介護の仕事で失敗して、「自分は介護職に向いていないかもしれない」と落ち込んでいませんか?
- 利用者さんの薬を間違えた
- センサーマットの電源を入れ忘れた
- 連絡事項を伝え忘れた
介護現場では、小さな確認不足が大きな事故につながることがあります。
だからこそ、失敗をごまかさず、原因を振り返り、同じミスを繰り返さない仕組みを作ることが大切です。
介護職歴15年以上のぼく自身も、思い出すだけで血の気が引くような失敗を経験してきました。
この記事では、介護現場で起こりやすい失敗エピソードと、ミスに気づいた直後の対応、再発を防ぐ方法を紹介します。
失敗して落ち込んでいる方も、これから一人立ちする新人介護職の方も、ぜひ参考にしてください。
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【筆者紹介】
介護業界15年の現役介護士(施設勤務)
※現場経験と公的データ(厚労省など)をもとに執筆しています。
【所持資格】
介護福祉士/ケアマネ/上級心理カウンセラー
【発信・活動】
・無料メルマガ:【特典あり】介護職の心を守るメール講座
https://kokoro-room.jp/p/r/i2mzSFwE
・X(旧Twitter):介護現場のリアルを発信
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・note:介護現場の裏話&試験対策
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介護職の失敗エピソード15選
介護現場では、忙しさや思い込みから失敗が起こることがあります。
小さな失敗で済む場合もありますが、転倒や誤薬など、利用者さんの命に関わる事故につながる場合もあります。
ここでは、介護現場で起こりやすい15個の失敗を、具体的な場面と対処法を交えながら紹介します。
失敗エピソード1.ベッド柵をつけ忘れる



利用者さんを車いすからベッドへ移乗したあと、ベッド柵を戻さずに居室を出てしまう失敗です。
新人職員の場合、移乗介助を終えることに意識が集中し、そのあとの確認を忘れることがあります。
ある職員は、利用者さんをベッドへ移乗した直後、別の利用者さんのナースコールに呼ばれました。
しばらくして居室を確認すると、利用者さんがベッドの端まで移動していました。
急いで居室を出たため、足元側のベッド柵を戻していなかったのです。
幸い転落事故にはなりませんでしたが、あと少し発見が遅れていたら、床へ転落していた可能性があります。
ただし、ベッド柵はすべての利用者さんにつければよいわけではありません。
利用者さんの状態やケアプラン、施設の方針に従って使用してください。



ベッド柵を忘れて、転落した利用者さんを見た瞬間、血の気が引いた。
忙しさを言い訳にした自分が悔しい。
あの時、指さし確認をしていれば……
対処法
移乗介助が終わったら、居室を出る前に確認項目を声に出します。
「ベッド柵、ブレーキ、ベッドの高さ、ナースコール、すべて確認しました」
このように指を差しながら確認すると、確認したつもりを防ぎやすくなります。
ナースコールが鳴っても、利用者さんの安全を確認してから次の対応へ移りましょう。
失敗エピソード2.センサーマットの電源を入れ忘れる



離床時に転倒する危険がある利用者さんには、センサーマットを使用する場合があります。
しかし、排泄介助や移乗介助のために電源を切り、そのまま入れ忘れることがあります。
夜勤中、ある職員が利用者さんをトイレへ誘導しました。
ベッドへ戻ったあと、センサーマットの電源を入れずに退室。
次の巡視で居室へ入ると、ベッドに利用者さんの姿がありません。
職員が慌てて探すと、利用者さんは一人で洗面所まで歩き、椅子に座っていました。
転倒はしていませんでしたが、職員は全身から冷や汗が出たそうです。



センサーマットの電源を入れ忘れ、
巡視でベッドを見たら誰もいない!
あわてて探すと……
洗面所にある椅子に座っていた。
事故はなかったけど、もう冷や汗。
対処法
センサーマットを一時的に切った場合は、介助が終わった時点で必ず電源を戻します。
電源を入れたあと、実際にマットを踏み、センサーが作動するか確認してください。
「電源を入れたつもり」ではなく、「作動するところまで確認した」という状態にすることが大切です。
退室時のチェック表に「センサー作動確認」を追加する方法もあります。
失敗エピソード3.トイレ介助中の利用者さんを忘れる



複数のナースコールが重なると、最初に対応していた利用者さんの存在を忘れることがあります。
ある職員が、利用者さんをトイレへ誘導しました。
便座へ座ってもらった直後、別の居室からナースコールが鳴りました。
利用者さんから「ゆっくりでいいよ」と言われたため、職員は別の利用者さんの対応へ向かいました。
ところが、その途中でもナースコールが続きました。
職員は次々に対応しているうちに、トイレで待っている利用者さんのことを忘れてしまいました。
約20分後、トイレの前を通った職員が利用者さんを発見しました。
利用者さんは自分で立ち上がろうとしており、転倒してもおかしくない状況でした。
対処法
介助中にその場を離れる必要がある場合は、ほかの職員へ具体的に伝えてください。
「Aさんが1階のトイレに座っています。5分後に確認をお願いします」
このように、利用者さんの名前、場所、必要な対応を伝えます。
近くに職員がいない場合は、一度利用者さんの介助を終えてから次の対応へ移ることも検討します。
同時にすべてを抱え込まず、周囲へ応援を求めることが事故防止につながります。
失敗エピソード4.夜勤中の仮眠で寝過ごす



夜勤中の休憩で横になり、そのまま予定時刻を過ぎるまで寝てしまう失敗です。
ワンオペ夜勤では、時間になっても起こしてくれる職員がいないことがあります。
ある夜勤職員は、午前4時の巡視を終えたあと、休憩室のソファで仮眠を取りました。
スマートフォンのアラームを設定していましたが、疲労がたまっていたため、音に気づきませんでした。
肩をたたかれて目を覚ますと、すでに早番職員が出勤していました。
起床介助を始める時間を過ぎており、朝食の準備も迫っています。
職員は焦って利用者さんを起こし始めましたが、急いで介助すると転倒や誤薬など、別の失敗を起こす危険があります。



早番に肩を叩かれ、目が覚めた。
「えっ? 7時?」
やばっ、起床介助してない!
もう少しで朝ごはんが来る!
プチパニックと情けなさで胃が痛い。オエッ。
対処法
仮眠を取るときは、アラームを複数設定します。
スマートフォンを手元ではなく、立ち上がらなければ止められない場所へ置く方法もあります。
施設のルールで許可されている場合は、別の職員と起床時刻を確認し合いましょう。
寝過ごした場合も、焦って業務を進めてはいけません。
まず責任者へ報告し、優先順位を確認してから安全に介助を行います。
失敗エピソード5.別の利用者さんの薬を渡してしまう



薬の名前と利用者さんの本人確認が不十分なまま、別の人の薬を渡してしまう失敗です。
食堂では、複数の利用者さんの薬を続けて介助することがあります。
ある職員は、テーブルに並べられた薬を順番に配っていました。
利用者さんの顔を見ただけで本人だと思い込み、名前を確認せずに薬を渡しました。
しばらくして、同僚から次のように声をかけられました。
「Aさんの薬が残っていますが、もう飲みましたか」
職員が薬包を確認すると、Aさんの薬をBさんへ渡していた可能性があることに気づきました。
誤薬が疑われる場合は、職員だけで「大丈夫だろう」と判断してはいけません。



名前を復唱せずに薬を渡してしまい、
同僚の指摘で青ざめた。
「あれ?〇〇さんの薬まだ残ってるけど」
恐る恐る、薬包の名前を確認すると、
他の利用者さんの薬を渡していた……
対処法
誤薬に気づいたら、最初に利用者さんの状態を確認します。
そのうえで、すぐに看護職や責任者へ報告してください。
薬包、服薬記録、残っている薬を確認し、誰が、いつ、どの薬を服用した可能性があるのかを伝えます。
服薬介助前は、利用者さんのフルネーム、薬包に書かれた名前、服用する時間を確認します。
施設で決められた確認手順とダブルチェックを省略しないことが大切です。
誤薬を防ぐ方法はこちら
失敗エピソード6.利用者さんの薬が床に落ちている



服薬介助を終えたはずなのに、床に薬が落ちている失敗です。
利用者さんが薬を口に入れたあと、飲み込まずに吐き出している場合があります。
ある職員が食後の服薬介助を終え、利用者さんを居室へ誘導しました。
そのあと食堂を掃除していると、椅子の下に白い錠剤のようなものが落ちていました。
最初はゴミかと思いましたが、確認すると薬だったのです。
しかし、複数の利用者さんが同じ場所で薬を飲んでいたため、誰の薬なのかすぐには分かりません。
職員は、服薬介助を終えた利用者さんの薬包と記録を一人ずつ確認することになりました。
対処法
薬を口に入れたことだけで、服薬が完了したと判断してはいけません。
口の中に薬が残っていないか、飲み込めたかを確認してからその場を離れます。
薬が床に落ちているのを発見した場合は、勝手に利用者さんへ飲ませないでください。
発見した場所と時間を確認し、薬を保管したうえで、看護職や責任者へ報告します。
失敗エピソード7.薬を飲んでもらうのを忘れる



服薬予定を確認せず、薬を飲んでもらわないまま時間が過ぎてしまう失敗です。
特に注意したいのが、就寝前の薬や、受診後に追加された薬です。
ある夜勤職員は、いつも就寝前の薬がない利用者さんだと思い込み、薬の確認をしませんでした。
翌朝、薬のケースを確認すると、就寝前に服用する薬が残っていました。
前日の受診で新しい薬が処方されていましたが、職員が申し送りを十分に確認していなかったのです。
薬が残っていることに気づいても、翌朝にまとめて飲んでもらってはいけません。
対処法
服薬忘れに気づいたら、利用者さんの状態を確認し、看護職や責任者へ報告します。
いつ飲む予定の薬だったのか、なぜ服用できなかったのかを伝え、指示を受けてください。
勤務開始時には、薬の追加、中止、時間変更がないかを確認します。
服薬後はチェック表や記録へすぐに入力し、あとでまとめて記録しないようにしましょう。
失敗エピソード8.衣類を漂白して色落ちさせる



汚れた衣類を漂白剤につけた結果、色や柄が抜けてしまう失敗です。
ある新人職員は、先輩から次のように頼まれました。
「この服、ハイターにつけておいて」
新人職員は、衣類用ではなく、塩素系の台所用漂白剤を使用しました。
しばらくして衣類を確認すると、紺色だった部分がまだらに白くなっていました。
先輩職員は衣類用漂白剤を使うつもりで指示していましたが、新人職員には伝わっていませんでした。
「分かるだろう」と思って商品名を省略したことも、失敗の原因です。
対処法
漂白する前に、衣類の洗濯表示と漂白剤の種類を確認します。
分からない場合は、自己判断で作業せず、指示を出した職員へ確認してください。
指示を出す側も、「ハイター」だけで済ませてはいけません。
「衣類用の酸素系漂白剤を使ってください」など、使用するものと方法を具体的に伝えましょう。
失敗エピソード9.衣類を洗濯して縮ませる



水洗いや乾燥機に適していない衣類を、ほかの洗濯物と一緒に洗って縮ませる失敗です。
ある職員が、利用者さんのセーターをほかの衣類と一緒に洗濯機へ入れました。
洗濯が終わったあと、早く乾かすために乾燥機にも入れました。
取り出してみると、大人用だったセーターが子ども用のような大きさに縮んでいました。
そのセーターは、家族からプレゼントされた大切な衣類でした。
洗濯前にタグを確認していれば、防げた可能性があります。
洗濯するときに迷ったら、LIONの洗濯表示一覧が参考になりますよ。
対処法
洗濯する前に、衣類のタグと洗濯表示を確認します。
水洗いできるか、乾燥機を使用できるか、漂白できるかを確認してください。
判断できない衣類は、ほかの洗濯物と分けて保管し、責任者や家族へ確認します。
衣類のタグが読みにくい場合は、施設内で分かりやすい洗濯方法を共有しておくと安心です。
失敗エピソード10.ポケットを確認せずに洗濯する



衣類のポケットにティッシュや紙類を入れたまま洗濯する失敗です。
ある職員は、利用者さんの衣類をまとめて洗濯機へ入れました。
洗濯が終わってふたを開けると、細かくちぎれたティッシュがすべての衣類に付着していました。
衣類を一枚ずつ振り、洗濯槽を掃除し、もう一度洗濯することになりました。
ティッシュだけでなく、尿とりパッドを衣類と一緒に洗ってしまう場合もあります。
パッドを洗濯すると、吸水材がゼリー状の粒になり、衣類や洗濯槽へ大量に付着します。
後片づけに時間がかかり、ほかの業務にも影響します。



「尿とりパッド」を見落として、
衣類と一緒に洗濯。
洗濯が終わると……、
ポリマー(尿を吸収するゼリー状の粒)が衣類と洗濯槽にびっしり。
洗濯槽を掃除したり、
洗濯し直したり、
めっちゃ仕事が増えました。
対処法
洗濯機へ入れる前に、すべてのポケットを手で確認します。
上着、ズボン、パジャマなど、一枚ずつ確認してください。
衣類を丸めたまま洗濯かごへ入れず、広げて異物がないか確認することも大切です。
確認作業を洗濯担当者だけに任せず、衣類を回収した職員も確認しましょう。
失敗エピソード11.利用者さんの名前を間違える



新人職員が、利用者さんの顔と名前を覚えられず、別の人へ声をかける失敗です。
ある新人職員は、先輩から「Aさんをトイレへ誘導してください」と頼まれました。
新人職員は自信がないまま、窓側の席に座っていた利用者さんへ声をかけました。
しかし、その人はAさんではなく、Bさんでした。
トイレ誘導の途中で先輩職員が気づいたため、大きな問題にはなりませんでした。
名前の間違いは、誘導だけでなく、食事や薬を別の利用者さんへ渡す事故につながる可能性があります。
対処法
利用者さんの顔と名前に自信がない場合は、必ずほかの職員へ確認します。
座席表や顔写真付きの一覧など、施設で使用を認められた資料を活用してください。
服薬や食事を提供するときは、見た目や座席だけで本人だと判断してはいけません。
本人確認は、施設で定められた方法に従って行います。
名前を覚えていないことをごまかすより、確認するほうが安全です。
失敗エピソード12.ズボンの前後を逆にしてしまう



更衣介助のときに、ズボンの前後を間違えて履いてもらう失敗です。
利用者さんの衣類には、前ポケットやファスナーがないズボンもあります。
そのため、見た目だけでは前後が分かりにくい場合があります。
ある職員は、朝の更衣介助を急いで行い、ズボンの前後を確認しませんでした。
昼食後の排泄介助で、別の職員がズボンのタグが前側にあることに気づきました。
利用者さんは長時間、縫い目やポケットが身体に当たった状態で過ごしていました。
前後が逆でも着用はできますが、利用者さんの着心地や尊厳を考えると、そのままでよいとはいえません。
対処法
更衣介助の前に、ファスナー、ポケット、タグ、縫い目などを確認します。
タグの位置だけで判断せず、衣類ごとの形を見て確認してください。
前後が分かりにくい衣類は、利用者さんや家族の了承を得たうえで、目印をつける方法もあります。
介助が終わったら、衣類のねじれやしわ、締めつけがないかも確認しましょう。
失敗エピソード13.尿とりパッドの表裏を間違える



尿とりパッドの吸収面と防水面を逆にして装着する失敗です。
ある新人職員は、パッドの白い面を外側にし、ビニールのような面を利用者さんの肌に当ててしまいました。
その状態では尿を十分に吸収できません。
次の排泄介助までに尿がパッドから漏れ、下着、ズボン、車いすのクッションまで汚れてしまいました。
利用者さんは不快な状態で長時間過ごすことになります。
衣類交換や清掃も必要になり、本人と職員の負担が増えます。
対処法
パッドを装着する前に、吸収面と防水面を確認します。
商品によって形や表示が異なるため、使用している製品の正しいつけ方を確認してください。
新人職員には、口頭だけで説明するのではなく、実物を使って表裏や当て方を伝えます。
交換後は、パッドがずれていないか、折れ曲がっていないかも確認しましょう。
失敗エピソード14.家族からの連絡をほかの職員へ伝え忘れる



家族から受けた予定や要望を記録せず、ほかの職員へ伝え忘れる失敗です。
ある職員は、利用者さんの家族から次のように伝えられました。
「明日の午後2時に、通院のため迎えに行きます」
職員は覚えておくつもりでしたが、ナースコールへの対応で記録を後回しにしました。
翌日、外出予定を知らない職員が、利用者さんの入浴介助を始めました。
午後2時に家族が迎えに来ましたが、利用者さんは入浴中です。
着替えや準備に時間がかかり、家族を20分以上待たせてしまいました。



家族との外出予定を、他のスタッフに伝え忘れて現場はパニック。
家族の顔を見て、
「あっ、そういえば外出するって言ってた!」と思い出す。
家族が迎えに来たけど、本人は?
ベッドで寝ている……
準備している間の気まずい空気。
すぐに出発する予定の家族を待たせしてしまいました。
対処法
家族から連絡を受けたら、その場で記録します。
日時、内容、対応が必要な職員を明確にしてください。
申し送りノートや電子記録へ入力するだけでなく、急ぎの予定は口頭でも共有します。
勤務交代時には、外出、受診、面会、食事変更など、当日の予定を職員同士で確認しましょう。
「あとで伝えよう」ではなく、「受けた時点で共有する」ことが大切です。
失敗エピソード15.利用者さんの言葉をそのまま信じる



利用者さんの発言を確認せず、そのまま事実だと判断する失敗です。
ある新人職員が、利用者さんへトイレの声かけをしました。
利用者さんは「さっき行ったから大丈夫」と答えました。
新人職員は、その言葉を信じてトイレ誘導を行いませんでした。
しかし、排泄記録を確認すると、その利用者さんは数時間トイレへ行っていませんでした。
しばらくして尿失禁があり、衣類と車いすを交換することに……
認知機能や記憶力の状態によっては、本人に悪気がなくても、実際とは異なる内容を話すことがあります。
対処法
利用者さんの言葉を最初から否定する必要はありません。
まず本人の話を受け止めたうえで、排泄記録や申し送り、ほかの職員からの情報を確認します。
「何時ごろ行きましたか」
「職員と一緒に行きましたか」
このように、利用者さんを責めない聞き方で状況を確認してください。
本人の言葉、記録、普段の生活リズムを組み合わせて判断することが大切です。
介護職の失敗は個人の注意だけでは防げない
介護現場で失敗すると、「自分の注意が足りなかった」と考えてしまいがちです。
もちろん、確認を丁寧に行うことは大切です。
しかし、すべての失敗を個人の注意力だけで防ぐことはできません。
忙しい時間帯に業務が集中していなかったか。
連絡事項を共有する方法が分かりにくくなかったか。
薬や衣類の置き場所に問題がなかったか。
新人職員が質問しにくい雰囲気になっていなかったか。
失敗が起きたときは、職員個人だけでなく、業務の流れや職場の仕組みも振り返りましょう。
「次から気をつけます」で終わらせず、チェック表、声かけ、ダブルチェック、情報共有など、同じ失敗を繰り返さない仕組みを作ることが大切です。
介護職が失敗に気づいた直後にやること



介護の仕事で失敗に気づくと、頭が真っ白になることがあります。
「怒られるかもしれない」
「自分で何とかしないといけない」
そう考えて、報告が遅れてしまう人もいます。
しかし、失敗した直後に一番大切なのは、自分を守ることではありません。
利用者さんの安全を守り、被害が広がらないようにすることです。
失敗に気づいたら、次の順番で対応してください。
利用者さんの安全と体調を確認する
最初に確認するのは、利用者さんの状態です。
転倒、誤薬、誤嚥、入浴中の事故などでは、見た目に変化がなくても注意が必要です。
- 呼びかけに反応するか
- 痛みや息苦しさはないか
- 出血や腫れはないか
- 意識や顔色に変化はないか
まずは落ち着いて確認してください。
具体例です。
利用者さんが居室で転倒しているのを見つけたとします。
このとき、すぐに抱き起こすのは危険です。
骨折や頭部のけががある場合、無理に動かすと状態が悪化する可能性があります。
利用者さんに声をかけ、意識、痛み、出血、手足の動きなどを確認します。
そのうえで、施設のルールに従い、看護職やリーダーへ応援を求めてください。
一人で判断せず、すぐに報告する
失敗に気づいたら、できるだけ早く報告してください。
「この程度なら大丈夫だろう」
「もう少し様子を見てから伝えよう」
この判断が、対応の遅れにつながることがあります。
報告するときは、リーダー、看護職、管理者など、施設で決められた報告先に伝えます。
具体例です。
薬を配ったあとに、別の利用者さんの薬を渡してしまった可能性に気づいたとします。
この場合、本人に何を飲んだのか何度も聞いたり、自分だけで薬を探したりしてはいけません。
まず、利用者さんの状態を確認します。
そのあと、薬の袋、記録、残っている薬を確認しながら、すぐに看護職や責任者へ報告してください。
誤薬は、薬の種類や量によって必要な対応が変わります。
介護職だけで判断せず、看護職や医師の指示に従うことが大切です。
事実と推測を分けて伝える
報告するときは、分かっている事実を順番に伝えてください。
焦ると、推測や言い訳が混ざりやすくなります。
報告する内容は、次の5点です。
・いつ起きたか
・どこで起きたか
・誰に何が起きたか
・現在の利用者さんの状態
・すでに行った対応
たとえば、転倒事故なら、次のように伝えます。
「午後2時10分ごろ、Aさんの居室で物音がしました」
「居室へ行くと、ベッドの横で横向きに倒れていました」
「呼びかけに反応はあります」
「右ひざが痛いと話しています」
「出血は見られません」
「まだ身体は動かしていません」
このように、見たこと、聞いたこと、確認したことを伝えます。
「たぶんベッドから立ち上がろうとしたと思います」
「いつも歩けるので大丈夫だと思います」
このような推測は、事実と分けて伝えてください。
記録を残す
利用者さんへの対応が落ち着いたら、記録を残します。
時間がたつと、記憶は少しずつ曖昧になります。
そのため、できるだけ早く記録することが大切です。
記録には、事故が起きた時間、発見したときの状態、利用者さんの訴え、職員が行った対応、その後の変化を書きます。
具体例です。
送迎時に家族への連絡事項を伝え忘れたとします。
この場合も、「伝え忘れた」という一文だけでは不十分です。
「午前9時に家族から受診予定の変更について連絡があった」
「申し送りノートへの記入を忘れ、送迎担当者へ伝わらなかった」
「午後4時に家族から確認の電話があり、伝達漏れが判明した」
「管理者へ報告し、家族へ謝罪と説明を行った」
このように、経過が分かる形で記録します。
失敗を隠したり、記録を書き換えたりしてはいけません。
記録は、誰かを責めるためではなく、利用者さんを守り、同じ失敗を防ぐために残すものです。
利用者さんや家族への説明は自己判断で行わない
失敗すると、すぐに謝らなければいけないと考える人もいます。
もちろん、誠実な対応は必要です。
ただし、事故や誤薬などでは、介護職が一人で原因や責任を断定してはいけません。
「すべて自分のミスです」
「絶対に大丈夫です」
「今後は二度と起こりません」
このような説明は避けてください。
利用者さんや家族への説明は、管理者や責任者と内容を確認したうえで行います。
具体例です。
利用者さんの衣類を間違えて別の家族へ返してしまった場合、気づいた職員が独断で家族へ連絡すると、説明の内容が施設内で食い違うことがあります。
まず管理者へ報告し、衣類の所在と返却状況を確認します。
そのうえで、誰がどのように説明するのかを決めてください。
落ち着いたあとに原因を振り返る
事故対応が終わったら、同じ失敗を繰り返さないために原因を振り返ります。
ここで大切なのは、「自分の注意が足りなかった」で終わらせないことです。
注意だけに頼ると、忙しい日や疲れている日に同じことが起きます。
- なぜ確認できなかったのか
- 手順が分かりにくくなかったか
- 職員同士の情報共有に問題はなかったか
- 物の置き場所や記録方法に問題はなかったか
- 勤務人数や業務量に無理はなかったか
具体例です。
センサーマットの電源を入れ忘れた場合、「次から気をつけます」だけでは再発防止になりません。
- チェック表に確認欄を作る
- 夜勤者と遅番者が一緒に確認する
- 電源が入っていないと分かる目印を付ける
こうした仕組みを作ることで、個人の記憶に頼らずに済みます。
失敗したときに一番避けたいのは、隠すことです。
早く報告すれば、小さな失敗で終わる可能性があります。
報告が遅れると、利用者さんへの影響が大きくなり、周囲からの信頼も失います。
失敗そのものより、そのあとにどう動いたかが重要です。
- 利用者さんの安全を確認する
- 一人で抱え込まずに報告する
- 事実を記録する
- 原因を振り返り、仕組みを直す
この流れを覚えておけば、失敗したときにも落ち着いて対応しやすくなります。
【一覧表】介護施設でよくある人為的ミスと対処法
以下は、介護施設でよくある「人為的ミス」と「具体的な対処法」を表にまとめたものです。
現場の課題に対する意識を高め、ミスを防ぐ方法を簡潔に確認できますよ。
【介護施設でのよくある人為的ミスと対処法】
| ミスの種類 | 具体例 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|---|
| 薬の誤投与 | 指定された利用者以外に薬を投与、または投与量を間違える。 | 薬の管理方法が不十分、確認ミス | 薬のダブルチェックを義務化。薬の整理・ラベル管理を徹底。薬投与の専任者を設置。 |
| 転倒・怪我 | 利用者さんが転倒し骨折や擦り傷を負う。 | 環境整備不足(段差や滑る床)、見守り不足 | 転倒防止マット設置。環境の安全確認をルーティン化。見守りスケジュールを見直し、人数を適切に配置。 |
| 記録の不備 | ケアプランや日誌に必要な情報を記録し忘れる。 | 業務多忙による記録の後回し | 記録専用の時間を確保。タブレットや音声認識で記録の効率化を進める。 |
| 食事の誤提供 | アレルギーのある食材や嚥下能力に合わない食事を提供する。 | 情報共有不足、調理ミス | 食事アレルギーや嚥下情報を一元化。食事提供前に職員間での最終確認を実施。 |
| 入浴中の事故 | 入浴中に溺れかけたり、やけどをする事故が発生。 | 温度確認不足、見守りが不十分 | お湯の温度をセンサーで自動管理。入浴時には複数の職員で対応。 |
| コミュニケーション不足 | 利用者さんが必要とするケアを正しく認識できず、満足度が低下する。 | 職員間や利用者とのコミュニケーション不足 | 定期的なミーティングで情報を共有。利用者へのヒアリングを定期的に実施。 |
| 緊急対応の遅れ | 利用者の容態悪化時に迅速に対応できない。 | 緊急マニュアルの不備、訓練不足 | 緊急事態マニュアルの作成と周知。定期的な訓練の実施。 |
電子化推進
多くのミスが電子管理やシステム導入で軽減可能。特に記録、薬の管理、連絡のデジタル化は急務です。
教育と訓練の強化
職員研修や定期的なミス防止訓練の導入が、ミス削減に直結します。
コミュニケーションの強化
職員間、家族、利用者との適切な情報共有は、ミスの発生率を大幅に減らします。
よくある質問【Q&A】
- 介護職が「やりがちな失敗」って何?
-
ベッド柵やセンサーマットの付け忘れ、配薬の取り違え、申し送りの聞き漏れ、トイレ介助中の離席、夜勤中の寝過ごしなどです。まずは「指さし呼称」「ダブルチェック」「その場でメモ」で減らせます。
- 忙しくて確認を飛ばしがち…どう防ぐ?
-
「退室前3点チェック(環境・安全・声かけ)」をカード化してポケットに。タイマーやチェックアプリも活用し、同時対応の前に必ず「誰が何を担当するか」を一言共有しましょう。
- ベッド柵の付け忘れをゼロにするコツは?
-
「ベッド柵OK」と声出し確認。退室する前に“柵・呼出ボタン”のチェックを固定化します。
- センサーマットの電源入れ忘れが怖い…
-
ベッドへの移乗介助→試験鳴動までを1セットに。ONにしたら指をさす、退室前にセンサーを踏んでみて「反応確認」をするのが効果的です。
- 配薬ミスを防ぐ一番簡単な方法は?
-
“処方箋・入居者・薬袋”の三点照合+読み上げ。途中で話しかけられたら作業を一旦止め、再開時は最初からやり直すルールに。
- 申し送りの聞き漏れ・勘違いを減らしたい
-
重要事項は「復唱しながらメモ」。口頭だけにせず、掲示(ホワイトボード/電子記録)とセットで伝達します。
- 夜勤で寝落ちしないテクは?
-
ソファに横にならない、短時間ストレッチ、こまめな水分補給、見回りスケジュールをタイマーで管理。眠気ピーク前に立ち作業へ切り替えます。
- 転倒が続く利用者さん、何から見直す?
-
①環境(段差・スリッパ・照明)②動線(ベッド⇄トイレ)③時間帯(転倒しやすい時)④薬の副作用⑤声かけと見守り距離、の順でチェックし、記録→カンファで対策を決めます。
- ヒヤリハットはどこまで報告するの?
-
「ケガなしでも再発の可能性がある事例」は報告対象。事実ベースで短く(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どうした)。個人攻撃や推測表現は避けます。
詳しくはこちら【5分で書ける!】介護現場のヒヤリハット報告書|テンプレ&例文12選 - 忙しい時の優先順位は?
-
①生命・安全 ②排泄 ③移乗・体位変換 ④清潔 ⑤環境整備。迷ったら「危険の大きい方」「時間制約の強い方」を先に。
- 先輩に注意されて落ち込む…気持ちの整え方は?
-
事実と感情を分けてノート化→改善1点だけ決める→翌勤務で実行→振り返り。失敗の共有は“チームの資産”と考えましょう。
- 個人情報の取り扱いでやりがちなミスは?
-
机上の記録放置、私物スマホでの撮影、廊下での大声会話。離席前は必ず施錠・画面ロック・書類反転が基本です。
- 新人教育で教えるべき“失敗予防”は?
-
①指さし呼称 ②ダブルチェック ③報告・連絡・相談のタイミング ④“離れない・目を離さない”場面の理解 ⑤記録の基本(時系列・事実のみ)。
- 失敗した後、信頼を取り戻すには?
-
すぐ報告→再発防止策を自分から提案→同じ場面で確実に実行→記録で見える化。行動の継続が一番の信頼回復です。
- 家族クレームにつながりやすい初歩ミスは?
-
連絡の遅れ、記録の不一致、言葉づかい。事前連絡の基準を決め、面会時は「事実→対応→今後」で簡潔に説明しましょう。
まとめ
- 介護現場で起きやすい失敗は、
・ベッド柵の付け忘れ
・センサーマットの電源入れ忘れ
・薬まちがいなど。 - 失敗しないコツは、
・退室前に声に出して指さし確認
・薬はダブルチェック
・周りのスタッフと情報共有など。 - 「人の振り見て我が振り直せ」の気持ちで、正しい介助方法を学び直そう。
習慣にすれば、同じ失敗をくり返さずにすむ。
どんなに気をつけていても、人間なので失敗することがあります。
大切なのは同じ失敗を繰り返さないことです。
何度も同じ失敗をしていると「仕事ができない人」というレッテルを貼られてしまいます。
周囲からの信頼を失い、人間関係が悪化するでしょう。
とくにお局さまに目をつけられたら大変です。
毎回のように粗探しをされて嫌味を言われるでしょう。
失敗したときに「なんで失敗したのか?」「失敗しないためにはどうすればいいか?」を考えて同じ失敗を繰り返さないようにしましょう。
お局とうまく付き合う方法を知りたければ、下の記事をチェックしてみてください。



介護士が仕事を辞めた理由で多いのは人間関係です。
仕事にやりがいを感じていても、人間関係が悪ければ退職に追い込まれてしまいます。
同じ介護士として悲しい限りです。
ただ黙って辞めていく人を見ているわけにはいきません。
人間関係で退職する人をひとりでも減らしたい。
下の記事に仕事を辞めたいときの対処方法をまとめました。
この先、仕事を辞めたくなったら読んでみてください。






ぼくも介護士。あなたの仲間です。
一緒に日本を支えてやりましょう。
あなたを応援しています。
では、また。














