「介護の仕事を選んだ人って、どんな理由が多いんだろう?」
「面接で『なぜ介護職を選んだの?』と聞かれたら、何て答えればいい?」
介護職を目指していると、こんな疑問を持つことがありますよね。
令和7年度の厚生労働省委託事業の調査では、介護職902人に「介護の仕事を選んだ理由」を聞いたところ、1位は「人の役に立つ仕事だと思ったから」の34.5%でした。
ただし、「人の役に立ちたい」のような理由だけではありません。「自分にもできると思った」「雇用不安が少ないと思った」といった現実的な理由で介護職を選んだ人もいます。
介護職を選ぶ理由は、最初から立派である必要はないと、ぼくは思っています。
ぼく自身、営業職から介護職へ転職し、今では15年以上介護現場で働いています。働き始めてから気づいた介護のやりがいもたくさんありました。
この記事では、最新の公表調査とぼく自身の経験をもとに、「なぜ介護の仕事を選ぶのか」を整理します。
この記事の要約
- 介護の仕事を選んだ理由1位は「人の役に立つ仕事だと思った」34.5%
- 2位は「やりがい」29.0%、3位は「社会的な意義」23.8%
- 「自分にもできる」「雇用不安が少ない」など現実的な理由もある
- 介護を選ぶ理由と「どの施設で働くか」は分けて考えたほうがいい
- 面接では格好いい理由を作るより、自分の経験を自分の言葉で伝えることが大切
【筆者紹介】
介護業界15年以上の現役介護士(施設勤務)
※現場経験と公的データ(厚労省など)をもとに執筆しています。
【所持資格】
介護福祉士/ケアマネ/上級心理カウンセラー
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介護の仕事を選んだ理由ランキング【令和7年度調査】
まずは、実際に介護職として働いている人が、なぜ介護の仕事を選んだのかを見てみましょう。
厚生労働省「令和7年度介護のしごと魅力発信等事業」報告書では、介護職902人に「介護の仕事を選んだ理由」を上位5つまで選んでもらっています。
| 順位 | 介護の仕事を選んだ理由 | 割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 人の役に立つ仕事だと思ったから | 34.5% |
| 2位 | やりがいのある仕事だと思ったから | 29.0% |
| 3位 | 社会的な意義が大きい仕事だと思ったから | 23.8% |
| 4位 | 資格や専門知識を活かすことができる仕事だと思ったから | 22.0% |
| 5位 | 自分にもできる仕事だと思ったから | 20.7% |
| 6位 | 自分に向いている仕事だと思ったから | 16.5% |
| 7位 | 雇用不安の少ない業界だと思ったから | 16.1% |
| 8位 | 介護の現場で自分の人生経験を活かせるのではないかと思ったから | 12.2% |
| 9位 | 今後成長していく業界だと思ったから | 10.3% |
| 10位 | 地元で働きたい・地元に貢献したいから | 9.4% |
| 11位 | 高齢者と接するのが好きだから | 9.3% |
| 12位 | 家族など身近な人が介護の仕事に就いていたから | 8.3% |
| 13位 | ワークライフバランスを確保しながら働ける業界だと思ったから | 8.1% |
| 14位 | その他 | 4.4% |
複数回答のため、合計は100%にはなりません。
上位には「人の役に立ちたい」「やりがい」「社会的な意義」といった、誰かを支えることに関係する理由が並んでいます。
一方で、「自分にもできる」「雇用不安が少ない」「人生経験を活かせる」といった理由も選ばれています。
つまり、介護職を選ぶきっかけは一つではありません。
「人の役に立ちたい」という理由も、「今までの経験を活かしたい」という理由も、その人にとって本当の理由なら十分です。

ランキングから見える「介護職を選ぶ理由」は大きく3つ
調査結果を見ると、介護職を選ぶ理由は大きく3つに整理できます。
- 誰かの役に立ちたい:人の役に立つ、やりがい、社会的意義
- 自分の強みを活かしたい:資格、専門知識、人生経験、適性
- 現実的な働き方を考えた:自分にもできる、雇用への安心感、地元で働きたい
人の役に立つ仕事がしたい
最も多かったのは「人の役に立つ仕事だと思ったから」です。
介護は、食事・排泄・入浴などを単に手伝うだけの仕事ではありません。その人ができることを続けられるように支えたり、生活そのものを支援したりする仕事です。
ぼくも現場で働いていると、「自分の仕事が相手の生活につながっている」と感じる場面があります。
仕事そのものにやりがいを感じたい
2位は「やりがいのある仕事だと思ったから」の29.0%でした。
もちろん、介護の仕事はきれいなことばかりではありません。
忙しい日もありますし、利用者さんとのコミュニケーションがうまくいかず、へとへとになることもあります。
ぼくの現場では
新人のころ、教科書や研修で学んだとおりにはいかない介護の難しさを何度も感じました。
それでも、疲れているときに利用者さんから「ありがとう」と言ってもらえると、本当にうれしいんです。
また、本人と目標を共有して支援を続け、車椅子を使っていた方が歩行器で歩く姿を見たときは感動しました。
こうした瞬間は、実際に介護の仕事をしてみなければ分からなかったやりがいです。
資格・経験・働きやすさを理由に選んでもいい
「介護職を選んだ理由」と聞くと、つい立派な答えを探してしまいませんか?
でも実際の調査では、資格や専門知識を活かせること、自分にもできそうだと感じたこと、雇用への安心感なども理由として挙げられています。
仕事を選ぶ理由に、正解はありません。
給料、通勤、勤務時間、資格、仕事内容、将来性。仕事を選ぶ以上、現実的な条件を考えるのは自然なことです。
大切なのは、誰かに評価されそうな理由を作ることではなく、「自分は何を求めて介護を選ぼうとしているのか」を自分で理解しておくことです。



介護職を選ぶ理由は、最初から立派でなくていい
ぼくは、介護職になる前はIT関係の営業職として働いていました。
介護職へ転職するときには、複数の介護施設を見学しています。
日中なのに暗く感じる施設、入った瞬間に不快な臭いを感じた施設、挨拶をしても目を合わせてもらえなかった施設もありました。
一方、現在の職場を見学したときは、職員と利用者さんが楽しそうに風船バレーをしていました。
その様子を見て、「自分もこの輪に入りたい」と思ったことが、今の職場を選んだ決め手です。
そして、その職場で15年以上働いています。
仕事を始める前の「選んだ理由」と、働き続けるなかで見つかる「続ける理由」は、同じでなくてもいい。
ぼくはそう考えています。
最初から「介護は自分の天職だ」と言える人ばかりではありません。
実際に働き、利用者さんと関わり、失敗したり、感謝されたりするなかで、「この仕事のここが好きだ」と後から分かることもあります。
「介護を選ぶ理由」と「働く施設を選ぶ理由」は分けて考えよう
ここは、これから介護職を目指す人にぜひ知っておいてほしいところです。
「介護の仕事をしたい」と思うことと、「どの介護施設でもいい」ということは別です。
同じ令和7年度調査では、「現在の職場を選んだ理由」も調べています。
| 順位 | 現在の職場を選んだ理由 | 割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 通勤に便利だから | 53.3% |
| 2位 | 勤務時間に融通が効きそうだったから | 22.1% |
| 2位 | 職場の雰囲気・人間関係が良さそうだったから | 22.1% |
| 4位 | 給与が良かったから | 19.6% |
| 5位 | キャリアアップ・スキルアップができるから | 18.4% |
介護という仕事に魅力を感じても、通勤や勤務時間、人間関係などが合わなければ、働き続けるのがつらくなることがあります。
だからこそ、求人票だけで決めず、可能なら施設見学をしてみてください。
「自分がここで働いている姿を想像できるか?」も、一つの判断材料になります。
また、「自分はそもそも介護に向いているのかな?」と不安な方は、介護士に向いている人・向いていない人の適性診断も参考にしてください。
面接で「なぜ介護の仕事を選んだのですか?」と聞かれたら
介護職の面接では、「なぜ介護の仕事を選んだのですか?」と聞かれることがあります。
ぼく自身も、異業種から介護職へ転職したときの面接で実際に聞かれました。
ここで、ランキング1位だからといって「人の役に立ちたいです」と、そのまま答える必要はありません。
面接では、世間で多い理由より「あなた自身がなぜ介護を選んだのか」のほうが大切です。
次の3つに分けると、自分の理由を整理しやすくなります。
- きっかけ:なぜ介護に興味を持ったのか
- 理由:なぜ仕事として介護を選んだのか
- これから:介護職としてどう働きたいのか
たとえば、未経験から介護職を目指すなら、次のように組み立てられます。
回答例
「これまで人と関わる仕事をしてきた経験から、より一人ひとりの生活に深く関わる仕事がしたいと考え、介護職に興味を持ちました。未経験ですが、介護の知識や技術を身につけ、利用者さんが安心して生活できるよう支援できる介護職を目指したいと考えています。」
家族の介護経験など、実際には経験していない話を作る必要はありません。
あなたが本当に経験したこと、感じたことを材料にしたほうが、自分の言葉で話せます。



志望動機まで具体的に作りたい方は、介護職の志望動機の作り方と例文で詳しく解説しています。
また、面接全体の質問を準備したい方は、介護職の面接でよく聞かれる質問12選と回答例も参考にしてください。
これから介護職を目指すなら「選んだ理由」だけで決めなくていい
「人の役に立ちたい」
「手に職をつけたい」
「自分にもできそう」
どれも、介護職に興味を持つきっかけとして間違いではありません。
ただし、実際に介護職として働くなら、仕事内容や勤務条件まで確認してから決めましょう。
介護職を始める前に確認したいこと
- どんな介護サービスで働きたいか
- 夜勤や早番・遅番に対応できるか
- 身体介助を含む仕事内容を理解しているか
- 教育体制が整っているか
- 職場の雰囲気を自分の目で確認できるか
未経験・無資格から介護職へ挑戦したい方は、未経験・無資格から介護職を始める方法で、就職までの流れを確認できます。
介護の仕事を選んだ理由についてよくある質問
介護職を選んだ理由で一番多いのは?
令和7年度の厚生労働省委託事業の調査では、「人の役に立つ仕事だと思ったから」が34.5%で最多でした。
次いで「やりがいのある仕事だと思ったから」29.0%、「社会的な意義が大きい仕事だと思ったから」23.8%です。
「安定していそうだから」という理由でも大丈夫?
仕事を選ぶ理由の一つとして問題ないと、ぼくは考えています。
実際の調査でも「雇用不安の少ない業界だと思ったから」が16.1%選ばれています。
ただし面接では「安定しているから」だけで終わらせず、介護に興味を持ったきっかけや、これからどう働きたいかまで伝えると、自分の考えが伝わりやすくなります。
志望動機と「介護を選んだ理由」は同じですか?
似ていますが、少し違います。
「介護を選んだ理由」は、なぜ介護という仕事を選んだのか。「志望動機」は、それに加えてなぜその施設・会社で働きたいのかまで説明するものです。
面接では両方を聞かれることがあるため、分けて整理しておくと答えやすくなります。
未経験・無資格でも介護職を目指せますか?
無資格から応募できる介護職の求人はあります。
ただし、資格が必要な業務もあるため、仕事内容や応募条件は求人ごとに確認してください。
これから介護職を目指す方は、未経験・無資格から介護職を始める方法から確認すると分かりやすいです。
まとめ|介護職を選んだ理由は「自分の言葉」でいい
令和7年度の調査では、介護の仕事を選んだ理由として次の回答が上位でした。
- 1位:人の役に立つ仕事だと思ったから 34.5%
- 2位:やりがいのある仕事だと思ったから 29.0%
- 3位:社会的な意義が大きい仕事だと思ったから 23.8%
- 4位:資格や専門知識を活かせると思ったから 22.0%
- 5位:自分にもできる仕事だと思ったから 20.7%
ただ、このランキングに自分を合わせる必要はありません。
「なぜ介護を選ぶのか」は、誰かに認めてもらうための答えではなく、自分がこれからどう働きたいかを考えるための答えです。
ぼく自身、介護職として15年以上働くなかで、入職前には分からなかったやりがいを何度も感じてきました。
最初のきっかけが立派でなくても大丈夫です。
介護に少しでも興味があるなら、仕事内容を調べたり、施設を見学したりしながら、「自分がそこで働いている姿を想像できるか」を考えてみてください。
面接や履歴書に書く理由を整理したい方は、次に介護職の志望動機の作り方と例文を読んで、自分の経験を言葉にしてみましょう。
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