呼吸が苦しい、意識が朦朧としているなどの異常が見られた場合。
記録例:
- 異常の発見:
- 「10:00 利用者が『胸が苦しい』と訴え、ベッドに横になる。顔色は蒼白、呼吸が浅い状態を確認。」
- 測定値:
- 「血圧150/95mmHg、脈拍98回/分、SpO2 88%。冷や汗あり、会話は可能。」
- 対応:
- 「10:10 酸素マスク(3L/分)を装着。10:20 SpO2 92%に改善。医師に報告し、指示に従い安静を指導。家族へも電話で状況を説明。」
- 経過:
- 「10:30 本人の顔色が徐々に戻り、呼吸も安定。引き続き観察予定。」
- 利用者の訴えをそのまま記載(「胸が苦しい」など)。
- 測定値(血圧、SpO2、脈拍)を明確に記録。
- 使用した医療機器(酸素マスクなど)と効果を記載。
3. 食事時の異常(むせ込み・嘔吐)
シチュエーション:
食事中にむせ込んだり嘔吐した場合。
記録例:
- 異常の状況:
- 「12:15 昼食(柔らか食)中にむせ込み発生。スープを飲み込む際に咳き込む。顔が赤くなり、一時的に『息がしづらい』と訴える。」
- 対応:
- 「食事を中断し、背中を軽く叩く。水を一口飲ませたところ、むせ込みは治まり会話可能に。」
- 報告と経過:
- 「12:30 看護師に状況を報告。引き続き食事再開、特に異常なし。家族へも17:00に報告済み。」
- 発生した行動(むせ込み、嘔吐)とそのきっかけを記載。
- 対応方法(背中を叩く、水を飲ませるなど)とその効果を記録。
- 後の経過や家族への報告も記載。
4. 精神的な異常(興奮・混乱)
シチュエーション:
興奮状態や混乱が見られる場合。
記録例:
- 異常の発見:
- 「15:00 居室で『帰りたい』と大声を出し、壁を叩く行動を確認。スタッフが声をかけるも『誰も助けてくれない』と涙。」
- 対応:
- 「15:10 スタッフが傍に座り、話を10分間聞く。利用者は徐々に落ち着き、ティッシュで涙を拭う。15:20 談話室へ誘導し、他の利用者と一緒にお茶を飲む。」
- 報告:
- 「15:30 家族へ状況を報告し、今後の対応について了承を得る。」
- 異常行動(大声を出す、壁を叩くなど)を具体的に記載。
- 介入方法(声かけ、そばに座るなど)とその結果を記載。
- 家族や関係者への報告内容も含める。
5. 排泄時の異常
シチュエーション:
排泄時に血尿や異常な便が見られた場合。
記録例:
- 異常の発見:
- 「14:00 排泄介助時、尿が赤みを帯びた色(約200ml)で血尿を確認。本人は『痛くないけど驚いた』と発言。」
- 対応:
- 「看護師に状況を報告し、尿検体を採取。医師に連絡し、翌日診察の指示を受ける。利用者はその後も安静。」
- 経過:
- 「16:00 引き続き観察。特に新たな症状はなし。」
- 異常の詳細(色、量、臭いなど)を記載。
- 対応(看護師や医師への報告、検体採取など)を明確に記録。
6. 夜間の異常
シチュエーション:
夜間の巡回中に異常を発見した場合。
記録例:
- 異常の発見:
- 「02:30 巡回時、利用者がベッドに座り『眠れない』と訴え。室温は23℃、布団をかけておらず足が冷たい状態。」
- 対応:
- 「室温を1℃上げ、布団をかけ直し、温かいお茶を50ml提供。スタッフが傍に5分間付き添う。利用者はその後再び横になり、『ありがとう』と発言。」
- 経過:
- 「03:00 再巡回時、安眠を確認。」
- 異常の詳細(色、量、臭いなど)を記載。
- 対応(看護師や医師への報告、検体採取など)を明確に記録。
ポイントまとめ
異常の記録では以下を心がけましょう。
- 状況の詳細: 何が起こり、どのような状態かを具体的に記載。
- 対応の詳細: 誰が、どのように対応したかを時系列で記録。
- 利用者の反応: 異常に対する反応や、その後の経過を明記。
- 報告内容: 看護師や医師、家族への報告を記録。
正確な記録はトラブル防止やケア改善のために欠かせません。利用者の異常を「見える化」することで、チーム全体で適切な対応を取ることができます。
6. 家族や他スタッフとの連絡内容
介護現場では、利用者の状態や対応内容を家族や他のスタッフに共有することが重要です。
この記録は、情報共有をスムーズにし、信頼関係を構築するためにも役立ちます。
以下に具体例をシチュエーション別に紹介します。
【家族や他スタッフとの連絡内容】
- 異常や緊急時の連絡
- ケアプランや重要事項の共有
- スタッフ間での引き継ぎ・情報共有
- 家族からの要望や質問への対応
- 面会や訪問時の会話記録
- トラブルやクレーム対応時の記録
- 定期報告や確認事項の記録
1. 異常や緊急時の連絡
シチュエーション:
利用者が転倒や体調不良を起こした場合、家族に報告する必要がある。
記録例:
- 状況の報告:
- 「14:30 山田太郎様が談話室で椅子から立ち上がる際に転倒。右膝に腫れ(直径3cm)を確認し、冷湿布を施行。医師に報告済みで、翌日診察予定。」
- 連絡内容:
- 「15:00 家族(息子・山田一郎様)に電話で状況を報告。『大事に至らず安心したが、翌日の診察結果を教えてほしい』との返答。了承を得て次回面会時に詳細を説明予定。」
- 異常の発生状況、対応内容を簡潔に伝える。
- 家族からの質問や要望を記録。
- 報告した日付、時間、連絡先を記載。
2. ケアプランや重要事項の共有
シチュエーション:
利用者のケアプラン変更や重要な意思決定を家族に相談する場合。
記録例:
- 状況:
- 「11:00 山田太郎様のケアプラン変更について家族と面談。入浴頻度を週2回から3回に変更を提案。」
- 連絡内容:
- 「山田一郎様(息子)に提案を説明。『父が喜ぶなら構わない』との了承を得る。来週からプランを変更する旨を共有。」
- 変更内容や提案理由を具体的に記載
- 家族の了承内容や反応を明確に記録
- 変更後のスケジュールや次の対応も記。
3. スタッフ間での引き継ぎ・情報共有
シチュエーション:
シフト交代やケア内容の変更時に、他スタッフへ情報を共有する場合。
記録例:
- 引き継ぎ内容:
- 「夜勤スタッフへの引き継ぎ事項: 山田太郎様の右膝腫れについて冷湿布を続けること。明日の診察予定であること。転倒後は特に異常なし。」
- スタッフ間の会話:
- 「Aスタッフが『今日は排泄回数が減少傾向』と報告。経過観察を指示し、夜勤スタッフに伝達済み。」
- 具体的な対応内容(例:冷湿布の継続など)を記載。
- 他スタッフとの会話内容や指示事項を記録。
- 次に対応するスタッフが混乱しないよう簡潔かつ詳細に。
4. 家族からの要望や質問への対応
シチュエーション:
家族から利用者の状態について問い合わせがあった場合。
記録例:
- 要望:
- 「10:00 山田一郎様(息子)より電話で、『父の食事内容についてもっと詳しく教えてほしい』と要望あり。栄養士に相談後、食事の詳細をメールで送信予定。」
- 質問:
- 「11:30 山田一郎様より、『父が最近歩きづらいと言っているが大丈夫か?』との質問。リハビリスタッフに確認し、結果を追って連絡する旨を伝達。」
- 家族の要望や質問をそのまま記載。
- 対応予定や相談先を記録し、次の行動につなげる。
5. 面会や訪問時の家族との会話記録
シチュエーション:
家族が面会に来た際、利用者の状態やケア内容について話し合った場合。
記録例:
- 面会内容:
- 「15:00 山田一郎様が面会。利用者が『膝の痛みが和らいだ』と話す場面あり。腫れが引いていることを看護師が確認。膝を庇いながらも歩行は問題なしと伝達。」
- 家族の反応:
- 「家族は『次回診察時にしっかり確認したい』とコメント。スタッフが診察結果を共有することを約束。」
- 面会中の会話内容(利用者の発言や家族のコメント)を記載。
- 面会後の次の対応(診察結果の共有など)を明記。
6. トラブルやクレーム対応時の記録
シチュエーション:
家族からクレームやトラブルに関する指摘を受けた場合。
記録例:
- クレーム内容:
- 「09:00 山田一郎様(息子)が、『父の洋服が汚れたままだった』と指摘。原因を確認し謝罪を行う。」
- 対応:
- 「09:30 スタッフ全員で洗濯状況を確認。洗濯機の故障が原因と判明し、修理を手配済み。再発防止策として、手洗い対応を実施。家族には10:00に説明し、了承を得る。」
- クレーム内容を正確に記載。
- 原因調査と対応策を明確に記録。
- 家族の反応や了承内容を記載。
7. 定期報告や確認事項の記録
シチュエーション:
利用者の定期的な状態報告や家族の確認事項について記録。
記録例:
- 報告内容:
- 「月次報告として山田一郎様へ電話で伝達。『父はこの1ヶ月、排泄や食事の問題もなく、体調は安定しています。リハビリも順調で、次の面会時に進捗を説明する予定』と報告。」
- 確認事項:
- 「『来月の通院日がいつになるか確認したい』との要望。医師と調整後、家族へ再度報告予定。」
- 定期報告の内容を簡潔に記載。
- 家族の確認事項や要望を明確に書き、次の対応を明記。
ポイントまとめ
家族や他スタッフとの連絡内容を記録する際は、以下を心がけましょう。
- 誰に何を伝えたかを明確に記載。
- 家族やスタッフの反応、質問、要望をそのまま記録。
- 次に何をするかを具体的に書いて、後の対応に備える。
正確で詳細な記録を残すことで、信頼関係を構築し、介護現場のスムーズな運営につなげることができます。
7. プライバシー保護に配慮
記録内容にはプライバシーを侵害しない範囲で必要な情報を含める。
ポイント:
- 名前や個人情報を施設内でのみ使用するコードやイニシャルにする場合も。
- 個人を特定できないようにする必要がある場合には、情報を最小限に。
現場での状況を明確に把握し、適切なケアや対応が可能になります。特に異常時には、誰が見ても分かりやすい記録が重要です。利用者やチームのため、具体的で簡潔な記載を心がけましょう。
トラブルを防ぐための注意点と記入例【6選】
介護記録は、利用者のケア状況を記録するだけでなく、トラブルを防ぐためにも重要です。
不備や曖昧な記録が原因で、施設内や法的なトラブルにつながる可能性があります。
以下に注意点を具体例とともに解説します。
トラブルを防ぐための注意点と記入例【6選】
- 主観的な表現を避ける
- 曖昧な記載を避ける
- 事実と意見を分ける
- プライバシーに配慮する
- トラブル時の対応を詳細に記録
- 記録のタイムリー性を保つ
1. 主観的な表現を避ける
介護記録は、客観的で具体的な情報が求められます。主観的な表現は誤解や意図の不明瞭さを生む可能性があります。
- 「山田さんは機嫌が悪そうだった。」
- 「食事の途中で突然怒った。」
- 「14:00 山田さんが『味が薄い』と大声で言い、箸を置いた。その後、椅子に座ったまま沈黙。」
- 「10:30 職員の声かけに対し、眉間にしわを寄せて無反応。表情に困惑が見られた。」
ポイント
- 状況や行動を観察し、事実をそのまま記録する。
- 利用者の行動や発言を具体的に記載。
2. 曖昧な記載を避ける
曖昧な記録では、後から内容を検証することが難しく、責任問題に発展する可能性があります。
- 「15:00 トイレ介助をした。」
- 「食事を完食した。」
- 「15:00 ポータブルトイレで小便150mlを確認。介助なし、自立で排泄完了。」
- 「12:00 昼食(魚の煮付け、白ご飯150g、味噌汁100ml)を完食。」
ポイント
- 量や状態などを具体的に記載。
- 誰が見ても内容を再現できる記録を心がける。
3. 事実と意見を分ける
事実と介護者の意見が混在すると、利用者や家族とのトラブルになる可能性があります。
- 「山田さんは転倒したが、どうせ不注意だったのだろう。」
- 「食事中に怒ることがよくある。」
- 「10:00 居室内で転倒。椅子に座ろうとした際にバランスを崩し、左膝を床に打った。『足が滑った』と発言。」
- 「12:30 昼食時、『味が合わない』と言って箸を置いた。」
ポイント
- 意見や推測は避け、事実を明確に記録。
- 必要な場合は「本人の発言」として明記する。
4. プライバシーに配慮する
介護記録に過剰な個人情報や不必要な詳細を記載すると、利用者のプライバシー侵害につながります。
- 「山田さんは糖尿病が悪化し、医師から厳しく指導を受けた。」
- 「娘さんが離婚して家に戻ったとのこと。」
- 「12:00 医師の指導を受け、血糖値の管理強化が必要と判断。」
- 「17:00 家族(娘さん)が面会。本人と今後のケアについて話し合い。」
ポイント
- 記録は業務に必要な範囲内に留める。
- 個人のプライバシー情報は詳細に記載しない。
5. トラブル時の対応を詳細に記録
トラブル発生時の対応を記録することで、後から状況を検証しやすくなり、責任の所在が明確になります。
- 「転倒したが、大丈夫そうだった。」
- 「家族に報告済み。」
- 「15:45 談話室で椅子から立ち上がろうとした際に転倒。右膝を強打、腫れを確認。15:50 冷湿布を施行し、看護師に報告。16:00 主治医に連絡し、明日診察予定。16:30 家族に報告し、了承を得る。」
- 「18:00 排泄介助時、尿の混濁を確認。看護師が状態を確認し、19:00 医師に報告。」
ポイント
- 発生時刻、対応内容、関与した職員、報告先を記載。
- 具体的な対応と経過を明確に記録する。
6. 記録のタイムリー性を保つ
記録が遅れると、記憶が曖昧になり、正確さを欠く恐れがあります。
- 「昼の記録を夕方にまとめて記載した。」 (記録が漏れたり、内容が不正確になりやすい)
- 「介助が完了次第、記録を行う習慣を徹底。」
- 「モバイル端末を活用し、その場でリアルタイム記録。」
ポイント
- できる限りその場で記録。
- 業務量が多い場合は、メモを取って後で記録。
7. フォーマットやルールを統一する
記録のフォーマットが統一されていないと、情報の見落としや解釈ミスが起こりやすくなります。
- Aさんは手書き、Bさんはデジタルで記録。
- 記録内容が個人ごとにバラバラ。
- 「全職員で統一フォーマットを使用し、記録ルールを定期的に共有。」
- 「記録用チェックリストを導入して、必要項目を漏れなく記載。」
ポイント
- チーム全体で記録ルールを共有。
- ICTツールを活用して記録を効率化。
記録の質を高めるコツと記入例【7選】
介護記録の質を向上させることは、利用者のケアの質を高め、スタッフ間の連携をスムーズにし、トラブルを防ぐために欠かせません。
以下では、具体例を交えながら記録の質を高める方法を解説します。
記録の質を高めるためのコツと記入例【7選】
- 記録を簡潔かつ具体的に書く
- 時系列で記録を整理する
- ポジティブな観点を取り入れる
- ケアに関連する背景情報を簡潔に追加
- チェックリストやテンプレートを活用する
- 複数の視点から記録を見直す
- ICTツールを活用して効率化する
1. 記録を簡潔かつ具体的に書く
読み手がすぐに内容を理解でき、次のケアに生かせる記録が理想です。冗長な記述や曖昧な表現は情報を見逃す原因になります。
- 「山田さんの調子が良くないようだったので、対応した。」
- 「15:00 山田さん、『胸が苦しい』と訴え。血圧150/95mmHg、脈拍98回/分を測定し、冷や汗あり。看護師が酸素飽和度を測定(SpO2: 91%)。医師に報告済み。」
ポイント
- 「いつ・どこで・何を・どうしたか」を明確に記載。
- 具体的な行動や測定値を記載する。
2. 時系列で記録を整理する
利用者の状態や対応の流れがわかることで、次のケアにつなげやすくなります。
- 「朝に元気だったが、昼に調子が悪くなり、夕方は普通に戻った。」
- 「09:00 利用者が笑顔で『おはよう』と挨拶。11:30 食事中に『胃が痛い』と訴え、食事を中断。12:00 胃薬を服用。15:00 表情が落ち着き、椅子で休憩。」
ポイント
- 時間順に記載する。
- 状況が変化した時点で、記録を追加する。
3. ポジティブな観点を取り入れる
改善点だけでなく、良い点も記録することで、利用者の意欲を引き出し、スタッフ間のモチベーションも向上します。
- 「今日も食事を残した。進歩なし。」
- 「昼食(スープ200ml)のうち150mlを摂取。『もう少しなら飲めるかも』と笑顔で話す。スタッフが『少しずつ頑張ろう』と声かけ。」
ポイント
- 利用者のポジティブな変化や前向きな行動を記載する。
- 小さな成功も記録し、励ましの言葉を添える。
4. ケアに関連する背景情報を簡潔に追加
利用者さんの状態や行動の理由がわかると、適切なケアにつながります。
- 「今日はあまり話さなかった。」
- 「13:00 普段は話し好きな山田さんが、今日は『眠い』と話すのみ。昨夜3時間しか眠れなかったと家族から聞いている。」
ポイント
- 家族や他スタッフから得た情報を記載する。
- 背景情報は簡潔に、ケアに関連する内容だけを含める。
5. チェックリストやテンプレートを活用する
記録漏れを防ぎ、必要な情報を網羅するのに役立ちます。
- 「朝の記録なし。」(記録忘れが発生)
- 朝の状態: ○元気 ○やや疲れ ○不調(理由: _______)
- 食事: ○完食 ○半分 ○ほとんど食べない(理由: _______)
- 排泄: ○正常 ○便秘 ○下痢(量・回数: _______)
ポイント
- よくある状況に応じたテンプレートを事前に作成。
- ICTツールでチェックリストをデジタル化する。
6. 複数の視点から記録を見直す
異なる視点で記録を見ることで、記録の質や改善点に気づきやすくなります。
- 「記録が一人よがりで、他スタッフにとって不明瞭。」
- 「この記録だと、何が『良い状態』か分かりにくいから、もう少し具体的にしよう。」
- 「利用者の行動背景を追加してほしい。」
ポイント
- 定期的に記録内容をスタッフ間で共有し、改善案を話し合う。
- 記録を他人が読んで理解できるかを意識する。
7. ICTツールを活用して効率化する
記録のスピードと正確性が向上し、手書きによるミスや記録漏れを防ぎます。
- 「手書きで記録していたが、時間が足りずに記録漏れ。」
- 音声入力で記録: 「13:00 山田さん、『体がだるい』と訴える。血圧140/85mmHg、体温36.8℃を測定。」
- 専用アプリの活用: 入浴記録、排泄記録をタブレットで即時入力。
ポイント
- 音声入力やAIによるサポート機能を活用。
- データを自動で整理・分析できるツールを導入。
8. 定期的に記録内容を見直す
記録の一貫性や内容の適切さを確認し、必要に応じて修正できます。
- 「記録を見直さず、重複や矛盾が多い。」
- 「誤字脱字がある。」
- 記録者が自分の記録を確認する。
- 週次でリーダーが全体をチェック。
- 矛盾や記録漏れがあれば修正。
ポイント
- チームでの定期的な記録点検会を実施。
- 見直しポイントをリスト化して確認。
まとめ
今回は、介護記録を正確に、そして効率よく書くためのコツをお伝えしました。
介護記録は、利用者さんの状態を把握し、ケアの質を向上させるための重要なツールです。
まずは「曖昧な表現を避け、具体的な事実を記録する」ことを意識しましょう。
最初は難しく感じるかもしれませんが、慣れるとスムーズに書けるようになります。
今日からぜひ、この記事で学んだポイントを実践してみてください。
介護記録が「義務」ではなく、「自分のケアを見直し成長につなげる」機会になるはずです。そして、記録の質が上がれば、利用者さんやその家族、同僚との信頼関係も深まります。
あなたの記録が現場全体を支える力になるでしょう。
最後まで読んでくれた、あなたを応援しています。
では、また。
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